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-前立腺肥大症の「ホルミウム・ヤグレーザー前立腺核出術」-

前立腺肥大症の「ホルミウム・ヤグレーザー前立腺核出術」

前立腺肥大症の症状


年齢とともに、トイレが近くなる、排尿に時間がかかる、残尿感を覚える、といった症状が現れる男性が多くなります。原因は、前立腺が徐々に大きくなる前立腺肥大症の場合が大半です。

前立腺は、膀胱の下にあり、尿道の周りを包むように位置するクルミ大の男性特有の器官です。肥大した前立腺が尿道を圧迫するため、排尿に問題が起きます。患者は100万人以上で、50歳以上の男性の数人に1人が、この病気とも言われています。

治療では、まず前立腺の筋肉を緩ませて、尿の通りを良くするα1受容体遮断薬などを服用します。これで十分な効果がない場合、外科的な治療が行われます。以前は腹部を切り開く手術が多かったです。しかし、治療効果は高いものの、傷が大きく、体の回復も遅いです。

これに代わり、現在は麻酔をした上で尿道から内視鏡を入れ、肥大部分を電気メスで切り取る「経尿道的前立腺切除術」が主流になっています。手術に要する時間は1時間程度と短いですが、欠点は前立腺自体を切り取ることから、やや出血が多いことです。

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新しい治療法「ホルミウム・ヤグレーザー前立腺核出術」


そこで増えてきたのが、電気メスの代わりに、正常組織への影響が少ない特殊な波長を持つレーザーを使った「ホルミウム・ヤグレーザー前立腺核出術」です。

先端からレーザーが出る棒状の器具を尿道から入れ、前立腺の内側部分を削り取っていきます。前立腺をミカンに例えると、外側の皮を残して内側の実をはがすように切除するため、出血が少なくて済みます。切り取った組織は、砕いて吸い出します。

慶応大では、年間100人近くを外科治療しているが、2004年には約15人をレーザーで治療しました。レーザーがとくに活躍するのは、肥大した前立腺の容積が50立方センチ以上と大きな場合です。前立腺が大きいと、手術による出血も多いためです。

慶応大の場合、電気メスによる切除では1週間程度の入院が必要になりますが、レーザーは出血が少ないため、入院も2日程度短縮できます。ただし、レーザーでの治療は電気メスに比べ方法がやや複雑なこともあり、導入した施設は全国で約50か所にとどまります。

最近広がり始めた治療であるため、長期の治療成績も分かっていませんが、「これまでの成績では、電気メスと同等で、90%以上の患者で効果が長続きすると推測されています」と慶応大泌尿器科教授の村井勝(むらいまさる)さんは言います。

レーザー治療にも保険が適用され、3割負担で6万円程度です。このほか入院費用などがかかります。村井さんは「技術の進歩で、治療による体の負担はどんどん小さくなっています。排尿で悩んでいる方は、泌尿器科を受診してほしい」と話しています。

治療開始の基準


尿の出方や悩みは個人によって大きく異なり、前立腺肥大があっても、本人がとくに生活の支障を感じていなければ、治療せずに様子を見るのも選択肢の1つです。ただし残尿が常に50㏄以上あり、腎臓の機能に悪影響を与える恐れがある場合は、治療を受けるのが望ましいです。

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