不妊症
「結婚して数年たつのに妊娠しない」「検査で特に異常がないのに授からない」──。
一般に避妊をせずに1年以上性交を続けているのに妊娠しない状態を「不妊症」と呼ぶことが多いです。
女性側だけでなく、男性側の要因や、夫婦双方の要因が重なっている場合も少なくありません。
ここでは、不妊症の主な原因と対策、サプリメントの位置づけ、
日常生活でできる予防・改善のポイントについてまとめます。
なお、ここでの内容は一般的な情報であり、個々の妊娠の可否を判断するものではありません。
気になる場合は、必ず医療機関でご相談ください。
不妊症の原因
不妊症の原因はさまざまで、女性側・男性側・両方・原因不明に分けられます。
検査をしても、明確な原因が分からない「機能性不妊」「原因不明不妊」もあります。
1)女性側の主な原因
- 排卵のトラブル
・排卵が起こらない、排卵の周期が不規則などの排卵障害。
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、急激な体重変化、過度なダイエット、ストレス、ホルモンの病気などが背景になることがあります。 - 卵管のトラブル
・卵管が詰まっている、癒着しているなどで卵子と精子が出会えない状態。
・過去の骨盤内炎症や性感染症、手術後の癒着などが原因になることがあります。 - 子宮のトラブル
・子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形、子宮内膜症など。
・受精卵が着床しづらくなったり、妊娠を継続しづらくなる場合があります。 - 子宮内膜症・子宮腺筋症
・強い月経痛・過多月経・性交痛などを伴い、不妊の原因となることがあります。 - 加齢による卵巣機能の低下
・卵子の数や質は年齢とともに少しずつ低下していきます。
・35歳前後から妊娠しやすさが落ちはじめ、40歳を超えると妊娠率はかなり低下するとされています。
2)男性側の主な原因
- 精子数・運動率の低下
・精子の数が少ない・動きが悪い・奇形率が高いなど。
・原因ははっきりしないことも多いですが、生活習慣、精索静脈瘤、ホルモンの異常などが関わることがあります。 - 精路閉塞・射精障害
・精子の通り道が詰まっている、射精がうまくいかないなどで、精子が外に出てこないケースもあります。
3)夫婦双方・原因不明
- 女性・男性双方に妊娠しづらくなる要因が少しずつ重なっているケース。
- 検査をしても明らかな異常が見つからない「原因不明不妊」の場合もあります。
この場合も、タイミングのとり方や治療によって妊娠に至る方は多くいます。
また、ストレス・過度なダイエット・喫煙・過度の飲酒・睡眠不足など、生活習慣が妊娠しやすさに影響することも知られています。
不妊症の対策
1)早めの「相談」と検査
- 一般には、1年避妊をせず妊娠しない場合は、一度不妊症専門の医療機関や産婦人科に相談することが勧められます。
35歳以上の場合は、半年程度で相談してもよいとされることもあります。 - 女性側の検査:ホルモン検査、基礎体温、排卵確認、卵管造影、子宮鏡検査、超音波検査など。
- 男性側の検査:精液検査、ホルモン検査、必要に応じて超音波検査など。
2)不妊治療のステップ
治療は一般に、夫婦の年齢や検査結果に応じて段階的に進められます。
- タイミング法
・排卵の時期を予測し、そのタイミングに合わせて性交を持つ方法です。
・排卵誘発剤を併用することもあります。 - 人工授精(AIH)
・精液を採取・洗浄・濃縮した上で、排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入する方法です。
・精子の数や運動率が少し低い場合などに検討されます。 - 体外受精・顕微授精
・卵子と精子を体外で受精させ、受精卵(胚)を子宮に戻す方法です。
・卵管のトラブル、重度の男性不妊、タイミング法や人工授精で妊娠に至らない場合などに行われます。
どの段階まで治療を行うかは、年齢・検査結果・治療にかかる費用や時間・心身の負担・ご夫婦の価値観などを踏まえ、
医師と話し合いながら決めていくことが大切です。
不妊症に関するサプリメント
不妊症と関連して、栄養面のサポートとして用いられるサプリメントがありますが、
いずれも「妊娠を保証するもの」や「治療の代わり」にはなりません。
また、特定のサプリを多く飲めば妊娠しやすくなる、という単純なものではありません。
1)女性に関連してよく話題になる成分
- 葉酸
・妊娠前?妊娠初期にかけて、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げる目的で推奨されるビタミンです。
・「不妊治療の薬」ではありませんが、妊娠を希望する女性にとって大切な栄養素です。 - ビタミンD・ビタミンE・ビタミンB群など
・ホルモンバランス・卵巣機能との関連が研究されている栄養素もありますが、
効果には個人差があり、「これを飲めば妊娠できる」といったものではありません。 - マカ・プラセンタ・イソフラボンなど
・「ホルモンバランス」「女性のリズムのサポート」として宣伝されることがありますが、
エビデンスは限られており、ホルモン関連の病気・治療中の方は特に注意が必要です。
2)男性に関連してよく話題になる成分
- 亜鉛
・精子の形成や男性ホルモンに関わるミネラルとして知られています。
・過不足なく摂ることが大切であり、高用量を長く摂り続けることはおすすめできません。 - L-カルニチン・コエンザイムQ10など
・精子の運動やエネルギー代謝との関連が研究されている成分もありますが、
必ずしも全ての人に有効とは限りません。
サプリメント利用時の注意点:
- 不妊治療中にサプリを追加する場合は、必ず主治医に「何を、どのくらい飲んでいるか」を伝えることが大切です。
- 複数のサプリを同時に始めると、成分の重複や過剰摂取につながることがあります。
- 当サイトの「サプリメント事典」では、葉酸・亜鉛・ビタミン類・マカ・プラセンタ・イソフラボンなどについて個別に解説していますので、参考にしてください。
不妊症その他のサプリメント
女性の場合
サポリメント選びのワンポイント・アドバイス
男性はこちらをクリックしてください
サプリメント以外での予防改善
不妊症は「努力が足りないから」「生活を整えれば必ず授かる」という単純なものではありません。
それでも、からだ本来の力を発揮しやすい状態を整えることは、妊娠の土台づくりとして大切です。
1)適正体重・栄養バランス
- 極端なやせ・肥満は、女性では排卵障害、男性では精子の質低下などにつながることがあります。
- 主食・主菜(たんぱく質)・副菜(野菜・海藻・きのこなど)をそろえた食事を基本に、
鉄・亜鉛・葉酸・ビタミンD・カルシウムなども不足しないよう心がけます。 - 過度な糖質制限や極端なダイエットは、ホルモンバランスを乱すことがあるため注意が必要です。
2)禁煙・節酒
- 喫煙は、女性の卵巣機能低下・流産リスクの上昇、男性の精子の数や質の低下と関連が指摘されています。
- 過度の飲酒もホルモンバランスや肝機能に影響を与え、妊娠しやすさに悪影響を及ぼすことがあります。
3)適度な運動・ストレスケア
- ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、血流を良くし、ストレス軽減や睡眠の質の改善にも役立ちます。
- 「不妊治療そのもの」が大きなストレスになることも多いため、
夫婦で気持ちを話し合う時間や、趣味・リラックスの時間を意識的に作ることが大切です。
4)夫婦で情報を共有し、無理のないペースで
- 不妊症は、「女性だけの問題」「どちらか一方の責任」ではありません。
- 検査結果や治療方針、費用・時間・心身の負担について、できる限り二人で共有し、
「どこまで治療を進めるか」「どんな選択をするか」を話し合いながら決めていきましょう。
不妊症は、結果がすぐに見えにくく、心身ともに負担が大きいテーマです。
インターネット上の情報やサプリメントに振り回されすぎず、
信頼できる医療機関と相談しながら、ご夫婦それぞれのペースと価値観を大切にした選択をしていくことが何より大切です。
関連情報
- 子宮筋腫の集束超音波治療
- 子宮筋腫のマイクロ波治療
- 子宮内膜症のロイコトリエン拮抗薬(きっこうやく)を使った治療法
- 子宮頸がんのHPVワクチン
- 不妊症の卵管鏡下卵管形成術
- 不妊治療の胚盤胞移植(はいばいほういしょく)
- 妊娠糖尿病の新しい基準
- 子宮がんの広汎(こうはん)子宮頸部摘出術
- がん治療前の不妊対策「ガラス化法」と「放射線遮断」
- 双胎間輸血症候群のレーザー治療(胎児治療)
- 子宮内膜症の新治療薬「ルナベル」と「ディナゲスト」
- 性器ヘルペスの再発減らす抑制療法
- 卵巣がんの新治療薬「ドキシル」(一般名ドキソルビシン塩酸塩)
- 更年期障害のホルモン補充療法(HRT)
スポンサードリンク