顔面神経まひの「筋肉移植」治療
顔面神経まひとは
顔面神経まひは、表情をつかさどる顔面神経の働きが低下することで、
片側の顔の筋肉が動かなくなったり、動きが弱くなったりする状態です。
- 片目が閉じにくい
- 口角が下がってよだれが出やすい
- 笑ったときに左右のバランスが大きく崩れる
など、見た目だけでなく、食べる・飲む・話すといった機能にも影響することがあります。
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筋肉移植による治療とは
顔面神経まひが長期間続くと、顔の筋肉そのものが痩せて動かなくなってしまうことがあります。
その場合、神経だけをつなぎ直しても十分な動きが戻らないため、
他の部位から筋肉を移植して表情を再建する「筋肉移植」が検討されます。
代表的な方法(遊離筋肉移植)
よく行われる方法の一つが、太ももの薄筋(グレシリス筋)などを用いる遊離筋肉移植です。
- 太ももなどから、細長い筋肉とその血管・神経を一緒に採取する
- 顔の片側にその筋肉を移植し、口角を引き上げる方向に固定する
- 顕微鏡を使って、採取した筋肉の血管と顔の血管をつなぐ(血流を再開させる)
- 神経は、顔面神経の残っている枝や、反対側の顔面神経・咬筋神経などに接続する
時間の経過とともに、移植した筋肉に神経が入り込み、自分の意思で口角を上げられるようになることを目指します。
期待される効果
- 笑ったときに口角が自然に上がるようになり、表情の左右差が軽減する
- 口の閉じやすさが改善し、食べこぼしやよだれが減ることがある
- 表情が戻ることで、人前に出る自信や気持ちの面での改善も期待される
治療の限界と注意点
- 神経が筋肉に十分に伸びて働き始めるまで、数か月?1年以上かかることがある
- 太ももから筋肉を採取するため、採取部位の傷・筋力低下が生じる可能性がある
- 訓練をしないと、笑うつもりがないときにも口角が動いてしまうなどの「シンクロ運動」が起こることがある
- 結果の出方には個人差があり、完全に左右対称な顔を目指す治療ではない
リハビリテーションの重要性
筋肉移植手術の後は、リハビリ(表情筋トレーニング)が非常に重要です。
鏡を見ながら口角の動かし方を練習したり、言語聴覚士や理学療法士の指導を受けながら、
新しくつながった筋肉と神経に「笑う動き」を学習させていきます。
この記事の位置づけ
このページは、顔面神経まひに対する筋肉移植(遊離筋肉移植など)による表情再建の概略を紹介したものです。
どの手術法が適しているかは、
- まひが起きてからの期間
- 原因(ベル麻痺・腫瘍・外傷など)
- 残っている神経や筋肉の状態
によって大きく変わります。
形成外科・頭頸部外科・神経再建を専門とする医療機関で、具体的な選択肢と期待できる結果・限界について説明を受け、よく相談したうえで治療を考えることが大切です。
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関係医療機関
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東大病院
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