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-「硬膜外腔内視鏡」(エピドラスコピー)による腰痛治療-

「硬膜外腔内視鏡」(エピドラスコピー)による腰痛治療

腰痛の原因と治療法


腰痛は、年齢と共に、背骨や、背骨のクッションである椎間板が変形し、神経の束である脊髄が圧迫されるのが、主な原因とされています。

腰痛治療は一般に、痛み止めや抗炎症薬などの薬による治療や、痛みが伝わる腰の神経に麻酔をかける「神経ブロック」が行われます。これで2-3か月しても痛みが改善しない場合、変形した骨や椎問板を除く手術も行われます。しかし、3か月以上続く慢性腰痛は、部位が、はっきりしないことが多いいです。

実は、痛みや炎症が長く続いた腰痛は、腰の神経の周辺組織が癒着したり、傷跡が引きつるように固く変性したりしています。このような状態は、エックス線など外部からの画像診断だけでは、わかりにくいです。

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「硬膜外腔内視鏡」(エピドラスコピー)による腰痛治療


こうした腰痛の診断に開発されたのが、硬膜外腔(がいくう)内視鏡です。背骨と脊髄の間の「硬膜外腔」と呼ばれる狭いすき間を通るよう、先端の直径は1ミリ以下と、極細になっています。

この内視鏡で硬膜外腔の癒着をはがしますと、腰痛が治ったり、軽くなる人がいることがわかってきました。1995年に治療を始めた米国では、これまで1万例以上、国内では大学病院など約30施設で400例以上行われています。

自治医大麻酔科講師の五十嵐孝さんは「神経ブロックが効かず、従来の手術をしたくない人の新しい治療として期待されている」と話します。

治療は、麻酔をした患者の腰に約1センチの傷をつけて内視鏡を挿入します。医師がモニターで硬膜外腔の癒着を確認すると、内視鏡の先端から生理食塩水を出し、水圧と内視鏡の動きで丁寧にはがします。最後に神経ブロックと同じ麻酔薬と抗炎症薬を患部に注入します。

この治療法が有効な理由は、さまざま考えられています。癒着や神経の圧迫を取り除くほか、水で痛みを起こす物質を洗い流す効果もあります。癒着をはがすことで、神経ブロック注射では患部に届かなかった薬が浸透することも、関係しているようです。

「硬膜外腔内視鏡」(エピドラスコピー)による効果


自治医大では、薬などの保存療法や神経ブロックが効かない腰痛患者200人以上の治療を行っています。手術直後はほぼ全例で痛みが軽減し、特に椎問板ヘルニアで効果が高いです。

東大病院での2003年12月までの3年半の集計では、背骨に異常のあるのべ78人に対する治療で、49人(62%)に痛みが和らぐ効果がありました。ヘルニアで14人中10人、背骨の神経の通り道が狭くなる「脊柱管狭さく症」で24人中15人に効果があった。

しかし完治しない場合もあり、数日で痛みが戻ることもあります。坐骨神経痛などで起きる足のしびれやヘルニア手術後の再発例は、やや効果が低いです。癒着以外の原因で起きる痛みも考えられるためです。ただ、一度癒着をはがすと、再発しても神経ブロックがよく効くようになる人もいます。

手術時間は1時間ほど。傷跡が小さく、患者の身体的な負担も軽く、翌日に退院することも可能です。保険は適用されず、自治医大での手術費用は約20万円です。

腰痛治療の現状


腰痛の原因には、椎間板ヘルニアや脊柱管狭さく症のほか、分離症、すべり症、変形性脊椎症、骨粗しょう症などさまざまな原因があります。

だが、エックス線で明らかにヘルニアや骨折があるのに、痛みをまったく感じない人もいます。心理的なストレスから痛みを感じる心因性腰痛もあり、腰痛のメカニズムは完全に解明されていません。誰もが100%良くなる治療はないのが現状です。

加齢に伴う慢性腰痛は、痛みを少なくすることはできても、若いころのように痛みや重さを感じない腰に戻すことは難しいです。焦らず気長に、自分にあった治療を見つけることが大切です。

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