サプリメント事典

-疲れ目(眼精疲労)-

疲れ目(眼精疲労)

目次
  • 疲れ目(眼精疲労)の原因
  • 疲れ目(眼精疲労)の対策
  • 疲れ目(眼精疲労)に効果効能があるサプリメント
  • サプリメント以外での予防改善

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関連情報

疲れ目(眼精疲労)の原因

疲れ目(眼精疲労)の原因は目の使い過ぎにより、目の毛細血管の血行が悪くなることで起こります。

疲れ目の症状は目がしょぼしょぼする、物がかすんで見える、目が充血するなどで症状が進むと頭痛肩こり全身倦怠などになります。

最近疲れ目として注目されているのがドライアイです、ドライアイとは涙液の量が減り角膜が部分的に乾燥、露出して眼球を傷つけてしまう状態です。

主な原因としてはパソコンの長時間の使用によるままばきの減少やコンタクトレンズの長時間の使用、エアコンによる空気の乾燥などがあげられます。

疲れ目(眼精疲労)の対策

疲れ目の対策としては、目に入った光を脳に伝達するタンパク質ロドプシンの合成を活性化することがポイントになります。

疲れ目(眼精疲労)に効果効能があるサプリメント


サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

アントシアニンはロドプシンの合成を助け、視力を向上させます。

ビタミンA(β-カロテン、レチノール)はロドプシンの生成に欠かせない物質で、これが不足すると疲れ目になります。

ビタミンB2は目の神経や筋肉の疲れを回復してくれます。

ビタミンCは眼球の水晶体の酸化を防ぎ、目の充血を改善してくれます。

ブルーベリー(ビルベリー)は有効成分にアントシアニンを含み、糖尿病性網膜症を改善します。

ルテイン、ゼアキサンチンは視力の低下や黄班変性症になるのを防ぐ作用があります。

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サプリメント以外での予防改善

疲れ目を改善するにはパソコンを長時間使用する時などは、こまめに目を閉じて目を休ませて目の周りをマッサージしてください。

食事ではビタミンAを含んだレバーや緑黄野菜、ウナギ、タマゴやアントシアニンを成分と含むブドウや赤ジソ、赤キャベツなどを積極的に摂りましょう。

また目の乾燥を防ぐには、ビタミンAを配合して防腐剤を添加してない目薬を使うといいでしょう

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加齢黄班変性症の光線力学的療法

加齢黄班変性症は、網膜の老化に伴い、視力に重要な網膜の「黄班部」が変性して、視野の真ん中がゆがんだり、暗く見えたり、欠けたりする眼の病気です。欧米では失明原因の第一位で、日本でも食生活の変化に伴い、欧米並みに増えてきました。

黄班部の変性の仕方は、2タイプあり、患者に多くみられるのは、黄班部が縮む「委縮型」で、比較的ゆっくりと進行します。もう一つのタイプは、網膜の下から新しい細い血管(新生血管)が伸びて、網膜にゆがみが生じる「滲出型」(しんしゅつがた)です。滲出型は、悪性で失明につながりやすいです。

治療法として、レーザーの熱で新生血管を焼き固める「レーザー光凝固」が行われています。しかし周囲の正常な網膜組織も熱で傷めてしまい、かえって視力の低下につながる危険性があります。このため黄班部の真ん中のくぼみで、解像力の高い「中心化窩」(ちゅうしんか)の部分では、こうの治療法は使えません。

このため新生血管を取り除いたり、黄班部を切ってずらしたりする手術、さらに中心化窩に赤外線レーザーを当てる治療も試みられていますが、いずれも効果は確立されていません。

欧米で広く行われているのが、特殊な薬剤とレーザーを組み合わせることで、病変だけを破壊する光線力学的療法です。治療法は「ベルテポルフィン」という薬を静脈に点滴注射後、レーザーを照射します。この薬は新生血管に集まり、レーザーが当たると化学反応を起こして、活性酸素を発生させ、血管内部から破壊します。発熱しにくいレーザーを使いますので、網膜には影響がほとんどありません。

治療後も3ヶ月ごとに検査し、新たな病変が見つかると、再治療が必要になります。一度傷ついた網膜は元に戻らないものの、新生血管を次々につぶして、病気の進行を止めます。

治療薬のベルテポルフィンには、日焼けを起こす光線過敏症などの副作用の心配があります。このため、初回治療には3日間の入院が義務づけられています。

関係医療機関 駿河台日本大学病院


有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)挿入術


近視の治療法
近視の治療では、「LASIK(レーシック)」と呼ばれるレーザーを使った手術があります。まず電動メスで角膜表面を膜状に切開してめります。その内側の角膜をエネルギーの高いエキシマレーザーで削り、めくった膜でふたをします。角膜の屈折率を変えることで、視力を取り戻す原理で、乱視の矯正もできます。

保険は適用されませんが、年間約5万件(慶応大医学部眼科推計)の治療が行われ、日本眼科学会も「レーシックは視力矯正の第一選択肢」として診療指針を作成しています。

有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)挿入術
しかし、このレーシックは強度の近視(視力0・03程度以下)人や、角膜が薄く、削れない人には適用できません。そんな人に有効とされるのが有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)挿入術です。

使用する眼内レンズは、白内障治療で使われるのと同じ樹脂素材です。白内障手術と違うのは、白内障の場合は水晶体を除去し、レンズを挿入するのに対し、近視用IOLでは水晶体をそのまま残します。このため、「有水晶体」の名前がり、レーザーで角膜を削ることもありません。1986年に始まった欧州では既に17万件に達し、米国でも近視用眼内レンズが承認されています。

「レーシック後に時折起きる周辺視野の見えにくさ(グレア)もなく、角膜が薄く、強度近視の人には向いている手術だ」と深作眼科院長の深作秀春さんは評価します。

手術は、麻酔を含め15―30分ほどです。麻酔後、角膜を切開し、虹彩(こうさい)の間にある前房にレンズを挿入、レンズ両端のカニの爪(つめ)のような固定具で、虹彩の外側に留めます。レンズの直径は6ミリ程度で、厚さは手術前の視力によって異なりますが1ミリ前後です。手術は1か月ほどの間隔を空けて、片方の目ずつ行います。

「前房には、角膜や虹彩に栄養を送り、老廃物を排出する役割を担う液体がある。角膜内皮細胞の障害を避けるため、前房の深さが3ミリ以上あることが、手術を行う目安」と深作さんは言います。
虹彩の炎症の程度によるが、手術後の1年間に6、7回通院して経過を診ます。7割の人は抜糸は必要はありませんが、乱視が強い場合は手術後、数週間以内に抜糸します。

慶応大、坪田一男教授によりますと、平均裸眼視力は手術前の0・02から0・9に改善するそうです。

一方で〈1〉角膜を長さ約6ミリ切開するため縫合が必要で、乱視が出ることがある〈2〉角膜内皮細胞が1、2%程度減少するので経過観察が必要〈3〉レンズの虹彩固定に技術を要する――など課題もあります。保険は適用されず、費用は一方の目で30―40万円。
坪田さんは「この手術はレーシック同様に今後普及すると思う。ただ、手術には一定の技術が不可欠で、医師を選ぶことが必要」と話しています。

関係医療機関 慶応大学病院眼科


眼瞼下垂(がんけんかすい)の腱膜固定術(けんまくこていじゅつ)


眼瞼下垂肩は、こりや頭痛の原因
上まぶたが下がってくる眼瞼下垂は、45歳を過ぎるころから多くの人に現れます。視界が狭くなり、無意識のうちに目を大きく見開くため、まゆが上がってきて、二重のラインも乱れます。

まぶたの裏側には目を守る硬い瞼板(けんばん)があり、腱膜で密着した眼瞼挙筋が上げ下げをしています。加齢の影響や、コンタクトレンズによる刺激、アレルギーで目をこすることなどで、腱膜がゆるみ瞼板との間で滑ると、まぶたが上がりにくくなります。これが眼瞼下垂です。

眼瞼下垂は、単に視野や美容の問題ではありません。肩こりや頭痛のほか、不安感や憂うつな気分など脳の働きにも関係しています。まぶたを上げる動きは、脳の前頭前野という意識の覚せいに関係する部位とつながっています。ですから、頭をすっきりさせるため、目を見開いたり、目をこすったりする動作をします。
このように、まぶたは脳のスイッチなのです。

眼瞼下垂があると、スイッチを入れるために、まゆをつり上げる必要があり、そのために頭部の筋肉が収縮します。これが、肩こりや緊張型頭痛の原因になるのです。

また、眼瞼挙筋の働きが弱まると、そこにつながるミューラー筋という別の筋肉が収縮します。これが自律神経の交感神経を刺激して、自律神経のバランスを崩します。更年期障害にも、眼瞼下垂と関係したものがあります

腱膜固定術(けんまくこていじゅつ)
治療では、まぶたを切開し、腱膜の一部である眼窩隔膜(がんかかくまく)を引っぱって瞼板に3か所で縫いつけます。これにより、自然にまぶたが上がるようになります。

手術は両目を合わせて、一時間程度で終了します。日帰りも可能ですが、手術後の出血の危険がある場合は入院して行います。

従来、眼瞼下垂の手術は、伸びた眼瞼挙筋をミューラー筋ごと短く切除して、瞼板に縫いつけていました。これは目が閉じなくなる危険があり、まぶたを上げる効果も小さかったです。腱膜固定術の方が、安全で確実です。この手術を実施する医療機関は、大学の形成外科を中心に増えています。

目がくっきりしたり、左右のバランスが変化したりすることで、表情が変わることもあります。肩こりが楽になるなどの効果には、個人差があります。

眼科と形成外科
まぶたが垂れてくることから、伸びた眼瞼挙筋などを切除して単純に縫い合わせる治療は、眼科で行われてきました。ところが、効果は少なく、まぶたが閉じなくなる失敗例もありました。これに対し、腱膜固定術は、傷の修復などを専門にする形成外科が考案した方法です。


関係医療機関 信州大病院形成外科


「眼瞼(がんけん)けいれん」のボトックス注射治療



「眼瞼けいれん」の症状と原因
「まぶしい」「目がショボショボする」といった症状が続き、重症になるとまぶたが閉じて目を開けていられなくなるのが「眼瞼(がんけん)けいれん」です。根本的な治療法がない上に的確な診断がされにくいなどの難点があります。

眼瞼けいれんは、目を開けようとしても開けていられなくなるため、見えにくくなり日常生活に支障が出ます。脳の中枢神経回路の故障が原因とされていますが、解明されていません。治療を受けている患者は推定3-4万人。40歳代後半以降の女性に多いです。

最初は「まぶしい」「目をつぶる方が楽」「目が乾く」「外に出ると目が開けにくくなる」といった症状から始まります。このため「ドライアイ」「気のせい」「眼精疲労」「更年期障害」などと誤診されることも多いです。

眼瞼けいれんに詳しい井上眼科病院(東京都千代田区)の若倉雅登院長は「人込みで人や物にぶつかりそうになつたり、電柱や停車中の車にぶつかったことがある、自動車の運転に危険を感じたことがあるなど、特有の症状があります。日常生活について丁寧に聞けば見極められます」と言います。睡眠導入剤を常用したり、トルエンなどの化学物質にさらされる仕事をしている人に、現れる場合もあるそうです。

しかし、実際は医療関係者のこの病気に関する理解は、十分ではないようです。「正確に診断されるまでに5,6カ所、病院を渡り歩いている方も多い」と2004年の夏、初めてできた患者団体「眼瞼・顔面けいれん友の会」の益田公子副代表は話します。

病名が分からない患者の孤独感や不安は大きく、「正確な診断を受けて、初めてほかにも患者がいると分かりほっとする」と益田さんは話します。同会は、同病院で治療を受けていた患者が、支え合おうと設立されました。情報交換や病気の勉強、会報発行などの活動を行い、会員は全国約110人まで増えました。

「眼瞼けいれん」のボトックス注射
治療法の一つ、ボトックス注射の薬剤価格を下げるよう輸入販売会社と交渉も重ねています。この治療法は目の周りに行う筋肉注射で、筋肉の緊張を和らげ、約8割の患者に症状の改善がみられています。しかし、効力が3,4カ月しか続きません。保険適用されていても1回につき3万円かかります。

眼瞼けいれんの自己診断

下記は「眼瞼けいれん」の自己診断チェックシートです。

□まばたきが多い
□屋外で、もしくは屋内でもまぶしい
□目を開いていられない(目をつぶっていた方が楽だ)
□目が乾く、しょぼしょぼするなど、目がいつも気になる
□人ごみでものにぶつかりそうになる
□電柱や立ち木、停車中の車にぶつかった
□太陽や風、階段の上り下りが苦手で外出できない
□危険を感じて車や自転車の運転をあきらめた
□手を使って目を開けなければならない時がある
片目をつぶってしまう

上の症状のうち、1-2個当てはまる場合は、眼瞼けいれんの疑いがあり、3個以上当てはまる場合はより可能性が高いそうです。


関係医療機関

井上眼科病院

清澤眼科医院


関連サイト

眼瞼・顔面けいれん友の会


顕微鏡を使った新しい硝子体手術



硝子体手術
硝子体とは、眼球の内側にあるゼリー状の物質で、眼球の形を保ちます。網膜は、カメラで言えばフィルムの役割をする部位です。

硝子体手術は、糖尿病の合併症の一つである糖尿病網膜症や、原因は不明だが網膜に穴があく網膜剥離(もうまくはくり)、ものを見るのに最も重要な黄斑部(おうはんぶ)の疾患など、失明に至る恐れのある病気の治療の切り札として行われていて、精密で高度な技術が求められる手術です。

糖尿病網膜症は、網膜に余分な血管ができたり、薄い膜が張ったりして傷み、進行すれば失明に至ります。年間3000人以上が視力を失い、失明原因では最も多い。

早期ならレーザーで血管などを焼く治療も行えますが、血管から出血した場合や膜が増殖した場合には、手術が必要になります。眼内に差し入れた器具で濁った硝子体を吸引して人工の眼内液に入れ替え、増殖した膜を取り除きます。この手術をすることで完全に視力を取り戻せるわけではありませんが、進行を抑え失明を防ぐのが狙いです。

網膜剥離も、従来は剥離の程度がひどい場合や部位によっては修復が困難でしたが、目の内部から網膜を整える硝子体手術によって治療が可能になりました。


硝子体の新しい手術「顕微鏡システム」
藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)眼科教授の堀口さんは、この手術法を改良し、新しい手術顕微鏡システムを2002年に開発しました。

従来の手術用顕微鏡は、針状の照明器具を眼内に差し込んで一方の手で操り、もう片方の手で手術器具を扱います。眼内を照らす範囲が限られるうえ、組織をはがしたりするのに一方の手しか使えない制約がありました。そこで、照明器具を眼球に差し入れるのではなく、眼球の外から当てた光で硝子体全体を照らし出す顕微鏡装置を考案し、実用化しました。

光の当て方やレンズを工夫し、目の奥深くまで光が届くようにしました。硝子体内の全体が明るく見えるうえ、器具を両手で扱えるため、操作性や安全性が格段に向上しました。

糖尿病網膜症の治療では、一方の手で膜の端を持ち上げ、他方の手でカッターを使い切除するなど、これまではできなかった操作が可能になりました。「従来なら手術を断念していた重症例にも、治療の可能性が広がった」と堀口さんは話します。

硝子体手術では、濁った硝子体を取り除く際、引っ張られた網膜に、小さな穴があく合併症がしばしば起きました。手術中に発見してレーザーでふさぐ処置ができれば問題はありませんが、見落とされると穴は広がってしまい、新たな網膜剥離を起こす事態につながります。堀口さんは「硝子体内部を広く明るく照らし出す新システムでは、見落としによるミスを防ぐ効用も大きい」と話しています。

硝子体手術と自内障手術
私たちに最も身近な目の手術と言えば、白内障の手術です。白内障は主に加齢によって水晶体が白く濁ってしまう病気で、手術では濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。

眼内レンズは直径5-6ミリで、小さな傷口で済むよう折り曲げて挿入できる柔らかい素材のタイプが普及しています。数日の入院か、日帰りでの手術も可能です。全国で年間80万件行われている。比較的安全確立された手術と言えます。

実は硝子体手術の大きな欠点のひとつが、手術の刺激によって、術後数か月から数年後に白内障が起きてしまうことです。このため高齢者では、硝子体手術を行う際、予防的に眼内レンズの手術も行われることが多いです。

関係医療機関 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)


自己血成分(フィブロネクチン)点眼による角膜治療


角膜治癒を促進させるフィブロネクチン

点眼治療に用いられるのは、体になくてはならない糖たんぱく質の一つで、フィブロネクチンという成分です。細胞と細胞を結びつけ、体の組織を作ったり、傷を治したりするのにかかわっています。

山口大眼科教授の西田輝夫さんは1980年代から、角膜の傷が治る際、フィブロネクチンが治癒を促進させる重要な役割を果たしていることを初めて突き止め、治療への応用を研究してきました。

フィブロネクチンは、血液中に多く含まれています。ただし人の血液から採った成分を一般用の点眼薬として使う場合、ウイルス感染の可能性があります。そこで西田さんは、患者本人から採った血液から、数時間でこの成分を抽出して点眼薬を作る簡易装置を開発しました。自己血を用いることで、治療の安全性を確保しました。

自己血成分(フィブロネクチン)点眼の治療法

患者は1週間に1度通院します。採取した10~20ミリ・リットルの血液から、1週間分にあたる2ミリ・リットルのフィブロネクチン点眼薬が精製されます。患者が検査や診察を受けている間に出来上がり、当日に点眼薬を持ち帰れます。1日4回点眼し、通常4週間続けます。

角膜の傷は、外傷のほか、角膜ヘルペス感染、糖尿病による神経障害で角膜の表面が損なわれる糖尿病角膜症、三叉(さんさ)神経の手術後のまひ、コンタクトレンズによる障害と、多様な原因で生じます。

軽い傷なら、体内にあるフィブロネクチンの作用などで多くは治りますが、感染や神経障害が長引くと治りづらくなります。自己血による点眼治療は、この成分を補って治癒を促します。

山口大病院で、2000年4月から2005年3月までに点眼治療した249例では、202例(81%)に効果がみられました。障害の種類によっても効果に差があり、ヘルペス感染や糖尿病神経障害で角膜表面が損なわれた場合(有効率74%)に比べ、外傷性(同94%)などには効果が高かったです。

山口大のほか、国立病院機構・東京医療センター(東京都目黒区)、眼科三宅病院(名古屋市)、宮田眼科病院(宮崎県都城市)の4病院で、同大で開発した点眼薬の自動作製装置を用いた臨床試験が始まっています。

西田さんは「これまで有効な治療法がなかった角膜障害が治る可能性が高まりました。自己血で作るので、安全性も高い」と話しています。

山口大病院ではさらに、治癒の難しい糖尿病角膜症やヘルペス感染後の角膜障害に、神経伝達物質(サブスタンスP)とインスリンに似た成長因子(IGF―1)の成分から作った新しい点眼薬を開発して、フィブロネクチンだけでは効果がない患者への応用を進めています。

関係医療機関

山口大病院眼科

国立病院機構・東京医療センター

眼科三宅病院

宮田眼科病院


網膜色素変性症による失明者に「人工視力」治療


網膜色素変性症

網膜色素変性症とは、網膜の視細胞が徐々に失われていく進行性の病気です。原因は遺伝子の異常とされていますが、根本的な治療法はありません。国内の患者数は3万55万人とされ、失明原因の約2割を占めています。

人工視覚

大阪大大学院医学系研究科(大阪府吹田市)の不二門尚(ふじかどたかし)教授(感覚機能形成学)、神田寛行助教らの研究グループは、網膜の異常で失明した「網膜色素変性症」の患者の網膜を、微弱電流で刺激し、視力を回復させることに成功しました。

6人中5人で効果が確認され、目の代わりとなる小型カメラでとらえた光の動きを追うことができた人もいました。国内で「人工視覚」の成功例は初めてです。不二門教授は「数年以内に、つえなしで歩けるようにしたい」と話しています。


目の構造をカメラに例えると、角膜、水晶体がレンズ、網膜がフィルムにあたります。健康な人が見た映像は、電気信号に変換され、網膜、視神経を経て脳の視覚野に送られ、「見える」ようになります。しかし、網膜色素変性症になった人は、網膜の視細胞が徐々に消失するため、信号が視覚野へ届かなくなって光を失っていきます。

不二門教授らは、患者の網膜の外側の強膜の中に、刺激電極のチップ(7ミリ・メートル四方)装着さ、チップから微弱電流を流し、眼球内に埋め込んだ帰還電極にあて、返ってきた電流で網膜内にわずかに残った神経細胞を刺激する方法を考えました。

人工視覚の臨床試験

2005年秋と08年春には、計4人の患者さんにチップを装着しました。手術中のわずかな時間に光の刺激を与えたところ、3人が光の方向を判別できました。

2010年4~7月には、失明して10年以上になる女性2人に、1か月間チップを装着しCCDカメラを、おでこに、つけてもらいました。カメラで取り込んだ画像情報は、体外の装置で電気信号に変換され、体内装置を経て、強膜内のチップに送られました。

千葉県の女性(67)はパソコンの黒い画面上に不規則に現れる白色の棒をカメラで見て、位置を指さすことができました。女性は「闇の世界でしたが、白い光がはっきり見え、棒の位置を追えました。光が見えるというのは素晴らしい」と話しています。

人工視覚の研究で先行する米国とドイツは、網膜を直接刺激する方法を採用しています。米・南カルフォルニア大の研究では、17人が平均14か月電極を装着し、中にはアルファベットの文字が読めるまでに回復した人もいるといいます。しかし、網膜を傷つける危険性もあるため、強膜に電極チップを置く大阪大の手法のほうが、安全性は高いです。

不二門教授は「色の識別は無理ですが、白黒が分かれば、指の数が分かる視力くらいまで回復します。生活の質は上がります」と話しています。

関係医療機関

大阪大大学院医学系研究科・医学部

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