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-ぜんそく重症患者向けの新薬オマリズマブ(商品名ゾレア)-

ぜんそく重症患者向けの新薬オマリズマブ(商品名ゾレア)

ぜんそくの重症患者

ぜんそくは、空気の通り道である気道が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。せきが止まらないなど重い発作が出ると、酸素不足や意識障害に陥り、最悪の場合は命を落としてしまいます。国内の患者数は400万450万人と推計されています。

1990年代、ぜんそくの原因は「気道の慢性的な炎症」と分かり、炎症を抑える吸入ステロイド薬が治療の中心になりました。これに気管支拡張薬や抗アレルギー薬を併用し、治療効果は格段に向上しました。95年に7000人を超えていたぜんそく死亡者数は、2007年には約2500人にまで減った。

「残念なのは、複数の治療薬を最大限に使っても発作を抑えられない重症患者さんが、まだ少なからずいることです」と、昭和大学呼吸器・アレルギー内科教授の足立満さんは語ります。同大学では1割以上が重症患者です。

重症患者にはステロイドの飲み薬を併用しますが、吸入薬と違って長く飲み続けると、糖尿病や白内障、骨粗しょう症などになりやすく、できれば避けたいです。


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新薬オマリズマブ(商品名ゾレア)

オマリズマブ(商品名ゾレア)は、こうした重症患者を対象に承認されたのです。ぜんそくの引き金になるアレルギー反応を起こらなくする薬です。ダニやほこり、花粉などアレルギーの原因となる「抗原」が体内に入ると、身体を異物の侵入から守る血液中の免疫細胞のB細胞が、免疫グロブリンのG抗体(IgG抗体)を主に作り出し、対抗します。

これは正常な免疫機構の働きです。

ところが、一部の人では、「IgE」という別の抗体が作られ、鼻や気管など粘膜の下にあるマスト細胞(肥満細胞)に結合します。この細胞はアレルギー反応を起こす本体で、再び抗原が接すると、ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し、気道の炎症などを引き起こします。これがぜんそくが起こる、仕組みです。

オマリズマブは、IgE抗体と結合することで、抗体がマスト細胞に結合するのを防ぎます。化学伝達物質の働きを抑える従来の抗アレルギー薬とは異なり、その前の段階で作用します。

オマリズマブの対象患者

対象は、血液検査などでIgE抗体が確認できるタイプの患者さんで、重症患者の約5割を占めます。ただし小児には使えません。2週か4週おきに皮下注射し、吸入ステロイドなど基本的な薬はこれまで通り使います。国内の臨床試験では、有効成分を含まない偽薬と比べ、ぜんそく症状が悪化する率が低く、気管支の状態も改善しました。

横浜市立大学呼吸器内科准教授の宮沢直幹さんは「副作用が心配な経口や点滴のステロイドを減らせます。重症患者さんは試す価値があります」と期待しています。

ただ、費用が1本約7万円と高価で、健康保険の3割の自己負担でも、2週おきに3本ずつ使えば、負担は月に12万円を超えますので、国の高額療養費制度などを十分活用してください。


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関係医療機関

昭和大学病院呼吸器・アレルギー内科

横浜市立大学病院呼吸器内科


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