グルコサミン
グルコサミンとは
グルコサミンは、「アミノ糖」と呼ばれる物質の一種で、体の中では軟骨や皮膚などの成分として利用されています。 サプリメントに使われるグルコサミンの多くは、エビ・カニなどの甲殻類の殻や、トウモロコシなどを利用した発酵原料から作られています。
人の体でもグルコサミンは作られますが、「軟骨が減っているからグルコサミンを飲めば、そのまま軟骨が増える」というほど単純な仕組みではありません。
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体の中での主な役割
グルコサミンは、関節軟骨の主要成分であるプロテオグリカンなどを作る材料のひとつです。 プロテオグリカンは水分を多く含み、関節のクッションとして働くことで、膝などの関節の動きをなめらかに保つ役割を担っています。
ただし、サプリメントとしてグルコサミンを摂れば、「削れた軟骨が元通りに再生する」とまでは言えません。 膝の痛みや動きをどの程度サポートできるかについては、多くの研究が行われていますが、結果は一枚岩ではありません。
グルコサミンと膝の痛み(変形性膝関節症)との関係
研究で分かっていること
グルコサミンは主に、変形性膝関節症(膝の軟骨がすり減って起こる関節症)に対して研究されてきました。
- 初期の一部の研究では、グルコサミンを数年続けて飲んだ群の方が、偽薬と比べて痛みが軽く、軟骨のすり減りも少なかったという結果が報告されています。
- しかし、その後に行われた大規模で質の高い研究や、複数の試験をまとめた解析では、「グルコサミン(単独またはコンドロイチンとの併用)は、偽薬と比べて痛みや関節の状態をほとんど改善していない」という結果も多く報告されています。
このように、研究によって結果が異なるため、「はっきり効果がある」とも「まったく意味がない」とも言い切れないのが実情です。
まとめると
- 人によって「効いた気がする」「ほとんど変わらない」と感じ方が大きく違う。
- 研究結果も、効果を示すものと、ほとんど差がないとするものが両方ある。
- 一部の診療ガイドラインでは、日常的に積極的にすすめるサプリメントとは位置づけていない場合もある。
つまり、 「飲めば誰でも膝の痛みが改善するサプリ」というよりは、 「人によっては、痛みの軽減や動きやすさの改善を感じる場合もある」 という程度に考えておくのが現実的です。
試してみる前に知っておきたいポイント
グルコサミンを検討するときは、次のような点を意識しておくと、期待外れになりにくくなります。
-
医薬品ではなくサプリメント(食品)である
グルコサミンは「治療薬」ではなく、栄養補助食品という位置づけです。 -
効果が出るとしても、ゆっくり
多くの試験では、少なくとも2?3か月以上続けて様子を見ています。即効性を期待するものではありません。 -
重い関節症や強い痛みには、あまり期待できない
重度で長年続く強い痛みに対しては、ほとんど効果がないとする報告もあります。 -
他の治療をやめて乗り換えるのは危険
医師の治療やリハビリを勝手に中止してサプリだけに頼るのはおすすめできません。
一般的な摂取量の目安
研究や市販サプリメントでは、主に次のような量が使われることが多いとされています。
- 1日あたり1,000?1,500mg程度のグルコサミン(硫酸塩または塩酸塩)を、1?数回に分けて摂るケースが一般的です。
ただし、製品ごとに推奨量が異なり、体格・年齢・体調によって適切な量も変わります。 必ず商品ラベルの指示に従い、むやみに量を増やさないことが大切です。
下痢などの胃腸症状が出る場合は、量を減らす・中止するなど調整し、 気になる症状が続く場合は医師に相談してください。
グルコサミンに報告されている主な副作用
サプリメントとしてのグルコサミンは、適切な量であれば「比較的安全」と考えられていますが、次のような副作用・不調が報告されています。
- 胃の不快感、吐き気、胸やけ、下痢、便秘などの消化器症状
- 眠気、頭痛、皮膚のかゆみ・発疹
- 血糖値の上昇、血圧やコレステロール値の変化が報告されたケース
- 甲殻類由来製品によるアレルギー反応の可能性
- ぜんそくの症状が悪化したとされる報告
- ワルファリンなど血液をサラサラにする薬との併用で、出血傾向が強まったとされる報告
「自然の成分だから安心」と思い込まず、体調の変化には十分注意し、異常があれば中止して医師に相談してください。
注意が必要な人・医師に相談した方が良い人
次のような方は、グルコサミンのサプリメントを使う前に、かかりつけ医や薬剤師に相談することをおすすめします。
- 糖尿病や耐糖能異常がある人
- 高脂血症、高血圧、心臓病などがある人
- 腎臓病・肝臓病など、慢性の持病がある人
- ワルファリンなどの抗凝固薬、血液サラサラの薬を服用している人
- 甲殻類アレルギーがある人(原材料に甲殻類由来の表示がある場合)
- ぜんそくの持病がある人
- 妊娠中・授乳中、または妊娠を希望している人
- 子どもや若年者(長期の安全性データが十分でないため)
グルコサミンを飲むときのポイント
-
まずは医師の診断を受ける
膝が痛いからといって、すべてが変形性膝関節症とは限りません。
リウマチ、痛風、半月板損傷など別の病気が隠れていることもあります。 -
膝の治療やリハビリと並行して使う
医師の治療や運動療法の妨げにならない範囲で、補助的に使うイメージです。
-
2?3か月続けても変化がなければ、いったん見直す
何年もだらだら飲み続ける前に、
「本当に自分にとって費用と効果が見合っているか?」を冷静に振り返ることが大切です。 -
複数のサプリを同時に増やさない
何かあったときに、どれが原因か分からなくなります。
グルコサミンを含む食品
日常の食事でも、少量ながらグルコサミンやそのもとになる成分を含む食品があります。
- エビ・カニなどの殻(家庭ではあまり大量には食べません)
- 鶏の皮・軟骨など
ただし、サプリメントで使われる量と比べると、通常の食事から摂れる量はかなり少ないと考えられます。
膝の健康のために、まず優先したいこと
グルコサミンは「膝のサポート役」のひとつですが、科学的に効果がはっきりしているのは、むしろ次のような対策です。
- 体重管理(体重が1kg減ると、膝への負担はそれ以上に減るとされます)
- 太ももの前側(大腿四頭筋)を鍛える筋トレ・ストレッチ
- 膝に負担の少ない運動(ウォーキング、エアロバイク、水中ウォーキングなど)
- ヒールの高すぎない靴や、クッション性のあるシューズの利用
- 必要に応じた痛み止め・湿布・物理療法など、医師による治療
グルコサミンを飲むかどうかは、 「上のような基本的な対策を行ったうえで、それでも何か補助的に試したい」 というときに、選択肢のひとつとして検討するくらいの位置づけにしておくと良いでしょう。
この記事の位置づけについて
このページは、膝の痛みや関節の不調で悩んでいる方に向けて、グルコサミンに関する研究や公的機関の情報をもとに、できるだけ中立的な情報提供を目的としています。
- 特定の商品・治療法をすすめるものではありません。
- 実際の診断・治療・服薬の判断は、必ず医師・薬剤師などの専門家と相談してください。
参考文献・参考サイト
- 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト eJIM:変形性関節症に対するグルコサミンとコンドロイチン
- 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト eJIM:変形性関節症
- 国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報(グルコサミン)」
- New England Journal of Medicine、BMJ などに掲載されたグルコサミン関連の研究論文
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