サプリメント事典

-白血病の治療薬「ゲムツズマブオゾガマイシン」-

白血病の治療薬「ゲムツズマブオゾガマイシン」

白血病


骨髄では、病原菌を殺す白血球、出血を止める血小板などに育つ造血幹細胞が作られます。白血病は、この幹細胞が成長段階でがん(白血病細胞)になります。正常な血液細胞を作れなくなり、貧血、出血、感染症などが起きます。国内の患者数は約25000人と推定されています。

白血病は、がん化する細胞が骨髄系細胞かリンパ系細胞かによって「骨髄性」と「リンパ性」に分かれ、病気の進行が速いか、ゆっくりかで「急性」「慢性」に分かれます。そのうち白血病全体の約4割を占めている急性骨髄性白血病は、治療が難しいです。

治療法には、抗がん剤と放射線で白血病細胞を殺した後に、健康な人から造血幹細胞を提供してもらう移植医療が代表的ですが、薬による治療法もあります。

スポンサードリンク


白血病の薬による治療法


白血病の治療に使用されるのが、新薬のゲムツズマブオゾガマイシン(商品名マイロターグ)です。患者の8割以上には、骨髄系細胞や、がん化した白血病細胞の表面に、「CD33」と呼ばれる目印があります。これに着目した薬で、目印にくっつくたんぱく質(抗体)と、有効成分カリケアマイシンを結合させて作られました。

この成分は細胞やがんにとっては猛毒で、血液中では溶け出しません。しかし薬が白血病細胞に潜り込むと、この猛毒成分が放たれ、細胞の核を破壊し、がんを殺します。正常な骨髄系細胞も攻撃されますが、基になる造血幹細胞やリンパ系細胞は無傷なので、血液細胞はやがて回復します。

ゲムツズマブオゾガマイシン(商品名マイロターグ)は2005年7月、再発または治療が困難で、「CD33」を持つ急性骨髄性白血病の患者を対象に承認されました。CD33の有無は、検査で1日から数日後には分かります。

臨床試験では、完全寛解率は25%です。十分に高いとは言えませんが、10数%とされる従来薬に比べると優れています。ただ、重い肺炎や出血、肝臓障害などの副作用があります。

浜松医大第三内科助教授の大西一功さんは「治療が難しい病気だけに、治療の選択肢が増えた意義は大きい」と話しています。この薬での治療は、白血病治療の経験が豊富な血液内科などで行われています。

急速に進む白血病治療の新薬開発


新薬開発の代表は、慢性骨髄性白血病の治療薬「イマチニブ」(商品名グリベック)です。がん細胞が増殖する仕組みをピンポイントで抑える経口薬で、2001年に承認されました。

白血病は、特定の遺伝子が変異して起こります。その遺伝子を持ったがん細胞がイマチニブで消失する割合は70-80%で、従来の治療法の10-25%に比べ大幅に高く、治療の柱になります。

未熟な細胞が異常増殖する急性前骨髄球性白血病は、未熟な細胞の成長を促して正常化させる薬「レチノイン酸」で、高い確率で完治するようになりました。

これらは「分子標的薬」と呼ばれる。慢性骨髄性白血病と急性前骨髄球性白血病は、ほぼ一つの遺伝子の異常で起こる共通点があり、「標的」の遺伝子を見つけやすいです。しかし他の白血病は複数の遺伝子が関与しているため、薬の開発は難しいです。

一方、白血病細胞だけに結合して死滅させる「抗体医薬」の研究も進んでいて、その1つがゲムツズマブオゾガマイシン(商品名マイロターグ)です。

スポンサードリンク


関係医療機関

浜松医大病院

高血圧に効果効能があるサプリメント

動脈硬化に効果効能があるサプリメント


スポンサードリンク


↑ ページトップ