脳卒中の後遺症治療「経頭蓋磁気刺激治療」(TMS治療)
経頭蓋磁気刺激(TMS)とは
経頭蓋磁気刺激(TMS:Transcranial Magnetic Stimulation)は、
頭皮の上からコイルで磁気パルスをあて、脳の表面(大脳皮質)に電流を誘導して刺激する治療です。
うつ病の治療として知られるようになりましたが、
近年は脳卒中後の運動まひ・言語障害・注意障害などのリハビリをサポートする方法としても研究・応用されています。
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脳卒中後のTMS治療の考え方
脳卒中のあと、損傷を受けた側の脳は機能が低下し、
反対側の脳が過剰に働いてバランスが崩れることがあります。
TMSを使って、
- 過剰に興奮している側の脳の活動を少し抑える刺激をする
- 逆に、働きが弱くなっている側の脳に活動を高める刺激をする
ことで、左右のバランスを整え、リハビリの効果を高めようという考え方です。
どのような症状に使われるか
研究や臨床応用が進んでいる主な対象は次のような症状です。
- 上肢の運動まひ(腕や手が動かしにくい)
- 失語症(言葉が出にくい・理解しにくい)
- 半側空間無視(片側の空間に注意が向かない)
- 脳卒中後うつ・意欲低下
TMS単独ではなく、リハビリ訓練と組み合わせて行うのが基本です。
治療の流れと安全性
TMS治療は、多くの場合外来で行われる非侵襲的な治療です。
- 椅子に座った状態で、頭にコイルを当てる
- パチパチという音とともに、数分?数十分の刺激を連続して行う
- これを週に数回、数週間?数か月続けるプログラムが用いられる
副作用としては、
- 刺激部位の頭皮の違和感・痛み
- 頭痛・疲労感
などが報告されていますが、多くは一時的で軽いものとされています。
ごくまれにけいれん発作のリスクがあるため、てんかんの既往などがある場合は慎重な判断が必要です。
現時点での位置づけ
脳卒中後のTMS治療は、国や施設によって保険適用の範囲や標準的なやり方が異なる分野です。
「期待できる面」と「まだ研究段階の面」の両方があるため、
- どの症状に、どの程度の改善が見込めるのか
- 費用や通院回数、他のリハビリとの組み合わせ
について、脳卒中リハビリやTMS治療の経験がある医師とよく相談することが大切です。
この記事の位置づけ
このページは、脳卒中後遺症に対する経頭蓋磁気刺激治療(TMS)の考え方と概要を紹介したものです。
TMSはあくまで通常のリハビリを補う治療であり、基本となるリハビリテーション(運動・言語・作業療法など)を
しっかり続けることが改善への大きな柱である点も忘れないようにしましょう。
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関係医療機関
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清水病院(鳥取県)
神奈川県立精神医療センター芹香病院(きんこうびょういん)
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