亜鉛(あえん)
亜鉛とは
亜鉛は、体の中でさまざまな酵素の働きを支える必須ミネラルの一つです。 体内のほぼすべての細胞に存在し、免疫、味覚、皮膚や髪の健康、ホルモンバランスなど、多くの機能に関わっています。
食品では、牡蠣・肉類・魚・卵・乳製品・豆類・ナッツ類などに多く含まれます。 糖尿病との関連では、インスリンの合成や分泌、抗酸化作用との関係が注目されています。
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体の中での主な働き
- インスリンの合成・貯蔵・分泌に関わる
- 抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼなど)の働きを助ける
- たんぱく質やDNAの合成に関わり、成長や細胞の修復を支える
- 味覚・嗅覚・皮膚や粘膜の健康を保つ
亜鉛が不足すると、味覚異常、皮膚炎、免疫力の低下、傷の治りが悪いなどの症状が出ることがあります。
亜鉛と糖尿病・血糖値の関係
亜鉛は膵臓のβ細胞でインスリンと一緒に蓄えられており、 インスリンの安定化や分泌に関わることから、 糖尿病との関連が多く研究されてきました。
- 2型糖尿病の人では、血液中や尿への亜鉛の喪失が増え、亜鉛不足になりやすいとする報告があります。
- いくつかの臨床試験や解析では、亜鉛サプリメントの摂取によって、
空腹時血糖やHbA1c、インスリン感受性が改善したという結果が報告されています。 - 一方で、すべての研究が同じ結論ではなく、効果がはっきりしない試験もあります。
総合的には、亜鉛不足の人にとっては、適量の亜鉛補充が血糖コントロールの改善に役立つ可能性がある一方で、 正常な亜鉛状態の人が多量のサプリをとっても、それ以上の効果は期待しにくいと考えられます。
試してみる前に知っておきたいポイント
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まずは食事からの摂取が基本
牡蠣、牛肉、豚肉、卵、チーズ、納豆、豆類、ナッツなどをバランスよく食べることで、 多くの人は必要な亜鉛をまかなうことができます。 -
サプリの摂り過ぎは逆効果になることも
亜鉛の摂り過ぎは、銅不足や免疫低下、HDLコレステロール低下などを招く可能性があります。 -
糖尿病の薬との「飲み合わせ」は比較的良好だが、油断は禁物
一般的な用量の亜鉛サプリは、糖尿病薬との重大な相互作用は少ないとされていますが、
サプリを増やす前には一度主治医・薬剤師に確認するのがおすすめです。
一般的な摂取量の目安
日本人の食事摂取基準では、成人男性でおおよそ 11mg/日、成人女性で 8mg/日 程度が推奨量とされています。 一方、サプリを含めた耐容上限量(とり過ぎの目安)は、成人でおおよそ40mg/日とされています。
サプリメントとしては、1日5?15mg程度を目安とする製品が多く、 長期間にわたり 30?40mg/日を超える摂取は避けた方がよいとされています。
主な副作用
- 吐き気、胃の不快感、腹痛などの消化器症状(空腹時に多量摂取した場合など)
- 長期の高用量摂取による銅不足(貧血、白血球減少など)
- 免疫力の低下、HDLコレステロール低下の可能性
- 金属アレルギー体質の人では注意が必要な場合もあります
飲むときのポイント
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まずは「不足していそうかどうか」を考える
偏食が多い・肉や魚をほとんど食べない・長期にわたる食事制限などがある場合は、不足が疑われます。
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サプリは少量から、食後に
胃の不快感を減らすため、食後に少量から始めるのがおすすめです。
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2?3か月ごとに「続ける必要があるか」を見直す
血液検査で亜鉛が正常に戻っている・食事内容が改善した場合は、サプリを減らすことも検討しましょう。
この記事の位置づけについて
このページは、糖尿病と血糖コントロールに関心のある方に向けて、 亜鉛に関する研究や公的機関の情報をもとに、中立的な情報をまとめたものです。
- 特定の亜鉛商品をすすめるものではありません。
- 診断・治療・サプリの使用判断は、必ず主治医・薬剤師などと相談してください。
参考文献・参考サイト
- 亜鉛補充と糖尿病の血糖・脂質代謝に関する臨床試験・メタ解析
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」亜鉛の項目
- 国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報(亜鉛)」
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肝硬変の亜鉛補充療法
肝臓は、体に有害な老廃物のアンモニアを無害の尿素に変えます。この代謝が不十分だと、アンモニアが体内にたまり、神経を傷めて意識障害を起こします。これが肝性脳症で、肝臓が著しく弱っている肝硬変の患者がしばしば起こす合併症です。アンモニアの代謝を促すのは、肝細胞の中にある「OTC」という酵素です、この酵素は、金属元素の亜鉛がなければ十分に働きません。亜鉛は食物中に微量含まれ、不足すると肝硬変から肝性脳症を招くことがわかってきました。
肝硬変患者は、健康な人より、血液中の亜鉛濃度が約30%低く、小腸が弱って食物中の亜鉛を十分に吸収できないことや、肝臓で亜鉛をため込む力が落ちていることが原因とされています。
大阪厚生年金病院で、血液中の亜鉛濃度が基準値を下回る肝硬変患者に、亜鉛を補う治療を試みています。
亜鉛不足の肝硬変患者約30人を対象に、アミノ酸を投与する従来の治療と、これに硫酸亜鉛を併用する治療を比較したところ、3ヵ月後に血中のアンモニア濃度は、従来の治療では上昇したのに対し、併用治療では約20%下がりました。
亜鉛を過剰にとると、胃腸障害や吐き気などの副作用を起こす可能性があります。これを防ぐため、血液中の亜鉛濃度を測定します。
肝硬変になると、肝臓は正常には戻らないがこの治療で、病状の悪化を抑えることができると考えられています。
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