物忘れ・特発性正常圧水頭症による痴呆の手術療法
特発性正常圧水頭症とは
特発性正常圧水頭症(iNPH)は、脳の中の脳室(髄液のたまる空間)が広がっているのに、
腰から測る髄液圧はほぼ正常というタイプの水頭症です。
高齢者に多く、次の三つの症状がそろいやすいことが特徴です。
- 歩行障害:足が出にくい、すり足、小刻み歩行、方向転換がしにくい
- 認知機能低下:物忘れ、判断力の低下、活動性の低下など
- 尿失禁:トイレまで間に合わない、頻尿・失禁
一見、アルツハイマー型認知症などと似ているため、「年齢のせい」「認知症」として見過ごされることもある病気です。
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診断の流れ
特発性正常圧水頭症が疑われる場合、通常は次のような検査が行われます。
- 頭部CT・MRI:脳室が拡大しているか、他の病気(脳梗塞・脳出血・脳腫瘍など)がないかを確認
- 神経心理検査:記憶や注意力、遂行機能など認知機能の評価
- 髄液排除試験(タップテスト):腰から髄液を一定量抜き、その後数日?1週間ほど歩行や認知機能が良くなるかどうかを見る
タップテストなどで症状が改善するようであれば、シャント手術で良くなる可能性が高いと判断されます。
シャント手術のしくみ
特発性正常圧水頭症の代表的な手術がシャント手術です。
もっとも多い方法は脳室腹腔シャント術(VPシャント)で、
- 脳室に細いチューブ(カテーテル)を入れる
- 皮下を通して、お腹の中(腹腔)までチューブを延ばす
- 途中のバルブで髄液の流れを調節しながら、余分な髄液をお腹へ逃がす
これにより、脳室の拡大を抑え、脳を圧迫している状態を軽くすることが期待されます。
期待できる効果
シャント手術によって、
- 歩きやすくなる(歩幅が広がる、方向転換がスムーズ)
- トイレに間に合うようになる、尿失禁が減る
- 人との会話や興味が戻るなど、認知機能や自発性が改善する例もある
など、生活の質が大きく向上するケースがあります。
ただし、すべての症状が完全に元に戻るわけではなく、改善の程度には個人差があります。
リスクと注意点
- 感染・出血・シャントの詰まりや過剰排出など手術・機械に伴う合併症
- 高齢の方では、他の病気(心臓・肺・糖尿病など)とのバランスを考慮する必要
- アルツハイマー病など他の認知症を合併している場合は、認知機能の改善が限定的なこともある
この記事の位置づけ
このページは、物忘れや歩行障害などをきたす特発性正常圧水頭症とシャント手術の概要をまとめたものです。
「歳だから仕方ない」とあきらめる前に、神経内科・脳神経外科で一度くわしい評価を受けることで、
改善の可能性が見つかる場合があります。
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関係医療機関
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横浜南共済病院
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