サメ軟骨
サメ軟骨とは
サメ軟骨は、その名の通りサメの軟骨部分を原料とした素材です。 サプリメントとしては粉末やカプセル、錠剤の形で販売されており、 ムコ多糖体(コンドロイチン硫酸など)や、 コラーゲン、カルシウムなどを含むとされています。
かつては「関節に良い」「がんに良い」といった宣伝が行われた時期もありますが、 がんに対する有効性については、質の高い臨床試験で明確な効果は認められていません。 関節への影響についても、研究は限られており、 科学的な評価は慎重に行う必要があります。
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体の中での主なはたらき(と考えられていること)
サメ軟骨そのものが体内でどのように働くかについては、 まだ十分な研究があるとは言えません。 一般的には、含まれる成分の一つであるコンドロイチン硫酸や、 コラーゲン、カルシウムなどが次のようなはたらきを持つと考えられています。
- コンドロイチン硫酸:軟骨の弾力や水分保持に関与する可能性
- コラーゲン:軟骨や骨・靭帯などの構造を支えるたんぱく質
- カルシウム:骨の材料となるミネラル
ただし、サプリメントとしてサメ軟骨を摂取した場合に、 これらの成分がどの程度そのまま関節や骨の健康に結びつくかについては、 まだはっきりした結論は出ていません。
サメ軟骨と関節の痛み(変形性膝関節症)との関係
変形性膝関節症についての研究
サメ軟骨を含むサプリメントが変形性膝関節症にどの程度役立つかについては、 人を対象とした研究は多くありません。
- 一部の試験では、サメ軟骨を含む製品を一定期間摂取した人で、関節の痛みが軽くなったと報告されることがあります。
- しかし、多くの場合、コンドロイチンやグルコサミン、コラーゲンなど他の成分も一緒に含まれており、
「サメ軟骨だけの効果」を切り分けることは難しいのが現状です。 - 動物実験や細胞レベルの研究では、軟骨を保護する可能性が示唆されるものもありますが、
これをそのまま人間にあてはめることはできません。
このため、サメ軟骨については、 人間の変形性膝関節症に対して明確な有効性が示されたとは言えない段階です。
がんに対する「サメ軟骨神話」について
一時期、サメ軟骨が「がんに効く」として大きく宣伝されたことがありましたが、 質の高い臨床試験では、進行がんの患者さんに対して 生存期間の延長やQOLの改善など明確な効果は認められなかった と報告されています。
がんに対して、サメ軟骨を標準治療の代わりに用いることは非常に危険であり、 公的機関でも注意喚起がなされています。
まとめると
- サメ軟骨は、コンドロイチンやコラーゲンなどを含む素材としてサプリに使われている。
- 関節に対する影響について、人を対象とした研究は限られており、明確な有効性は示されていない。
- がんに対する効果については、質の高い臨床試験で有効性が否定されている。
そのため、サメ軟骨は「これさえ飲めば関節やがんが良くなるサプリ」ではなく、 科学的な根拠がまだ不十分な素材のひとつとして捉えるのが現実的です。
試してみる前に知っておきたいポイント
サメ軟骨サプリを検討するときは、次のような点を意識しておくと、期待外れになりにくくなります。
-
医薬品ではなく栄養補助食品である
診断や治療に代わるものではなく、補助的な位置づけです。 -
効果が出るとしても、はっきりしないことが多い
人を対象とした研究が少なく、個人差も大きいと考えられます。 -
がんの治療として期待してはいけない
サメ軟骨を標準治療の代わりに用いることは、命に関わる危険があります。 -
カルシウムやたんぱく質の取りすぎに注意
一部の製品では、カルシウムやたんぱく質が多く含まれることがあり、 腎臓などに負担となる可能性があります。
一般的な摂取量の目安
サメ軟骨サプリには、公的な摂取量の基準はありません。 市販品では、1日数g程度(カプセル数粒?十数粒)を目安とした商品が多く見られますが、 製品によって含有量や推奨量は大きく異なります。
必ず商品ラベルやメーカーの指示に従い、 自己判断で極端に量を増やさないようにしてください。 腎機能などに不安がある場合は、事前に医師に相談することをおすすめします。
サメ軟骨に報告されている主な副作用
サメ軟骨サプリに関する安全性情報は十分とは言えませんが、 次のような副作用や不調が報告されています。
- 胃の不快感、吐き気、下痢、便秘などの消化器症状
- 味やにおいによる不快感
- カルシウムの過剰摂取による血中カルシウム濃度の上昇
- 重金属などの不純物が混入している可能性が指摘された製品もあります
体調の変化には十分注意し、異常を感じた場合は使用を中止して医師に相談してください。
注意が必要な人・医師に相談した方が良い人
次のような方は、サメ軟骨サプリメントを使用する前に、 かかりつけ医や薬剤師に相談することをおすすめします。
- 腎臓病・肝臓病など、たんぱく質やミネラルの摂取量に注意が必要な持病がある人
- 心臓病や脳血管疾患などの持病がある人
- ワルファリンなどの抗凝固薬を服用している人
- 魚介類アレルギーがある人
- 妊娠中・授乳中、または妊娠を希望している人
- 子どもや若年者(長期使用の安全性データが不十分なため)
サメ軟骨を飲むときのポイント
-
まずは整形外科で関節の状態を確認する
関節の痛みやこわばりの原因はさまざまで、変形性膝関節症だけとは限りません。
自己判断でサプリだけに頼るのではなく、まずは医師の診断を受けることが重要です。 -
医師の治療やリハビリと並行して使う
サメ軟骨はあくまで補助的な選択肢と考え、 医師の治療・運動療法・生活習慣の改善と組み合わせて利用することが大切です。
-
2?3か月ごとに「続けるかどうか」を見直す
長期間なんとなく飲み続ける前に、
「本当に自分にとって費用と効果が見合っているか?」を定期的に振り返りましょう。 -
複数のサプリを同時に増やさない
サメ軟骨以外にも、多くの関節サプリを一度に増やしてしまうと、 体調に変化があったときに、どれが原因か分からなくなります。
膝の健康のために、まず優先したいこと
サメ軟骨サプリは関節ケアの一つとして紹介されることがありますが、 膝の健康のために、科学的に有効性がはっきりしているのは、次のような基本的な対策です。
- 体重管理(体重が1kg減ると、膝への負担はそれ以上に減るとされています)
- 太ももの前側(大腿四頭筋)を鍛える筋力トレーニングやストレッチ
- 膝に負担の少ない運動(ウォーキング、エアロバイク、水中ウォーキングなど)
- ヒールの高すぎない靴や、クッション性のあるシューズを選ぶこと
- 必要に応じた痛み止め・湿布・物理療法など、医師による治療
サメ軟骨を飲むかどうかは、 こうした基本的な対策を行ったうえで、 「それでも何か補助的な選択肢を試してみたい」と考えたときに、 選択肢のひとつとして検討するくらいの位置づけにしておくと良いでしょう。
この記事の位置づけについて
このページは、関節の痛みや不調で悩んでいる方に向けて、 サメ軟骨に関する研究や公的機関・専門機関の情報をもとに、 できるだけ中立的な情報提供を目的として作成しています。
- 特定の商品・治療法をすすめるものではありません。
- 実際の診断・治療・服薬の判断は、必ず医師・薬剤師などの専門家と相談してください。
参考文献・参考サイト
- 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト eJIM:変形性関節症・サプリメント全般に関する解説
- 国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
- がんの補完代替医療におけるサメ軟骨の臨床試験結果をまとめた公的ガイドブック
- 軟骨成分(コンドロイチン硫酸など)に関する基礎研究・臨床研究のレビュー論文
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