不妊治療の胚盤胞移植(はいばんほういしょく)とは
胚盤胞とは
体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)では、卵子と精子を体外で受精させたあと、
受精卵を培養して分割した胚を子宮へ戻します。
受精後5?6日頃まで培養し、内部に「胚盤胞腔」と呼ばれる空洞ができた状態を
胚盤胞(blastocyst)と呼びます。
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胚盤胞移植の特徴
胚盤胞移植は、受精卵を胚盤胞まで育ててから子宮に戻す方法です。
- 初期胚(分割期胚)よりも発育の進んだ段階で選別できる
- 自然妊娠では、受精卵が卵管を進み、 子宮に到達するタイミング(5?6日目)に近い時期での移植になる
期待されるメリット
- 培養の過程で発育の良い胚を選びやすくなるため、1個あたりの妊娠率が高くなる傾向
- その分、単一胚移植(1個だけ戻す)でも妊娠率が確保しやすく、 双子以上の多胎妊娠を減らす戦略につながる
- 着床前検査(PGT)を行う場合にも、胚盤胞期に検査用の細胞を採取しやすい
注意すべき点・限界
- すべての受精卵が胚盤胞まで育つわけではなく、途中で発育が止まる胚も多い
- 特に採卵数が少ない場合、胚盤胞まで育てると移植できる胚がゼロになるリスクもある
- 複数個の胚盤胞を同時に移植すると、多胎妊娠のリスクが高くなるため、 最近は単一胚盤胞移植(eSET)を推奨するガイドラインが増えている
多胎妊娠との関係
かつては妊娠率を上げる目的で、2個以上の胚盤胞を同時に戻す方法も行われていましたが、
母体・赤ちゃん双方のリスク(早産・低体重児・妊娠合併症など)が高くなることが分かってきました。
現在は、多くの国・施設で原則1個の胚盤胞移植を標準とし、
複数胚移植は例外的なケースに限る方向になっています。
誰に向いている治療か
胚盤胞移植が特に検討されるのは、例えば次のようなケースです。
- 採卵数や受精卵数がある程度確保できる人
- 初期胚移植でなかなか妊娠に至らず、より厳密な胚の選別を行いたい場合
- 多胎妊娠を避けつつ、1回あたりの妊娠率を高めたい場合
この記事の位置づけ
このページは、不妊治療における胚盤胞移植の特徴・メリット・注意点を整理したものです。
初期胚移植と胚盤胞移植のどちらを選ぶか、何個の胚を戻すか、といった点は、
- 年齢・卵巣予備能
- 今までの治療歴
- 多胎妊娠のリスクに対する考え方
などを踏まえ、生殖医療専門医と相談しながら決めていくことが大切です。
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関係医療機関
滋賀医科大学病院
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