サプリメント事典

-生理通、生理不順-

生理痛、生理不順

目次
  • 生理痛、生理不順の原因
  • 生理痛、生理不順の対策
  • 生理痛、生理不順に効果効能があるサプリメント
  • サプリメント以外での予防改善

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関連情報

生理痛、生理不順の原因

・生理痛は1ヶ月前後の周期で子宮が子宮内膜と血液と一緒に、押し出そうと収縮する時に伴って起こる下腹部や腰の痛みのことです。頭痛や眠気、イライラなどを伴う場合もあります。

症状が激しく生活に支障が出る場合などは、子宮内膜症子宮筋腫などの疑いがありますので産婦人科で診断を受けてください。

・生理不順は生理の周期が39日以上あいたり、月に2~3回あるなど周期が不規則な場合を指します。周期の乱れは女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンのバランスがくずれたことが原因と考えられます。

3ヶ月以上の無月経を「続発性無月経」といい、数ヶ月以上無月経なら「無排卵性月経」です。このよう方も産婦人科で診断を受けてください。

生理痛、生理不順の対策

生理痛、生理不順の対策としてはホルモンバランスと血液循環の改善がポインになります。

生理痛、生理不順に効果効能があるサプリメント


サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

イソフラボン(ファイトケミカル)はエストロゲンに似た構造をしていて「ファイトエストロゲン」と呼ばれています。
レッドクローバーの有効成分はイソフラボン類です。

鉄、銅、ビタミンEは血液循環を良くし、ビタミンEはさらに女性ホルモンの分泌を促進しますのでビタミンEは生理痛と生理不順、両方に有効です。

ブラックコホシュは、生理痛と生理前症候群(PMS)の症状を緩和してくれます。

ビタミンB6とツキミソウ油は、生理前症候群(PMS)の症状を緩和してくれます。

カルシウムは生理痛に伴うイライラを改善してくれます。

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サプリメント以外での予防改善

女性ホルモンはデリケートなホルモンですのでストレスや環境の変化、体の冷えなどに注意して、過激なダイエットなどしないようにして規則正しい生活を心がけてください

また一般的に生理のトラブルの多い人にタンパク質不足が指摘されていますので、卵や大豆、脂肪の少ない肉類、魚などで補ってください。またアボガドやナッツ、ウナギ、緑黄野菜はビタミンEを含んでいますので積極的に摂りましょう。

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関連情報



子宮筋腫の「集束超音波治療」

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍(しゅよう)で、30歳以上の女性の2から3割にあると言われています。子宮の内側にできたり、大きくなったりすると、出血による貧血や、周囲の臓器を圧迫して便秘や痛みなどを引き起こす。

従来は、子宮全体または筋腫だけを摘出する手術や、筋腫を大きくする女性ホルモンの働きを抑える薬物治療が行われてきました。

子宮筋腫の「集束超音波治療」

集束超音波治療は、虫眼鏡で日光を1点に集める要領で、超音波を患部に集中して照射して筋腫を焼く方法です。熱エネルギーは、診断で使う超音波の3000から5000倍、温度は60から90度になり、筋腫組織を破壊します。

長所は、患部のみに超音波を当てるので、やけどなど皮膚や周囲の臓器への影響が少ないことです。それと手術と違い、入院しないで実施できることです。

患者は超音波を発する装置が埋め込まれた台に、うつぶせになります。MRI(磁気共鳴画像)で、筋腫の場所を確認しながら照射します。治療中は痛み止めを使いますが、熱さはほとんど感じないそうです。

対象は、筋腫の大きさが直径10センチ以下で、1回に治療できるのは3個までです。超音波の通り道を腸がじゃまする場合や、筋腫が背中に近い場所にあって装置から遠い場合は治療が難しいです。

再発の問題もあります。周囲の組織を傷つけないよう、筋腫の縁の部分は焼かないので、残った筋腫が増殖して再び大きくなる恐れがあるからです。症状が出れば、再治療を行うケースもあります。筋腫を完全に除去するのではなく、あくまで小さくして症状を和らげる治療だからです。

治療後も妊娠が可能かどうか確認するため、日本や欧米で、将来の妊娠・出産を希望する人を対象とした臨床試験が進んでいる。

子宮筋腫の治療には、ほかにも子宮に栄養を送る動脈をふさぐ「子宮動脈塞栓術(UAE)」もあり、選択肢が広がっています。

関係医療機関 

医誠会病院

子宮筋腫のマイクロ波治療

過多月経の原因

月経血の量には個人差があり、同じ量でも不快に思う人も思わない人もいます。就寝中に布団が汚れる、月経中は必ず会社を休むなど日常生活に支障があったり、貧血になったりすると、「過多月経」として治療の対象になります。

原因はいろいろで、良性腫瘍(しゅよう)の子宮筋腫や、子宮内膜が筋層に入り込む子宮腺筋症のため、子宮内膜の面積が広がる場合のほか、血友病など血液が固まらない病気による場合もあります。1割ほどは原因が分かりません。

過多月経の治療には、ホルモン剤で月経を止める、低用量ピルで月経血の量を減らす、といった薬物療法があります。

しかしホルモン剤は、のぼせや肝機能障害、骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすいなどの副作用があって長期は使えず、低用量ピルでは症状をうまく抑えられないことが多いです。症状が重いと、手術で子宮を摘出することもありますが、約2週間の入院が必要です。

子宮筋腫のマイクロ波治療

マイクロ波治療は、超音波画像で見ながら、膣(ちつ)から子宮に細い管状の器具を入れ、先端からマイクロ波を出して子宮内膜を加熱、壊死させます。

患者は麻酔をかけ、あおむけになります。子宮の大きさ、変形の程度により差はありますが、治療は数分から数十分で終わります。手術に比べ体への負担が少なく、2泊ほどの短期入院で済みます。1995年にイギリスで始まり、これまで欧米などで1万例が行われています。

子宮は温存できますが、妊娠・出産を望む人は対象になりません。子宮内膜の表面から7ミリほどの深さまで壊死させるため、着床できなくなるからです。子宮内膜全体が壊死した場合、治療後は無月経になりますが、患者の希望で、子宮内膜の一部を焼かず、少量の月経血を残すことも可能です。

大阪市立大病院は独自に先端が湾曲した挿入器具を開発、子宮筋腫や子宮腺筋症により変形した子宮でも、隅々まで焼けるようになりました。

ただし子宮筋腫では下腹部の痛みなどの症状も併せ持つことが多いですが、この治療は出血を減らすことが目的で、痛みが軽くなるとは限りません。

このため、まず筋腫だけを摘出する手術や、超音波で焼いたり血管をふさいだりする別の治療を検討し、こうした方法が難しい時に限って勧める医療機関もあります。保険は適用されません。

関係医療機関

大阪市立大病院

子宮内膜症のロイコトリエン拮抗薬(きっこうやく)を使った治療法

子宮内膜症の原因

子宮内膜症は、卵巣や腹膜など体内の様々な場所に、子宮の内膜に似た組織ができる病気です。悪性ではないですが、ホルモンに反応して月経の度に大量に出血するなどし、強い月経痛や性交痛を引き起こします。

国内で年間の受診患者は約12万人と推計され、不妊の原因の一つでもあります。20―30歳代に多く、若い女性にとって深刻な病気の一つです。

はっきりした原因はわかりませんが、これまではホルモン剤で人工的に閉経状態にしたり、経口避妊薬で妊娠時に似た状態を作るなど、いずれも薬で月経を止め、進行を抑える治療が主流でした。

ただし、ホルモン剤では更年期障害に似た副作用が出るうえ、いずれの薬も排卵を抑制するので、妊娠を望む患者さんには向いていません。内視鏡手術で病変を取り除く場合も、再発の可能性は消えませんでした。

子宮内膜症のロイコトリエン拮抗薬(きっこうやく)を使った治療法

大森赤十字病院産婦人科医師の内出一郎さんと栃木臨床病理研究所長の菅又昌雄さんらは、子宮内膜症の発症にアレルギー反応が関与している可能性を動物実験で確かめました。

さらに、人間の内膜症組織を顕微鏡で詳しく調べたところ、アレルギー反応にかかわる「肥満細胞」という特殊な細胞が異常に増えていることを発見しました。

詳しいメカニズムは不明ですが、内出さんらは「卵管を通って月経血が逆流し、アレルギーを起こしているのではないか」と考えています。そうであれば、既存の抗アレルギー薬で症状を緩和できる可能性があります。

中でも、アレルギーを誘発する体内の物質ロイコトリエンの反応を抑える「ロイコトリエン拮抗薬」が、増えすぎた肥満細胞を消滅させる効果が高いとわかりました。

子宮内膜症患者には、花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患を併せ持つ人が多いいです。そこで内出さんらは、気管支ぜんそくを持つ内膜症患者約100人に、2週間―3か月間、1日1度、ロイコトリエン拮抗薬を服用してもらいました。その結果、約8割の人で月経痛の改善や月経血量の正常化がみられました。

服用後に内膜症の手術を行うと、組織がはがれやすく、手術が容易なうえ、出血もわずかで、手術時間を短縮できました。服用後、半年―1年で妊娠した人が次々に出ており、内出さんは「妊娠を望む患者に適している」と話しています。

ロイコトリエン拮抗薬は、ぜんそく発作を予防する薬として数年前から使われ始めました。内膜症治療の場合、患者は毎日、錠剤を飲みます。ぜんそく薬としては保険がきき、3割負担の場合の薬代は1か月約3000円です。

ぜんそく症状のない内膜症患者にも処方できますが、その場合は原則として保険がききません。副作用は少なく、胃がもたれやすくなる程度です。

内膜症に効果が出てくれば、医師と話し合って服用を止めることもできます。まだ始まったばかりの治療で、有効性の確認にはさらに大規模な調査が必要ですが、内出さんは「薬の処方が可能かどうか、近くの産婦人科で相談してほしい」と話しています。

関係医療機関

大森赤十字病院

子宮頸がんのHPVワクチン

子宮頸がん

子宮の頚部にできるもので、子宮がん全体の約65%を占めるほど発生率の高いがんです。

初期は無症状のこともありますが、不正性器出血、おりものがみられます。進行すると出血が持続的になり、おりものも膿性になり悪臭を伴います。さらに進行すると、骨盤の神経が置かされて腰痛が起こったり、膀胱や直腸に広がって排尿困難が生じるようになります。

子宮頸がんの診断は、まず細胞診を行ないます。面貌(めんぼう)などで子宮頚部の細胞を擦り取って、がん細胞の有無を調べます。異常があれば、コルポスコープ(膣拡大鏡)で観察し、頚部の一部を採取して組織を調べます。この段階で、どの程度進行しているかなどがわかります。

出産を希望する人、妊娠中で早期がんの人には、子宮頸部だけを円錐状に切り取って子宮を保存する方法(円錐切除術)が用いられます。

子宮頸がんの原因

子宮頸がんの原因がヒト・パピローマウイルス(HPV)であることは、ドイツのハラルト・ツアハウゼン博士(2008年ノーベル生理学・医学賞)が1983年に発見しています。

HPVには100種類以上の型があります。発がん性があるのは15種類で、子宮頸部の粘膜組織の奥にある基底細胞に感染すると、「いぼ」ができます。

ほとんどの場合は自然に治癒しますが、まれに、HPVの遺伝子が基底細胞のDNAに組み込まれます。そうなると、細胞分裂が異常になり、がん化してしまいます。

感染からがん発症までに10-30年かかると推定されています。国内では毎年約1万5000人が発症し、約3500人が亡くなっています。

世界では年に約24万人が、このがんのため死亡していて、近年は20-30代の患者さんが増えています。

子宮頸がんワクチンによる予防手段があるため「予防できる唯一のがん」と言われ、有効性は10-20年継続するといわれています。

自治医大さいたま医療センター産婦人科の今野良教授によりますと、「12歳の女児全員が接種すれば、子宮頸がんにかかる人を73・1%減らせ、死亡者も73・2%減ると推計されます」と話しています。

子宮頸がんのHPVワクチン

HPVワクチンは、多くのワクチンとは働き方が異なります。

インフルエンザワクチンなど通常のワクチンは、無毒化したウイルスの一部などを体内に注射し、抗体を作って、免疫システムの中に「記憶」を残します。本物のウイルスが来たとき、感染自体は防げませんが、素早い免疫反応で、重症化を防ぐことができます。

一方、HPVワクチンは、ウイルスの「殻」を注射して、血中に大量の抗体を作ります。抗体は子宮頸部の粘膜組織からしみ出て、外からやってきたウイルスの感染を防ぎます。どのくらいの期間、抗体の量が維持され、効果が続くかは分かっていませんが、政府は、今年度中に接種費用の助成を始める予定です。

HPVの「殻は」、L1、L2という2種類のたんぱく質でできています。現在流通しているHPVワクチンは、患者数の多い16型と18型のL1を利用していますが、L1はウイルスの種類によって異なるため、ほかの型の感染は防げません。

万能型HPVワクチンの開発

理化学研究所の神田忠仁チームリーダーらは、L2に、がんを起こす15種類のHPVに共通する部分があることに注目して、L2の共通部分とL1を合体させた「次世代型ワクチン」を開発しました。すべての種類に効果がある万能型ワクチンになると期待されています。

武田薬品工業は先月、このワクチンの製造準備を始めました。神田さんは「次世代型ワクチンが完成すれば、検診の頻度も減らせます。2013年には臨床試験を始めたい」と話しています。

関係医療機関

自治医大さいたま医療センター産婦人科

更年期障害のホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)の効果

女性の更年期障害は、主に閉経前後の45~55歳に、女性ホルモンの分泌が急激に減るために起きます。顔のほてりや動悸(どうき)、うつ症状などのほか、手足の冷え、肩こり、頭痛、不眠、イライラなど人によって様々な症状が表れます。 

ホルモン補充療法(HRT)は、飲み薬や張り薬を用いて、女性ホルモンを補う治療です。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類を併用し、手術で子宮を摘出した患者ではエストロゲンだけを用います。毎日薬を飲む場合や、ひと月に数日間の休みを挟みながら続ける方法もあります。

更年期症状の緩和に加え、エストロゲンには骨を溶かす細胞の活動を抑える働きがあることから、骨粗しょう症の改善も期待できます。

ホルモン補充療法(HRT)の副作用

しかし、米国国立衛生研究所が2002年、ホルモン補充療法(HRT)を受けた患者で、乳がん、心筋梗塞(こうそく)などの冠動脈疾患、脳卒中が、それぞれ26%、29%、41%増加したなどの研究結果を発表しました。このためホルモン補充療法(HRT)の危険性が、クローズアップされました。

ただしその後、この研究の対象者には、脳卒中などになりやすい肥満や高齢者が多かったなどの問題点が浮上しました。危険性だけを強調するのではなく、ホルモン補充療法(HRT)で得られるプラス面が上回る場合には、実施を考えるべきだとの方針が世界的にも標準となりました。日本産科婦人科学会などでも、安全にホルモン補充療法(HRT)を行うための診療指針をまとめています。

指針では、治療に伴い起きる可能性のある副作用として、

1.不正性器出血

2.乳房痛

3.片頭痛

4.乳がん

5.動脈硬化・冠動脈疾患

6.脳卒中

7.足などの静脈に血栓ができる血栓塞(そく)栓症

8.子宮体がん

9.卵巣がん

10.子宮頸(けい)がんなど、その他のがん

上記10項目をあげています。乳がんは5年以上続けると危険性が高まるが、死亡率は変わらず、冠動脈疾患は60歳以上だと危険性が高まり、脳梗塞の危険性は高まるが、脳出血は増加しないなどと、分析しています。

そのうえで指針は、治療を行う際には、年1回の乳がん検査や、血圧、コレステロール検査を継続することを勧めています。また60歳以上での治療開始や、5年以上の治療継続は乳がんなどの危険性が高まるとして、より注意が必要としています。肝硬変、乳がん、心筋梗塞、脳卒中を起こしたことのある人では行われません。

小山嵩夫(たかお)クリニックの小山さんは「米国では更年期の女性の約30%がホルモン補充療法(HRT)を受けていますが、日本では2%ほどです。効果や安全性についての日本での研究が進むことが望まれます」と話しています。治療には保険がきき、患者負担は月数千円(小山さんのクリニックは、保険のきかない自費診療)です。 

NPO法人「女性の健康とメノポーズ協会」(東京)では、更年期障害に悩む女性たちのために電話相談(火・木曜の午前10時半~午後4時半、(電)03ー3351ー8001)を行っています。

関連医療機関

小山嵩夫(たかお)クリニック

関連ホームページ

女性の健康とメノポーズ協会

子宮内膜症の新治療薬「ルナベル」と「ディナゲスト」

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内の組織(子宮内膜)が、卵巣、子宮と直腸の間など、別の場所にできる病気です。卵巣では、血液がたまって袋状(のう胞)になります。原因はまだ分かっていません。

病巣は、卵巣から分泌される卵胞ホルモンにより増殖、炎症や出血を繰り返し、月経痛をはじめ、下腹部や腰の慢性痛、性交痛、排便痛を引き起こします。不妊の原因にもなります。

鎮痛剤で痛みを抑えることもありますが、症状の進行は抑えられませんでした。痛みを和らげ悪化を防ぐには、卵巣の働きを抑える薬物治療(ホルモン療法)が有効でした。

これまで主に使われてきたのは、GnRHアゴニスト製剤(商品名・スプレキュア、リュープリンなど)でした。脳から卵巣を刺激するホルモンの分泌を下げ、間接的に卵巣の機能を止めます。病巣は小さくなり、痛みもなくなります。

しかし、卵巣から卵胞ホルモンの分泌が止まることで閉経の状態になり、更年期障害と似た副作用が出ます。とりわけ、骨折のおそれが高まる骨量の低下は深刻なため、投与期間は半年に限られます。服用をやめると病巣は再び増殖し、痛みも再燃しやすくなります。

子宮内膜症の2つの新薬

これに対し、2008年登場した低用量ピルの「ルナベル」と、黄体ホルモン剤の「ディナゲスト」は、黄体ホルモンの働きで、痛みを長期に抑え、悪化を防ぎます。

黄体ホルモンには、

1.排卵や月経を止める

2.子宮内膜組織を縮小する

3.炎症を招く物質を抑える

などの作用があります。

ルナベルは、以前から子宮内膜症患者に自費で処方されてきた避妊用の低用量ピル(オーソM21)と同じ成分です。卵胞ホルモンも配合されているので、更年期障害の副作用はありません。ただし、月経痛以外の痛みには十分に効かないこともありますし、病巣を縮める力もやや弱いです。1か月の自己負担は約2100円です。

一方、ディナゲストは、より強力な黄体ホルモンを含みます。月経時以外の慢性痛も和らげ、病巣も縮小します。卵胞ホルモンは含まれていないため骨量は減りますが、GnRHアゴニスト製剤ほどは減らないとされ、使用期間に限度はありません。7割の患者さんに生理時以外に出血する「不正出血が」見られますが、多くは徐々におさまります。1か月の自己負担は8000円前後です。

東大病院産婦人科講師の百枝(ももえだ)幹雄さんは「効果や副作用、費用を踏まえますと、まずルナベルなどの低用量ピルを服用するのが基本です。ピルで緩和できない月経痛以外の痛みや、血圧が高いなどピルが使えない場合に、ディナゲストを使うのが望ましいです」と話しています。

関係医療機関

東大病院

子宮がんの広汎(こうはん)子宮頸部摘出術

子宮頸(けい)がん

子宮がんには、入り口(頸部)にできる子宮頸がんと、奥の部分にできる子宮体がんがあります。

子宮頸がんには、早期であれば、頸部を円錐(えんすい)状に切り取って子宮全体は残す「円錐切除術」が広く行われています。ただ対象は、がんが子宮頸部の浅い部分にとどまる0期から1a1期に限られ、病巣が広がったり深くなったりした場合、通常は子宮を摘出しなければならない。

広汎(こうはん)子宮頸部摘出術

これに対し、子宮を温存する「広汎子宮頸部摘出術」は、子宮頸部と膣(ちつ)の一部、周囲のリンパ節と子宮をおなかの中で支える組織(基靭帯)を切り取り、残した子宮体部を膣につなぐ方法です。

この治療は、がんがやや進行した1a2期から1b1期までが対象になります。ただし、がんが2センチ以上か、「腺がん」というタイプの場合は転移の危険が高く、この治療を受けられるとは限りません。周囲のリンパ節へ転移がある場合も子宮を摘出します。

ただ、妊娠しても早産しやすい傾向があり、子宮の入り口を縛り直す緊急手術を行う場合もあります。

欧米データでは、がんの再発率は子宮全摘手術と変わりませんが、安全性が確立しているとは言えず、妊娠中も画像診断などで再発していないかチェックが欠かせません。

広汎(こうはん)子宮頸部摘出術は、がん治療にあたる医師と、産科、小児科医が緊密に連携して初めてできる治療と言えます。

子宮体がんの温存治療

子宮体がんでも温存治療が進んでいます。がんの広がりを防ぐため黄体ホルモンを毎日服用して内膜の増殖を抑えながら、内側を覆う子宮内膜を、細い棒状の器具を挿入して定期的にはがし取ります。

がんが子宮内膜にとどまる1a期のほか、将来がん化する可能性が高い「子宮内膜異型増殖症」も治療の対象です。

黄体ホルモンの服薬中は、4週間ごとに超音波で内膜の厚さを確認します。治療は4か月から半年かかります。再発した場合、治療をもう一度繰り返すこともできますが、子宮を摘出せざるを得ないこともあります。十分な経過観察が治療成功のカギになります。

関係医療機関

慶応大学病院

卵巣がんの新治療薬「ドキシル」(一般名ドキソルビシン塩酸塩)

再発卵巣がんの治療薬「ドキシル」

卵巣がんは、早期には自覚症状がほとんどなく、有効な検診法もありません。このため、半数は進行した状態で見つかります。治療は、手術に抗がん剤を組み合わせるのが基本です。抗がん剤はパクリタキセルとカルボプラチンを併用するのが一般的です。

しかし再発することもあり、治療を続けるうちに、これらの抗がん剤は効かなくなります。その際に用いる抗がん剤として2009年4月承認されたのが「ドキシル」(一般名ドキソルビシン塩酸塩)です。乳がん治療などに用いる抗がん剤アドリアマイシン(ドキソルビシン)を特殊な物質で覆い、がん細胞に効果的に届くよう加工しています。

順天堂大練馬病院産科婦人科准教授の荻島大貴さんによりますと、再発した卵巣がん患者の約20%で、がんが小さくなるなどの効果があります。生存期間をどれだけ延ばせるか明確なデータはありませんが、がんに伴う痛みなどの症状緩和が期待できます。

一方、手足の痛みを伴う赤みや、口内炎、吐き気、感染症にかかりやすくなるなどの副作用も伴います。荻島さんは「ほかの抗がん剤に比べれば副作用は少なく、治療の選択肢が増えた意味は大きいです」と話しています。

ドキシルの承認

ドキシルは、再発卵巣がんの治療薬として1999年から米国など約75か国で承認されており、卵巣がん体験者の会「スマイリー」が承認を求める署名活動をしました。

会員の滋賀県の女性(44)は、2005年1月、下腹が張り、胃が押し上げられて食事が思うように食べられないなどの症状が出ました。進行した卵巣がんと診断され、同年3月に手術をして、その後半年間、抗がん剤治療を受けました。

しかし治療を終えてから半年後、がんの活動を表す血液検査の腫瘍(しゅよう)マーカーの値が上がったため、再び抗がん剤治療を開始しました。その後も、再発の兆候があるたび、計4回の抗がん剤治療を繰り返し受けています。

同じ抗がん剤を使い続けると効果が薄れてくるため、使える薬は確実に減っていきます。「元気で体力はあるのに、治療法がないと言われるのが一番怖い。使える薬が一つでも増えるのは、ありがたいです」と話しています。

その他の抗がん剤

日本婦人科腫瘍学会は07年、卵巣がんの治療指針をまとめましたが、再発時の治療薬として挙げた7つの抗がん剤のうち、2つは現在も保険がききません。

このうち、トポテカンは承認に向けて臨床試験(治験)が進行中です。もうひとつのジェムザールは、肺がん、すい臓がんなどには承認されていますが、卵巣がんには承認申請の予定はなく、一部の施設で臨床研究や肺がん転移などの名目で使われているのが実情です。

卵巣がんは40歳代後半から50歳代に最も多く、新規患者数は過去30年間で3倍に急増しています。がんが卵巣にとどまる1期なら5年生存率は約9割ですが、初期症状がなく進行して見つかることが多いです。10~20歳代の若い女性にまれに見つかる悪性胚(はい)細胞腫瘍も卵巣がんのひとつですが、抗がん剤が良く効き、治る場合が多いいです。

再発卵巣がんに使う抗がん剤

・保険で使えるもの

タキソール(一般名 パクリタキセル)

カンプトトポテシン(一般名 イリノテカン)

タキソテール(一般名 ドセタキセル)

ベプシド、ラステット(一般名 エトポシド)

ドキシル

・保険がきかないもの

ジェムザール

トポテカン

関係医療機関

順天堂大練馬病院産科婦人科

がん治療前の不妊対策「ガラス化法」と「放射線遮断」

不妊対策「ガラス化法」

白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんには、骨髄移植などの治療が行われます。その際、事前にがん細胞を退治するため、前処置として抗がん剤治療や全身の放射線照射を行います。その影響で卵巣や精巣の機能が失われ、不妊になることが多いです。

男性の場合、精子を事前に凍結保存する方法が普及してきましたが、女性の場合は卵子の採取や保存が難しく、これまで凍結保存はほとんど行われていませんでした。がんが治っても、「不妊」という後遺症に悩む女性も少なくありません。

未受精卵は受精卵に比べてもろく、低温になると細胞内の水分が氷の結晶構造を作るために膨張し、細胞が壊れやすいです。凍結しても、従来の方法では解凍後の卵子の生存率は約2割にすぎず、体外受精で出産に至る確率はわずか1%程度とされていました。

しかし、未受精卵を凍結保存する従来とは異なる新しい手法が開発され、注目されています。加藤レディスクリニック(東京・新宿)研究開発部長の桑山正成(くわやままさしげ)さんが開発した「ガラス化法」と呼ばれる凍結法です。これまで動物の卵子凍結に使われていましたが、1999年にヒトヘの応用に成功し、解凍後の未受精卵の生存率が98%へと飛躍的に高まりました。

「ガラス化法」は、細胞内の水分を毒性のない特別な溶液に徐々に置き換え、氷の結晶を作らないように凍結させます。この結晶がガラスと似たような構造を持つことからこの名がつきました。

同クリニックでは、ガラス化保存した未受精卵29個を体外受精させ、すでに5人の子供が生まれました。いずれも不妊患者への一時的な措置として凍結されたもので、まだ白血病患者のケースはありませんが、桑山さんは「他の不妊治療施設にもノウハウを伝え、全国の白血病患者の要望に応えていきたい」と話しています。

放射線を遮断して卵巣機能を守る手法

しかし、「ガラス化法」ですと卵子の採取には、月経開始から約10日間、排卵を誘発する薬物治療を続ける必要があり、病状が急激に進行してしまった場合には実施が難しいです。凍結保存した場合でも、体外受精で妊娠に至る確率は一般に2-3割と高くありません。未受精卵の凍結保存で生まれた子供の健康に関する長期データもありませ。

そこで、がん患者には別の方法も試されています。骨髄移植の前処置の全身放射線治療の際、卵巣の部分だけを厚いタングステンで覆い、放射線を遮断して卵巣機能を守る手法です。

東大病院では、無菌治療部と放射線科が共同して、2002年からこれまでに3人の患者に実施、うち2人は治療後に月経が戻り、卵巣機能が回復しました。しかし、残りの1人は白血病が再発しました。再発が起きた部位は卵巣ではなく、卵巣に放射線照射をしなかったこととの因果関係は不明ですが、同部特任講師の神田善伸(かんだよしのぶ)さんは「十分に説明した上で慎重に進めたい」と話しています。

白血病専門医らで作る日本造血細胞移植学会は、治療後の不妊に対処するため、生殖医療の最新情報を患者に提供することになりました。

未受精卵の凍結保存を行う施設はまだ少なく、放射線の遮断も東大でしか実施されていません。

同学会前会長で岡山大教授の谷本光音(たにもとみつね)さんは「不妊対策について、治療前に主治医に相談してほしい」と話しています。

骨随移植の前処置と卵巣機能

抗がん剤のエンドキサンを使った場合の卵巣機能回復率は68%、エンドキサンとブスルファンの組み合わせでは2%、エンドキサンと放射線照射で15%という海外のデータがあります。移植後の妊娠を望むのでしたら、その可能性も含め、早めに主治医に相談してください。

関係医療機関 

加藤レディスクリニック

東大病院

不妊治療に胚盤胞移植(はいばいほういしょく)

不妊治療の胚盤胞移植とは

不妊治療は、採取した精子を子宮に送り込む「人工授精」と、体外で受精させた卵子を子宮に戻す「体外受精」に大別されます。さらに最近では、受精卵を着床直前の状態まで体外で育てて、子宮に戻す胚盤胞移植が登場しました。50%から70%という高い妊娠率です。

胚盤胞は、受精卵を体外で5日間ほど培養したものです。従来の体外受精での培養期間(2日間)より長くしたのは、未熟な受精卵よりも、数千から数万に分割して、着床準備が良く整った胚盤胞の方が妊娠しやすいのではないかと、考えられています。

実際、医療機関で差はありますが、妊娠率は約60%で、従来型の体外受精に約2倍です。体外受精を何度しても妊娠できなかった方でも、この方法で妊娠した人も多いです。胚盤胞まで育つ受精卵は状態が良く、妊娠率も高いです。そうした受精卵を目で見て選ぶことができる、という利点もあり、今ではほとんどに大学病院や専門医療機関で実施され始めています。

しかし受精卵が胚盤胞まで育つのは、患者の半数にとどまるといった、問題点もあります。胚盤胞になる途中で発育が止まり、用意した受精卵全部がだめになると、通常の体外受精の機会も失ってしまいます。

二段階胚盤胞移植法とは

そこで改良されたのが、胚盤胞移植と普通の体外受精とを組み合わせた二段階胚盤胞移植法です。この方法ですと、少なくとも受精卵1個は、患者の方に戻すことができます。

滋賀医科大学病院では、受精後二日後に受精卵1個を戻し、五日後に胚盤胞を戻すという手法を実施しています。最初に子宮に戻した受精卵から出る物質が着床、妊娠を促進しているとの仮説もあり、患者の方の70%近くが妊娠に成功しています。

しかし、二段階胚盤胞移植法を含めた胚盤胞移植で、全ての患者の方が妊娠できるわけではありません。特に患者の方が高齢で、卵子がわずかしか取れない場合は、胚盤胞まで育つ可能性も低いです。また妊娠率が高いことから、双子以上の多胎が増えてしまう傾向もあります。

関係医療機関

滋賀医科大学病院

不妊症の卵管鏡下卵管形成術

卵管の通過障害による不妊症

卵管は、子宮の端から左右に伸びる管で、卵巣から卵子を受け取り、子宮まで運ぶ役目をします。この卵管の詰まりや癒着(ゆちゃく)による通過障害が、女性に起因する不妊症の原因として最も多く、男子を含めた不妊症原因の約3割を占めていると言われています。

治療には、卵子と精子を採取して受精させる体外受精を勧める医療機関が極めて多いです。しかし本来は、原因となる卵管の解消できれば、自然に妊娠する可能性があります。

不妊症の卵管鏡下卵管形成術

そこで卵管の中に、ごく細い管(カテーテル)を入れて、詰まった部分を開通させるのが「卵管鏡下卵管形成術」です。卵管は長さが約10センチ、直径は細いところで約1ミリしかありません。この治療では、内部に卵管鏡の入った細い管を、膣(ちつ)から子宮を通じて卵管に入れます。管は筒状の風船状に膨らんでいますので、卵管の詰まりを広げます。卵管を傷つけないように、管の外側は卵管の壁に密着し、管の内側が外側にめくれ返りながら、ゆっくり伸びて管の詰まりを改善します。

この治療法で不妊が改善すれば、排卵誘発剤による副作用などがある、体外受精をせずにすむうえ、第1子だけでなく、2子、3子も自然妊娠で産める可能性が出てきます。

体外受精ですと保険が使えませんが、卵管鏡下卵管形成術ですと保険が使え、一定額以上は高額医療費の還付があります(最終的な自己負担額は所得によって約35000円から約14万円)。

外来での40分程度の治療で済み、その日のうちに帰宅できます。しかし詰まりが卵巣に近い卵管末端部にある場合などは、腹部に小さな穴を開けて腹腔鏡を入れ、逆側から管を通すことがあります。この場合は全身麻酔での手術となり、4日前後の入院が必要になります。

卵管鏡下卵管形成術は、細く破れやすい卵管を、複雑な装置を使って少しずつ広げていくという難易度の高い治療のため、なかなか普及しません。いきなり体外受精を勧められる、患者が多いのが現状ですので、不妊の原因が「卵管の通過障害」と言われたら、卵管形成術について尋ねてください。

関係医療機関

慶応大学病院

更年期障害のホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)の効果

女性の更年期障害は、主に閉経前後の45~55歳に、女性ホルモンの分泌が急激に減るために起きます。顔のほてりや動悸(どうき)、うつ症状などのほか、手足の冷え、肩こり、頭痛、不眠、イライラなど人によって様々な症状が表れます。 

ホルモン補充療法(HRT)は、飲み薬や張り薬を用いて、女性ホルモンを補う治療です。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類を併用し、手術で子宮を摘出した患者ではエストロゲンだけを用います。毎日薬を飲む場合や、ひと月に数日間の休みを挟みながら続ける方法もあります。

更年期症状の緩和に加え、エストロゲンには骨を溶かす細胞の活動を抑える働きがあることから、骨粗しょう症の改善も期待できます。

ホルモン補充療法(HRT)の副作用

しかし、米国国立衛生研究所が2002年、ホルモン補充療法(HRT)を受けた患者で、乳がん、心筋梗塞(こうそく)などの冠動脈疾患、脳卒中が、それぞれ26%、29%、41%増加したなどの研究結果を発表しました。このためホルモン補充療法(HRT)の危険性が、クローズアップされました。

ただしその後、この研究の対象者には、脳卒中などになりやすい肥満や高齢者が多かったなどの問題点が浮上しました。危険性だけを強調するのではなく、ホルモン補充療法(HRT)で得られるプラス面が上回る場合には、実施を考えるべきだとの方針が世界的にも標準となりました。日本産科婦人科学会などでも、安全にホルモン補充療法(HRT)を行うための診療指針をまとめています。

指針では、治療に伴い起きる可能性のある副作用として、

1.不正性器出血

2.乳房痛

3.片頭痛

4.乳がん

5.動脈硬化・冠動脈疾患

6.脳卒中

7.足などの静脈に血栓ができる血栓塞(そく)栓症

8.子宮体がん

9.卵巣がん

10.子宮頸(けい)がんなど、その他のがん

上記10項目をあげています。乳がんは5年以上続けると危険性が高まるが、死亡率は変わらず、冠動脈疾患は60歳以上だと危険性が高まり、脳梗塞の危険性は高まるが、脳出血は増加しないなどと、分析しています。

そのうえで指針は、治療を行う際には、年1回の乳がん検査や、血圧、コレステロール検査を継続することを勧めています。また60歳以上での治療開始や、5年以上の治療継続は乳がんなどの危険性が高まるとして、より注意が必要としています。肝硬変、乳がん、心筋梗塞、脳卒中を起こしたことのある人では行われません。

小山嵩夫(たかお)クリニックの小山さんは「米国では更年期の女性の約30%がホルモン補充療法(HRT)を受けていますが、日本では2%ほどです。効果や安全性についての日本での研究が進むことが望まれます」と話しています。治療には保険がきき、患者負担は月数千円(小山さんのクリニックは、保険のきかない自費診療)です。 

NPO法人「女性の健康とメノポーズ協会」(東京)では、更年期障害に悩む女性たちのために電話相談(火・木曜の午前10時半~午後4時半、(電)03ー3351ー8001)を行っています。

関連医療機関

小山嵩夫(たかお)クリニック

関連ホームページ

女性の健康とメノポーズ協会

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