B型肝炎ウイルスの再活性化
「再活性化」とは何か
B型肝炎ウイルス(HBV)は、一度感染するとウイルスの遺伝子が肝細胞の中に長期間残る性質があります。
血液検査でHBs抗原が陰性であっても、過去に感染した人の体内にはウイルスが潜んでいることがあるため、
強い免疫抑制治療などをきっかけにウイルスが再び増え始める現象を「再活性化」と呼びます。
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どのようなときに起こりやすいか
HBV再活性化のリスクが高いのは、次のような免疫を強く抑える治療を行うときです。
- がんに対する化学療法
- リウマチ・膠原病などに用いる生物学的製剤やJAK阻害薬
- 造血幹細胞移植・臓器移植
- 高用量のステロイド治療 など
HBs抗原陽性の方だけでなく、HBc抗体陽性/HBs抗原陰性の「既感染者」でも再活性化が起こることが知られています。
なぜ危険なのか
- 一気にウイルス量が増えると、急性肝炎や劇症肝炎を起こすことがある
- 肝機能障害のため、本来のがん治療や免疫抑制治療を続けられなくなることがある
- まれに肝不全・死亡につながる重い経過をとることもある
そのため、現在は「予防」が最も重要とされています。
再活性化を防ぐための基本戦略
1)治療開始前のスクリーニング
日本肝臓学会などのガイドラインでは、免疫抑制・化学療法を行う前に
- HBs抗原
- HBs抗体
- HBc抗体
などの検査を行い、B型肝炎ウイルスへの現在・過去の感染の有無を確認することが推奨されています。
2)抗ウイルス薬による予防投与
再活性化のリスクが高い場合は、免疫抑制治療や化学療法の開始前から
- エンテカビル
- テノホビル製剤
などの核酸アナログ製剤(NUC)を予防的に投与し、HBVの増殖を抑えます。
治療中だけでなく、治療終了後もしばらく(通常少なくとも6か月以上)は継続投与と定期的なウイルス量モニタリングが推奨されています。
3)定期的なHBV DNAモニタリング
核酸アナログの予防投与に加えて、
- HBV DNA(ウイルス量)
- 肝機能検査(AST・ALT・ビリルビンなど)
を定期的に測定し、再活性化の早期兆候を見逃さないことが重要です。
この記事の位置づけ
このページは、免疫抑制治療や化学療法に伴うB型肝炎ウイルス再活性化の考え方と、
現在のガイドラインにもとづく予防の基本戦略を整理したものです。
がん治療やリウマチ・膠原病の治療を受ける前に、過去のB型肝炎感染歴やワクチン歴を主治医に伝え、
必要な血液検査と、肝臓専門医との連携について相談することが大切です。
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