下痢
ここでは、便がいつもよりやわらかい・水っぽい状態が何度も出る「下痢」の症状についてまとめています。
一時的な食あたりから、感染症・薬の副作用・慢性腸疾患まで、原因はさまざまです。
とくに高齢の方・乳幼児・持病のある方では、脱水などにつながることもあるため注意が必要です。
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下痢の原因
下痢は、便の水分が増えたり、腸の運動や消化吸収のバランスが崩れることで起こります。
原因は大きく分けて、急性の下痢(数日程度)と、慢性の下痢(数週間?長期)があります。
1)急性の下痢の原因
- ウイルス・細菌などによる感染性胃腸炎
もっとも多い原因です。
ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス、サルモネラ菌・カンピロバクターなどに感染すると、
急な下痢・腹痛・吐き気・嘔吐・発熱などが起こることがあります。
かき・生肉・十分に加熱されていない食品・水・集団生活の場などから感染することがあります。 - 食あたり・食中毒
傷んだ食品、十分に加熱されていない肉や魚、調理器具の衛生不良などが原因で、
細菌やその毒素を取り込んでしまい、急な下痢や腹痛を起こします。
生ものを食べた数時間?数日後に症状が出ることが多いです。 - 薬の副作用
抗生物質(抗菌薬)、マグネシウムを含む制酸薬・便秘薬、糖尿病薬、抗がん剤など、
一部の薬は下痢を副作用として起こしやすいことが知られています。
サプリメントや健康食品でも、含まれる成分・糖アルコール(キシリトールなど)によって、
腸が刺激されて下痢になることがあります。 - 冷え・暴飲暴食・脂っこい食事
一度に大量に食べる・飲む、脂肪分の多い食事、冷たい飲み物のとりすぎなどで、
一時的に消化機能が追いつかず、下痢を起こすことがあります。 - ストレス・自律神経の乱れ
緊張すると急にお腹がゴロゴロする、試験や人前に出る前にトイレが近くなる…といった
「過敏性腸症候群」に近い一時的な下痢もあります。
2)慢性的な下痢の原因
- 過敏性腸症候群(IBS)
検査をしてもはっきりした器質的な異常は見つからないものの、
ストレス・自律神経の乱れなどにより、下痢・便秘・腹痛が続く病気です。
「通勤電車の中でトイレが不安」「緊張するとすぐお腹が痛くなる」など、生活の質に大きく影響します。 - 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)
腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が起こる病気で、血便・腹痛・体重減少・貧血などを伴うことがあります。
長期にわたる下痢が続くときには、こうした病気が隠れていないか検査が必要です。 - 乳糖不耐症・食物不耐症
牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が少ない場合(乳糖不耐症)や、
ある特定の食品・食品添加物などに腸が過敏に反応する場合、
食後しばらくしてから下痢・ガス・腹部膨満感などが起こることがあります。 - 甲状腺機能亢進症・糖尿病・膵臓の病気など
全身のホルモンバランスや代謝、消化酵素の分泌に関わる病気によって、
結果として慢性的な下痢が出てくることもあります。 - 大腸がん・ポリープ・その他の腸の病気
高齢の方で、便通の変化(下痢と便秘をくり返す)・血便・体重減少などがある場合、
大腸がんなどが隠れている可能性もあるため、早めの検査が重要です。
次のような危険なサインがある場合は、早急に医療機関を受診してください。
- 水も飲めないほどの強い吐き気・嘔吐を伴う
- 血が混じった下痢・黒っぽいタール状の便が出る
- 高熱(目安として38℃以上)や強い腹痛を伴う
- ぐったりしている・意識がもうろうとする・尿量が極端に少ないなど脱水のサインがある
- 数週間以上、下痢が続いている/体重が減ってきている
下痢の対策
下痢の対策で一番大切なのは、脱水を防ぐことと、原因を見極めることです。
軽い下痢であれば自宅でのケアで治ることも多いですが、症状が強いときや長引くときは、早めに医療機関で相談しましょう。
1)水分・電解質の補給
- 下痢や嘔吐があると、水分と一緒にナトリウム・カリウムなどの電解質も失われます。
- 水だけではなく、経口補水液や薄めのスポーツドリンク(糖分が多い物は飲みすぎ注意)などで、
こまめに少量ずつ補給しましょう。 - 乳幼児・高齢者では、脱水になりやすいので、早めに小児科・内科などで相談することが重要です。
2)食事の工夫
- 食欲があまりないときは、無理に固形物をたくさん食べる必要はありません。
- 少し落ち着いてきたら、おかゆ・うどん・バナナ・りんご・じゃがいも・にんじんなど、
消化のよい食品から少しずつ再開します。 - 脂っこいもの・辛いもの・アルコール・カフェインの強い飲み物・乳製品などは、
症状が落ち着くまで控えめにしましょう。
3)市販薬・処方薬の使用(必ず注意点を守って)
- 一時的な下痢に対しては、腸の動きを抑える薬(止瀉薬)や、腸の炎症を抑える整腸薬などが使われることがあります。
- しかし、感染性胃腸炎(細菌・ウイルス)で高熱や血便がある場合などは、
腸の動きを止める薬がかえって回復を遅らせる・重症化させることがあります。 - 持病のある方・高齢者・子どもでは、市販薬を自己判断で長く使わず、医師や薬剤師に相談してから使用してください。
4)原因の治療
- 細菌性腸炎・大腸炎・炎症性腸疾患・甲状腺疾患などが原因の場合は、
単なる「下痢止め」ではなく、原因となっている病気の治療が必要です。 - 慢性的な下痢・血便・体重減少などがあるときは、消化器内科などの専門医に相談しましょう。
下痢に関するサプリメン
サプリメントは、下痢そのものを直接治す薬ではありませんが、
腸内環境や栄養バランスのサポートを目的として使われることがあります。
ただし、状態によってはサプリが合わない・悪化させる可能性もあるため、注意が必要です。
- 乳酸菌・ビフィズス菌などのプロバイオティクス
腸内細菌のバランスを整える目的で、ヨーグルト・発酵食品・サプリメントとして利用されます。
一部の感染性下痢や抗生物質による下痢の回復を助ける可能性が示された報告もありますが、
菌株や製品によって性質が異なり、「どんな下痢にも有効」というわけではありません。 - 食物繊維(プレバイオティクス)
イヌリン・オリゴ糖・水溶性食物繊維などは、
腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整える目的で用いられます。
ただし、摂り過ぎると逆にガス・膨満感・下痢を悪化させることもあるため、量に注意が必要です。 - 亜鉛・ビタミンなどの補給
長引く下痢では、亜鉛やビタミン類が不足することがあり、栄養補給としてサプリが使われることがあります。
ただし、重い下痢や吸収障害がある場合は、まず医療機関での治療が優先です。
サプリメントに関しての注意点:
- サプリメントは医薬品ではなく、効果・安全性のレベルが薬とは異なる。
- 乳糖・糖アルコール・一部ハーブなど、成分そのものが下痢を起こしやすい場合もある。
- 免疫が低下している方や大きな病気がある方では、プロバイオティクスの使用に注意が必要なこともあります。
とくに、
高齢の方・小児・妊娠中・持病のある方・薬を服用中の方は、
新しいサプリメントを始める前に、かかりつけ医や薬剤師に相談することをおすすめします。
当サイトの「サプリメント事典」では、乳酸菌・オリゴ糖・亜鉛など、個別成分についても解説しています。
下痢に関するサプリメント
サプリメント選びのワンポイント・アドバイス
サプリメント以外での予防・改善
下痢の予防・再発防止には、サプリメントよりも生活習慣・衛生管理・食事の見直しが重要です。
1)食事と飲み物の注意
- 十分に加熱する
肉・魚・卵・貝類などは、中心部までしっかり加熱しましょう。
特に夏場・アウトドア・バイキングなどでは、食品の保管温度に注意が必要です。 - 生もの・生卵・刺身・生がきなどは新鮮なものを
体調が悪いとき・高齢の方・小さな子ども・妊娠中の方は、
生ものを控える・量を減らすなど、リスクを考えた選び方が大切です。 - 冷たい飲み物・アルコール・カフェインのとり過ぎに注意
冷たい飲み物の一気飲みやアルコールの飲み過ぎは、
腸を刺激して下痢を招くことがあります。
日頃から「ほどほど」を意識することが大切です。
2)手洗い・衛生管理
- トイレの後、調理前、食事前には、石けんと流水での手洗いを徹底しましょう。
- 調理器具・まな板・ふきんなどはこまめに洗浄・消毒し、
生肉・生魚を扱った道具とサラダなど加熱しない食品の道具は分けて使うことが望ましいです。
3)ストレス・生活リズムの調整
- 過敏性腸症候群など、ストレスが関わる下痢では、
睡眠・休養・リラックス法の見直しが重要です。 - 規則正しい生活と適度な運動は、腸の動きや自律神経を整える助けになります。
4)冷え対策
- お腹や腰を冷やし過ぎないよう、季節に合った衣服・寝具を選びましょう。
- 冷房の風が直接お腹に当たらないよう、ひざ掛け・腹巻きなども役立ちます。
5)早めの医療機関受診
- 「そのうち治るだろう」と長期間放置すると、脱水や体力低下・別の病気の見逃しにつながることがあります。
- 下痢が続くとき・血便があるとき・体重が減ってきたとき・持病があるときは、
早めに内科・消化器内科などで相談することが大切です。
下痢は身近な症状ですが、からだが何かの異常を知らせているサインでもあります。
自己判断で市販薬やサプリに頼り過ぎず、水分補給・食事・生活習慣を見直しながら、
必要に応じて医療機関と相談していくことが、安心につながります。
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