パーキンソン病の脳深部刺激療法(DBS)
パーキンソン病と薬物療法
パーキンソン病は、脳内のドパミンという神経伝達物質が減ることで、
手のふるえ・動きの遅さ・筋肉のこわばり・姿勢の不安定などが起こる病気です。
治療の基本は内服薬(L-ドパ、ドパミン作動薬など)ですが、長く病気が続くと、
- 薬が効いている時間と切れている時間の差が大きくなる「オン・オフ現象」
- 体が勝手にくねくね動いてしまう「ジスキネジア」
など、薬だけではコントロールが難しい症状が出ることがあります。
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脳深部刺激療法(DBS)とは
脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)は、脳の深い部分に細い電極を埋め込み、 弱い電気刺激を与えて症状を軽くする治療です。
- 頭蓋骨に小さな穴を開け、視床下核(STN)や淡蒼球内節(GPi)などに電極を挿入
- 電極の先端を脳内に固定し、リード線を皮下を通して胸の皮下に埋め込んだ刺激装置(ペースメーカーのような装置)につなぐ
- 外来で装置の設定を行い、電圧・周波数・パルス幅などを調整して最適な刺激条件を探る
刺激条件は後から変更できるため、症状や副作用に合わせて微調整していけるのが特徴です。
期待できる効果
- 手のふるえ・動きの遅さ・こわばりなど運動症状の改善
- オン・オフの波が小さくなり、1日の状態が安定しやすくなる
- ジスキネジアが軽くなる場合もある
- 薬の量を減らせることがあり、薬の副作用が少なくなるケースもある
ただし、DBSは病気そのものを治す治療ではなく、症状を軽くして生活の質を改善するための治療です。
適応となる患者さんの条件
施設によって細かい条件は異なりますが、一般的には次のような点が検討されます。
- パーキンソン病と診断されてから数年以上経過しており、薬で症状がある程度は改善する
- 薬の効果の波(オン・オフ)やジスキネジアで日常生活に支障が大きい
- 認知症や重い精神症状(幻覚・妄想など)が強くない
- 全身状態が手術に耐えられる
リスクと注意点
- 手術に伴う出血・感染・誤った部位への電極留置など脳外科手術ならではの合併症
- 刺激によるしゃべりにくさ・バランスの悪化・気分の変化など
- 電池交換(近年は充電式もあり、寿命は機種によって異なる)が必要
また、DBSはすべての症状に効くわけではなく、歩行の凍りつきや姿勢保持の問題などは残ることもあります。
この記事の位置づけ
このページは、パーキンソン病に対する脳深部刺激療法(DBS)の役割と特徴をまとめたものです。
手術を検討するときは、パーキンソン病治療に詳しい神経内科・脳神経外科チームと相談し、
薬物療法とのバランスや、将来の見通しも含めてじっくり話し合うことが大切です。
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関係医療機関
日大板橋病院脳神経外科
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