サプリメント事典

-糖尿病-

糖尿病 [生活習慣病]

目次
  • 糖尿病の原因
  • 糖尿病の対策
  • 糖尿病に効果効能があるサプリメント
  • サプリメント以外での予防改善

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関連情報

糖尿病の原因

糖尿病にはⅠ型とⅡ型がります。

Ⅰ型の糖尿病患者は全体の5%で、Ⅰ型の糖尿の原因はインスリンが膵臓から分泌されないためです。この場合はインスリン注射によって症状は解消されます。

残り95%の糖尿病Ⅱ型の人はインスリンが出ているのにうまく機能しない人です。
Ⅱ型の糖尿病の原因は、大体2つに分けられますその1つは肥満でインスリンが出ているのに肥満により体の細胞が糖で飽和状態になり、細胞がを受け入れないために血液中に糖が残ってしまうのです。

もう1つのⅡ型の原因は日本人の体質によるものです、日本人は昔から植物を中心とした食事を摂っていたために欧米人よりもインスリンの分泌量が少ないのです、しかし現在は肉を中心とした欧米型の食事に変わってしまいました、そのため糖尿病を発症してしまうのです。

そのほか隠れた糖尿病の要因としてストレスがあります、身体はストレスを感じると副腎皮質ホルモンが筋肉や骨のタンパク質を分解してグルコースに変えてからだ全体の血糖値を高めようとします。そのためストレスが長い期間続くと糖尿病を発症する可能性が高くなります。

糖尿病は合併症として、白内障や網膜症壊疽腎臓病心筋梗塞脳血管障害などがあります。

糖尿病の対策

糖尿病の対策としては、Ⅱ型の肥満の人はダイエット、肥満でない方はインスリンの分泌の促進がポイントになります。

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糖尿病に効果効能があるサプリメント


サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

αーリポ酸はインスリンの効果を高める作用があり、昔ドイツで糖尿病治療薬として使われていていました。

亜鉛、クロム、マグネシウムはインスリンに不可欠なミネラルです。

カイアポイモの有効成分CFA(酸可溶性糖タンパク)がインスリンの分泌促進の作用があると考えられています。

ギムネマ・シルベスタ、グァバ、桑の葉、食物繊維、白インゲン豆は食後の糖の吸収を抑えます。

ギャバはインスリンの効果を高め、血糖値を大幅に低下させます。

コタラヒムは食後の糖の吸収を抑える効果があり、合併症の網膜症、腎症、神経障害を予防する効果が期待されます。

バナバの有効成分のコロソール酸がインスリンと同じような働きをして、血糖値の上昇を抑えると考えられています。

ビール酵母は有効成分にクロムを含み、腸内細菌がαーリポ酸を作るのを助けます。

ビオチンを糖尿病で血液中のビオチンの濃度が低くい人に投与すると血糖値が下がります。

マルチビタミン・ミネラルを服用すること で、三大栄養素代謝を円滑に進める 酵素を十分に働かせることができます。日常の体調を維持す るための、予防として服用してください。

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サプリメント以外での予防改善

食事を食物繊維を多く含んだ食材を中心とした、低カロリーで栄養のバランスのとれた食事にコントロールしてください。

食品ははなるべく、低GI食品を選んでください。低GI食品とは、糖分の吸収をおだやかにして、肥満や糖尿病の改善や予防に効果がある食品のことです。

低GI食品の詳しい効果効能はコチラのページをご覧下さい。
低GI食品の効果効能

生活面では筋肉を付けて適度な運動を断続して行い、カロリーの消費に努めてください。筋肉を付ける理由は筋肉をつけて運動するとカロリー代謝が効率よく行われるからです。

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関連情報



糖尿病合併症

糖尿病はそれに伴なう合併症が、恐ろしいものです。糖尿病の合併症は、主に3つあります。

糖尿病神経障害
よくみられる糖尿病神経障害は、抹消神経障害と自立神経障害があります。
抹消神経は筋肉を動かしたり、痛みや温熱を感じたりする神経です。この神経系統に障害が起きますと、痛みや熱を感じにくくなり、しびれやほてったりを感じたりします。


糖尿病腎症
高血糖状態が続きますと、腎臓内の「糸球体」(しきゅうたい)という組織の毛細血管に障害が起きて、腎臓機能が低下します。発症してもしばらくは自覚症状が無いため、発見が遅れたり、糖尿病腎症を甘くみたりする原因になっています。

糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は高血糖により、眼底の網膜に栄養と酸素を供給する毛細血管が、傷を受けることにより発症します。糖尿病網膜症は、失明原因の第一位になっている、恐ろしい病気です。

糖尿病の合併症の詳しい解説は、こちらのページをごらんください。 
糖尿病合併症

糖尿病のインスリンポンプ

1型糖尿病は、インスリンが出なくなるため、毎日のインスリン製剤の注射が一生欠かせません。
インスリンの分泌を詳しくみると、膵臓から常に少しずつ分泌される「基礎分泌」と、食事で血糖値が高くなると多く出る「追加分泌」があります。

1型糖尿病のインスリン製剤の治療では

1.基礎分泌に相当し、効果が長時間続くタイプを就寝前に注射する
2.すぐに効果が表れ、追加分泌にあたるタイプを3度の食事の前に使う

など1日数回の注射が必要です。

しかし、量や注射のタイミングがうまく調整できないと、効き過ぎて低血糖になったり、足りずに高血糖になったりすます。

インスリンポンプは、携帯電話サイズのインスリン注入器で、患者の腹やももなど、皮膚の下に入れたカテーテル(細い管)から、薬を注入します。一気に注入する注射と異なり、微量のインスリンを24時間、自動的に流し続けます。これは基礎分泌に相当します。
インスリンポンプは、本体は服のポケットに入れて持ち運ぶことができますので、食事前などにスイッチを押せば、追加分泌に相当する量を追加注入できます。

安定した血糖管理ができ、低血糖や高血糖の危険を減らせます。血糖値が上がりやすい夜中や明け方に増やすなど、注入量を時間帯に合わせて設定できる機種もあります。

カテーテルの交換は1日または3日に1回でよく、注射する痛みや手間が少ない点も長所です。米国の研究では、注射に比べ、ポンプを使った方が血糖の管理が良く、低血糖の発生回数も少なかったそうです。

このようにインスリンポンプは、膵臓の自然な分泌に近い注入が実現できる、簡単で安全な治療法です。低血糖でけいれんなどの重い症状が頻繁に表れる人や、食事や睡眠が不規則な人などにもインスリンポンプが向いていると言います。

ポンプを使うには医師の診察が必要です。保険がきき、患者の自己負担は、3割負担なら注射療法に比べて1か月3000円高くなります。

糖尿病の膵島(すいとう)移植

重い糖尿病患者に、臓器提供者から心配停止後の採取した膵島を移植するのが「膵島(すいとう)移植」です。糖尿病の根治が期待でき、臓器そのものを移植する膵臓移植に比べ、手術が簡単にすむなどの利点があります。

インスリンは膵臓の膵島(ランゲルハンス島)と呼ばれる細胞の塊の中にある、β細胞で作られます。15歳以下の小児期に発病しやすいⅠ型糖尿病では、この細胞が徐々に破壊されて、インスリンが分泌されなくなるため、インスリンの注射が必要になるのです。糖尿病の膵島移植はこうした、Ⅰ型糖尿病患者が対象になります。

膵島移植は、まず臓器提供者から摘出した膵臓組織を酵素でばらばらにして、膵島だけを回収します。これを患者の肝臓にある、門脈と呼ばれる血管に点滴注射します。門脈内が最も、膵島が定着しやすいためです。定着した膵島は、血糖値の増減を感知して、インスリンを分泌するようになります。
1か月ほど入院して治療し、通常は1回の移植で血糖コントロールが大幅に改善しますが、根治を目指して、移植は3回まで行われます。

膵島移植は臓器移植と比べて、メスを使わずに局所麻酔だけの1時間弱で終わりますので、患者の負担が非常に少ないです。ただし膵島移植の場合も免疫抑制剤が必要で、口内炎や高コレステロール血症などの副作用があります。

関係医療機関 京都大学医学部附属病院

糖尿病性潰瘍や壊疽などに「創傷ケアセンター」

糖尿病が悪化しますと、動脈硬化が進んで足の血管が詰まり、皮膚や骨が膿む壊疽(えそ)を起こします。この場合は、足を切断するケースが多いです。

このような糖尿病性潰瘍や壊疽(えそ)の患者は増えており、70万人とも推定されています。このほか、動脈や静脈の血流障害による潰瘍、床ずれ(褥瘡:じょくそう)など、なかなか治らない傷を総称して「慢性創傷」と言います。

しかし、慢性創傷を治す体系的な技術や知識を持った医師は、日本にはほとんどいないのが実情です。担当の診療科も決まっていません。
内科は糖尿病の治療はできるが、足の傷は不得手です。一方、骨を治療する整形外科も、細菌感染を伴う場合は治療を避けがちになります。足の切断は、医師の治療経験が乏しい場合もあると言われてます

そこで、創傷治療が進んだ米国の医療マネジメント会社が、専門病院から検査・治療法などの情報を集め、日本の病院での治療に導入したのが「創傷ケアセンター」です。腐りかけた足などの「再生」を目指します。その最も重要な鍵となるのが「血流」です。

専用の検査機器で血流を調べ、ある程度血流があれば、腐った部分切除して組織の再生を促します。血流が足りないなら、バイパス血管を植えるなどの治療を行い、足の切断を回避します。

医療マネジメント会社は、このような治療手順書を病院に提供し、担当の医師や看護師には米国で研修を受けてもらいます。実際の診療では、傷の大きさ、状態などの診療記録を送ってもらい、問題点を指摘したうえ、米国の創傷専門医との電話検討会を通し、治療法について助言します。

練馬総合病院など比較的治療経験の長い全国5か所の創傷ケアセンターでは、14週間以内での治癒率は平均7割。別の病院で「足の切断が必要」と言われた患者のうち、4割は切断を回避できた。治療には保険が使えます。

関係医療機関 練馬総合病院


インスリンが突然枯渇する劇症1型糖尿病 


劇症1型糖尿病とは
糖尿病には、患者のほとんどを占める生活習慣病の2型糖尿病と、インスリンが分泌されないために起こる1型糖尿病があります。1型は糖尿病全体の5%程度と少ないですが、小児で多く、急性に発症するのが特徴です。

その1型の中でも、極めて急激に発症する「劇症型」があることを大阪医大内科助手の今川彰久さんらが2000年、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに初めて報告しました。

日本糖尿病学会は実態を把握する委員会(牧野英一委員長)を設置し、2004年2月、診断基準などを発表しました。委員11人の医療施設で過去10年間に1型患者の222中43人(19%)が「劇症型」とみられています。

劇症1型糖尿病の特徴
劇症型の平均血糖値は約800(ミリ・グラム/デシ・リットル)と、健康人(食後で140未満)の5倍以上もあり、1000を超えることも珍しくありません。にもかかわらず、過去2か月の平均血糖値を示すヘモグロビンA1cは、平均6.4%(正常値5.8%未満)と、それほど高くないのが際立った特徴です。

これは極めて短期間にインスリン分泌がなくなることを示しており、通常の健診ではわかりません。

男女差はほとんどなく、平均発症年齢は40歳前後。女性は妊娠中や出産後の発症が多いのも特徴です。調査委の報告でも妊娠中に発病した場合、胎児は助からないことが多かったです。

患者は風邪や腹痛といった症状で受診することが多いです。ある男性(42)は口の渇きやおう吐で病院に行き、薬をもらって帰宅しました。翌日、救急外来を受診しましたが、帰宅するよう言われました。翌日こんすい状態に陥り、間に合わず死亡しました。

大阪医大内科教授の花房俊昭さんは、「急激に進行するため、治療が遅れると命にかかわります。多い病気ではないのですが、特に開業医は、この病気のことを頭に置いておいてほしい」と警告しています。原因は不明ですが、急激に発症することなどから、ある種のウイルス感染が引き金ではないかと疑われています。

発症時の治療には、生理食塩水の大量補液と、インスリン療法が行われる。症状が落ち着いた後もインスリンを分泌する能力は失われているため、普通の1型糖尿病と同様のインスリン治療が必要です。

1型糖尿病と2型糖尿病の違い
1型では、膵臓のランゲルハンス島という組織にあるB細胞が、何らかの原因で破壊されてしまい、インスリンを分泌することができなくなります。このため、血糖値を正常に保つために、インスリンを注射によって外部から補給する必要があります。

一方、2型では、B細胞から分泌されるインスリンの量が不足して血糖値が下がらないケースと、インスリンの量は十分あるのに肝臓や筋肉などでの効きが悪く(インスリン抵抗性と呼ばれる)血糖値が下がらない、2つのケースがあります。

全国で740万人と言われる糖尿病患者の95%は、食事や運動不足といった生活習慣による2型が占めています。

関係医療機関 大阪医大病院

関連ページ 糖尿病の膵島(すいとう)移植


顕微鏡を使った新しい硝子体手術



硝子体手術
硝子体とは、眼球の内側にあるゼリー状の物質で、眼球の形を保ちます。網膜は、カメラで言えばフィルムの役割をする部位です。

硝子体手術は、糖尿病の合併症の一つである糖尿病網膜症や、原因は不明だが網膜に穴があく網膜剥離(もうまくはくり)、ものを見るのに最も重要な黄斑部(おうはんぶ)の疾患など、失明に至る恐れのある病気の治療の切り札として行われていて、精密で高度な技術が求められる手術です。

糖尿病網膜症は、網膜に余分な血管ができたり、薄い膜が張ったりして傷み、進行すれば失明に至ります。年間3000人以上が視力を失い、失明原因では最も多い。

早期ならレーザーで血管などを焼く治療も行えますが、血管から出血した場合や膜が増殖した場合には、手術が必要になります。眼内に差し入れた器具で濁った硝子体を吸引して人工の眼内液に入れ替え、増殖した膜を取り除きます。この手術をすることで完全に視力を取り戻せるわけではありませんが、進行を抑え失明を防ぐのが狙いです。

網膜剥離も、従来は剥離の程度がひどい場合や部位によっては修復が困難でしたが、目の内部から網膜を整える硝子体手術によって治療が可能になりました。


硝子体の新しい手術「顕微鏡システム」
藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)眼科教授の堀口さんは、この手術法を改良し、新しい手術顕微鏡システムを2002年に開発しました。

従来の手術用顕微鏡は、針状の照明器具を眼内に差し込んで一方の手で操り、もう片方の手で手術器具を扱います。眼内を照らす範囲が限られるうえ、組織をはがしたりするのに一方の手しか使えない制約がありました。そこで、照明器具を眼球に差し入れるのではなく、眼球の外から当てた光で硝子体全体を照らし出す顕微鏡装置を考案し、実用化しました。

光の当て方やレンズを工夫し、目の奥深くまで光が届くようにしました。硝子体内の全体が明るく見えるうえ、器具を両手で扱えるため、操作性や安全性が格段に向上しました。

糖尿病網膜症の治療では、一方の手で膜の端を持ち上げ、他方の手でカッターを使い切除するなど、これまではできなかった操作が可能になりました。「従来なら手術を断念していた重症例にも、治療の可能性が広がった」と堀口さんは話します。

硝子体手術では、濁った硝子体を取り除く際、引っ張られた網膜に、小さな穴があく合併症がしばしば起きました。手術中に発見してレーザーでふさぐ処置ができれば問題はありませんが、見落とされると穴は広がってしまい、新たな網膜剥離を起こす事態につながります。堀口さんは「硝子体内部を広く明るく照らし出す新システムでは、見落としによるミスを防ぐ効用も大きい」と話しています。

硝子体手術と自内障手術
私たちに最も身近な目の手術と言えば、白内障の手術です。白内障は主に加齢によって水晶体が白く濁ってしまう病気で、手術では濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。

眼内レンズは直径5-6ミリで、小さな傷口で済むよう折り曲げて挿入できる柔らかい素材のタイプが普及しています。数日の入院か、日帰りでの手術も可能です。全国で年間80万件行われている。比較的安全確立された手術と言えます。

実は硝子体手術の大きな欠点のひとつが、手術の刺激によって、術後数か月から数年後に白内障が起きてしまうことです。このため高齢者では、硝子体手術を行う際、予防的に眼内レンズの手術も行われることが多いです。

関係医療機関 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)


自己血成分(フィブロネクチン)点眼による角膜治療


角膜治癒を促進させるフィブロネクチン

点眼治療に用いられるのは、体になくてはならない糖たんぱく質の一つで、フィブロネクチンという成分です。細胞と細胞を結びつけ、体の組織を作ったり、傷を治したりするのにかかわっています。

山口大眼科教授の西田輝夫さんは1980年代から、角膜の傷が治る際、フィブロネクチンが治癒を促進させる重要な役割を果たしていることを初めて突き止め、治療への応用を研究してきました。

フィブロネクチンは、血液中に多く含まれています。ただし人の血液から採った成分を一般用の点眼薬として使う場合、ウイルス感染の可能性があります。そこで西田さんは、患者本人から採った血液から、数時間でこの成分を抽出して点眼薬を作る簡易装置を開発しました。自己血を用いることで、治療の安全性を確保しました。

自己血成分(フィブロネクチン)点眼の治療法

患者は1週間に1度通院します。採取した10~20ミリ・リットルの血液から、1週間分にあたる2ミリ・リットルのフィブロネクチン点眼薬が精製されます。患者が検査や診察を受けている間に出来上がり、当日に点眼薬を持ち帰れます。1日4回点眼し、通常4週間続けます。

角膜の傷は、外傷のほか、角膜ヘルペス感染、糖尿病による神経障害で角膜の表面が損なわれる糖尿病角膜症、三叉(さんさ)神経の手術後のまひ、コンタクトレンズによる障害と、多様な原因で生じます。

軽い傷なら、体内にあるフィブロネクチンの作用などで多くは治りますが、感染や神経障害が長引くと治りづらくなります。自己血による点眼治療は、この成分を補って治癒を促します。

山口大病院で、2000年4月から2005年3月までに点眼治療した249例では、202例(81%)に効果がみられました。障害の種類によっても効果に差があり、ヘルペス感染や糖尿病神経障害で角膜表面が損なわれた場合(有効率74%)に比べ、外傷性(同94%)などには効果が高かったです。

山口大のほか、国立病院機構・東京医療センター(東京都目黒区)、眼科三宅病院(名古屋市)、宮田眼科病院(宮崎県都城市)の4病院で、同大で開発した点眼薬の自動作製装置を用いた臨床試験が始まっています。

西田さんは「これまで有効な治療法がなかった角膜障害が治る可能性が高まりました。自己血で作るので、安全性も高い」と話しています。

山口大病院ではさらに、治癒の難しい糖尿病角膜症やヘルペス感染後の角膜障害に、神経伝達物質(サブスタンスP)とインスリンに似た成長因子(IGF―1)の成分から作った新しい点眼薬を開発して、フィブロネクチンだけでは効果がない患者への応用を進めています。

関係医療機関

山口大病院眼科

国立病院機構・東京医療センター

眼科三宅病院

宮田眼科病院


2型糖尿病向けの新しい治療薬「インクレチン関連薬」



インスリンの分泌を促す「インクレチン関連薬」

糖尿病の新しい治療薬が、相次ぎ登場しました。これまでの薬ですと低血糖や体重増を招くこともありましたが、多くの患者でこうした弊害を回避でき、血糖値の改善効果が出始めています。一方で既存薬との併用や切り替えに問題がある例も報告され、新たな課題となっています。

2009年12月以降、糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病向けに相次ぎ登場したのは「インクレチン関連薬」です。インクレチンはホルモンの一種で、食事をすると腸管から出て膵臓(すいぞう)に働きかけ、血糖値を下げるインスリンの分泌を促すうえに、グルカゴンと呼ぶ血糖値を上げるホルモンが出るのも抑えてくれます。

インクレチンの特長は、血糖値が高い時だけ働くことです。そして2型糖尿病の人はこのインクレチンが出にくいことがわかっていました。そこで開発されたのが、インクレチンの一種「GLP―1」に似た人工ホルモンの注射薬「GLP―1受容体作動薬」と、「GLP―1」を壊してしまう酵素の働きを抑える飲み薬「DPP―4阻害薬」です。国内では注射薬が1種類と飲み薬3種類(4製品)が販売されています。

「インクレチン関連薬」による糖尿病治療

都内在住の伍々早苗さん(58)は、8年ほど前から糖尿病の治療をしています。膵臓のβ細胞に直接働きかけてインスリンを出す血糖降下薬で治療してきましたが、1~2カ月間の血糖値平均値(HbA1c)は正常値の2倍以上の12%で、血糖コントロールができませんでした。

そこで伍々さんにGLP―1受容体作動薬の注射薬「ビクトーザ(一般名リラグルチド)」を使用してみたところ、2週間後に血糖値平均値(HbA1c)が10.7%、4カ月後には6.2%に下がりました。伍々さんは「注射には抵抗もありましたが、痛みは少なかったです。最初は悪かったおなかの調子も治まり、怖いぐらいに効いています」と話しています。体重も1キログラム減りました。

肥満体形で25年前から糖代謝に異常があり、放っておくと糖尿病に移行すると医師からいわれていた東京都練馬区の本合雅史さん(61、仮名)も、飲み薬のDPP―4阻害薬「グラクティブ(一般名はシタグリプチン)」を毎朝1回服用しました。半年でHbA1cは6.4%から正常値に近い同5.9%に下がりました。体重増加も、ありませんでした。

2人の治療にあたった菅原医院(東京・練馬)の菅原正弘院長は「インクレチン関連薬だと、低血糖も体重増加もみられず、患者さんの満足度も高い」と評価しています。

「インクレチン関連薬」は低血糖を回避

低血糖の症状は、血糖値が正常値の下限とされる血液1デシリットル中70ミリグラム未満になると、起きことが多いいです。目まいや頭痛、吐き気に始まり、ひどくなると失神します。こうした 低血糖症状を経験すると薬を飲むのが怖くなり、服薬をさぼり血糖コントロールを悪化させる一因でもありました。

従来の治療薬は血糖値を確実に下げる一方、「低血糖により耐え難い空腹感が生じ、さらに食べて太るという課題があります」と東京大学の門脇孝教授は話します。太れば脂肪が出す物質の影響で、インスリンが効きにくくなります。

「新薬は従来薬と比べ、血糖降下作用はそれほど強いわけではありませんが、併用でスルホニル尿素(SU)薬の量を減らせるのが利点になります」。こう話すのは多摩センタークリニックみらい(東京都多摩市)の宮川高一院長です。

スルホニル尿素薬はインスリンの分泌を促進させる薬で、国内で最も多く使われている治療薬ですが、低血糖を起こしやすかったり、長期に大容量で飲み続けたりすると、膵臓のβ細胞が疲弊する原因にもなるといわれています。

治療の初期に新薬との併用などでスルホニル尿素薬の量を減らせば「高齢になってどうしても血糖値 が下がらなくなった段階でスルホニル尿素薬を増量していける」と宮川院長は話します。

「インクレチン関連薬」の副作用

もちろん、「インクレチン関連薬」にも副作用はあります。60代の男性2人が、従来のインスリン製剤からGLP―1受容体作動薬の注射薬に切り替えたところ、高血糖を起こして血液中に代謝産物が異常に増え、死亡しました。DPP―4阻害薬をスルホニル尿素薬と併用する65歳以上の高齢者を中心に、重症の低血糖を起こす事例も続きました。

死亡例が出たことに専門医らは「新薬の使用は患者自身のインスリンが一定量出ていなければならない」と強調します。発症時からインスリンが不足する1型糖尿病や長期に2型糖尿病を患い、既にインスリンが枯渇している人には使えません。

東京女子医科大学の岩本安彦教授は「新薬による治療の前に、インスリン量が不足していないかをきちんと検査して確かめなければならない」と指摘します。

また、スルホニル尿素薬との併用者に起こった極端な低血糖は「科学的には分かっていません。ただ、スルホニル尿素薬の効き目を高めた可能性もあります」と岩本教授は話します。岩本教授らは高齢者や腎機能が低下している人には、スルホニル尿素薬を減量するよう推奨しています。

関連医療機関

菅原医院(東京・練馬)

多摩センタークリニックみらい(東京都多摩市)

妊娠糖尿病の新しい基準

妊娠糖尿病のリスク

食事から取り込む糖は、血管から全身の細胞に取り込まれ、エネルギーになるほか、脂肪としても蓄えられます。この糖代謝を促し、血糖値を下げるのが、膵臓が分泌するホルモンの「インスリン」です。

糖代謝がうまくいかず、血糖値が高くなるのが糖尿病です。空腹時の血糖値(単位はミリ・グラム/デシ・リットル)が126以上などの場合に、糖尿病と診断されます。

妊娠糖尿病は、妊娠により引き起こされる糖代謝の異常で、糖尿病には至らない軽い高血糖の状態で診断されます。

妊娠中は、胎盤が分泌するホルモンなどにより、母体のインスリンの効きが悪くなるためです。膵臓はインスリンを妊娠前よりたくさん分泌し、血糖値を正常に保とうとします。しかし、膵臓の働きが弱くインスリンの分泌が足りないと、高血糖になってしまいます。

妊娠糖尿病は、

1.35歳以上

2.肥満

3.家族に糖尿病患者がいる

4.過去に大きな赤ちゃん(4000グラム以上)を出産した

といった場合に、なりやすいです。

東京女子医大糖尿病センター名誉教授の大森安恵さんは、「妊娠糖尿病の母子への影響は、糖尿病患者の妊娠と比べるとずっと少ないです。注意すべき点は、胎児が大きくなりすぎることで、血糖値を改善する必要があります」と話しています。

母体が高血糖だと、胎盤を通じて胎児に届く糖も増えます。その分、胎児の膵臓が刺激され、インスリン分泌も過剰になり、脂肪がつきやすくなります。胎児が太りすぎると難産になります。さらに産後、母体からの糖供給が絶たれた新生児は、低血糖になりやすくなります。

妊娠糖尿病の診断と治療

新しい基準は、世界9か国の妊婦2万5000人の調査で、胎児の成長過剰などが起こるおそれが、健康な妊婦の1.75倍以上高まる数値を採用しています。従来は3項目中2項目を満たすと診断されましたが、1項目でも該当すると妊娠糖尿病と診断されるようになりました。基準値も、空腹時血糖値が100以上から92以上になりました。

妊娠初期と中期の血液検査で血糖値を調べます。異常があれば、75グラムのブドウ糖を含む液(糖水)を飲む精密検査(ブドウ糖負荷試験)を行い診断します。多くは決められたカロリー量の食事や、適度な運動をすることで改善できます。

妊娠糖尿病の人は将来、糖尿病になりやすいです。愛育病院(東京都港区)院長の中林正雄さんらが新基準を基にまとめた調査では、妊娠糖尿病の女性が産後10年で糖尿病になる確率は40%でした。糖尿病に近い「ハイリスク」(75グラムのブドウ糖負荷試験で2時間値 200mg/dl以上)と診断された妊婦では、産後4年で40%と、短期間で発症しやすい傾向にありました。

中林さんは、「妊娠糖尿病になった女性は、産後も生活習慣に気を配り、年1回は血糖値を調べて糖尿病予防に努めることが大切です」と話しています。

なお、従来は妊娠中に見つかった高血糖をすべて妊娠糖尿病としていましたが、新基準では、糖尿病の基準(空腹時の血糖値126mg/dl以上)に該当する場合は「明らかな糖尿病」とし、妊娠糖尿病から除外します。

妊娠糖尿病の新しい基準

1.空腹時の血糖値92mg/dl以上

75グラムのブドウ糖負荷試験で

2.1時間値 180mg/dl以上

3.2時間値 153mg/dl以上

3項目中1項目でも該当すると妊娠糖尿病と診断されます。

関係医療機関

東京女子医大糖尿病センター

愛育病院

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