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-花粉症の「舌下減感作療法」と「シダトレン」-

花粉症の「舌下減感作療法」と「シダトレン」

花粉症の新しい減感作療法

花粉症は、花粉という異物から身を守ろうとする免疫反応が過敏になって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが出るアレルギー反応です。

治療は、

1.マスクや眼鏡で花粉を避ける

2.飲み薬や点眼、点鼻薬で症状を緩和させる

3.鼻粘膜のレーザー手術で反応を減らす

などの対症療法が一般的です。

花粉症の治療法として、東京都と日本医大が、花粉エキスをパンに浸し口に含む「舌下減感作療法」の共同臨床研究を行ったところ、7割の患者に症状軽減などの効果が表れました。注射による減感作療法はすでに行われていますが、これに比べ、通院回数を大幅に減らせる利点があるといいます。

減感作療法は、花粉中の「抗原」という、アレルギーを起こす物質を定期的に取り込んで体を慣らし、アレルギー反応(感作)を減らすのが狙いです。花粉症治療の中では唯一、完治の可能性があるとされています。

保険診療で行える現在の方法では、スギ花粉エキスの注射を2年以上、毎月受ける必要があります。しかし、長期間の通院の手間や注射の痛みが負担となり、あまり普及していません。

今回の臨床研究をとりまとめた日本医大耳鼻咽喉科准教授、大久保公裕さんによりますと、舌下減感作療法は、痛みがなく、自宅でできるので通院回数を減らせるのが利点となるそうです。フランス、イギリスなど欧州では一般的治療になっています。


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舌下減感作療法の臨床試験

やり方は、注射用と同じスギ花粉エキスを、約1センチ角に切ったパンのかけらに垂らし、舌の下に2分間置いた後、はき出します。

舌の下にエキスがとどまっている間に、口の中に無数ある免疫細胞を刺激し、花粉に慣らしていく、という仕組みです。口に入れるのは、花粉症の症状が出やすいのどや鼻に近いからです。

今回の臨床試験では、徐々に濃度や1回当たりの量を増やしつつ、当初の毎日の投与から徐々に回数を減らしました。注射同様、2年以上続ける必要があります。

臨床試験は、3年以上症状がある患者193人を対象に2006年6月に開始しました。花粉飛散時期の鼻詰まりの状態、くしゃみ、鼻をかむ回数などを記録し、重症度を「無症状」から「最重症」まで5段階で評価しました。

その結果、2年間続けた142人は、試験開始前よりも花粉飛散量が増えたにもかかわらず、70%で症状が改善。その中で、重症度が2段階以上改善したのは43%、28%で症状が無くなりました。全体の30%は「変化なし」「悪化」でした。

副作用として、皮膚や口内のかゆみ、発疹、鼻水などが出た人もいましたが、呼吸困難など重大な副作用はありませんでした。しかし、ぜんそくなどの持病がある人は治療の対象外になります。

効果について大久保さんは「注射による減感作療法とほぼ同等」と話しています。

30年間花粉症に苦しみ、この治療で改善した60歳男性は「注射は頻繁に通院が必要で仕事に支障が出ますが、舌下減感作療法なら自宅でできるので試したいとおもいました」と話しています。

減感作療法薬のシダトレン

そいして2014年10月発売されたのは、スギ花粉エキスを主成分とする舌下ぜっか減感作療法薬(商品名・シダトレン)です。1日1回、薬の液を舌の下にたらし、2分ほど口に含んでからのみ込みます。

0.2ミリ・リットルから徐々に増量し7日目に1ミリ・リットルまで増やす方法を、1週目は通常の10分の1濃度で、2週目は通常濃度で続けた後、3週目からは通常濃度を毎日1ミリ・リットル摂取し続けます。

治療期間は最低2年とされます。費用は1回分(1ミリ・リットル)100円程度(自己負担3割で約30円)です。

2010~12年、この薬の臨床試験(治験)で治療を受けた女性(41)は、20年来のスギ花粉症でした。

夜も鼻水がひどくて目覚めるほど重症だったが、この免疫療法により、「以前に比べ症状は半減したように感じました」と話しています。花粉シーズン中、それまでは毎日飲んでいたアレルギー治療薬は数回飲む程度に抑えられ、昨年や今年のシーズンも軽く済んでいるそうです。

千葉大耳鼻咽喉科教授の岡本美孝さんによりますと、治験では、この薬を1年半飲んだ患者さんは、スギ花粉ピーク時の症状の程度が、平均して30%ほど軽減されるという効果がありました。

ただ、アレルギー治療薬を飲まずにシーズン中ほとんど症状が出なくて済んだ患者さんは17%にとどまり、症状の軽減効果が全くなかった患者さんも20%いました。

治験では服用期間が短かったこともありますが、今のところ確認できた効果は限定的です。服用期間を終えた後、効果がどれくらい持続するかも、これから研究を深めていくことになります。

しかし、これまでの治療は、抗ヒスタミン薬やステロイド薬、鼻の粘膜にレーザーをあてて症状を緩和する方法など、対症療法が中心でした。

根本的な治療を目指す手法としては、アレルゲンの皮下注射が以前からありますが、2年以上にわたり毎月通院して注射をしなければならず、患者の負担が大きかったです。

それに比べれば、注射の痛みはなく自宅で飲める便利さがあり、免疫療法に取り組みやすくなったといえそうです。

シダトレンの副作用

ただし、副作用には用心したほうがいいです。主なものは、口内炎、舌の下や口の中の腫れ、のどのかゆみ、頭痛などです。

ごくまれにアナフィラキシーという重いショック症状が起きることがあり、じんましんや吐き気、息苦しさなど体調に異変があれば、遠慮せず医師に相談しましょう。服用後30分間や、飲み始め1か月程度は、特に注意する必要があります。

岡本さんは「この免疫療法で症状が完全に消えることは少ないですが、症状の改善や、アレルギー治療薬の減量には期待できます。受ける場合は長所と短所を知った上で、この治療を行う資格を持った医師の指導の下で取り組んでほしいです」と話しています。


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