夜尿症のための「夜尿アラーム」
夜尿症の原因と治療法
朝目覚めると、パンツとふとんがびっしょり。お母さんに怒られるのが怖くて、なかなか起きられない。そんな体験が重なるうちに、自分に自信が持てなくなるのが夜尿症の深刻なところです。
京都府立医大病院の泌尿器科助教授・河内明宏(かわうちあきひろ)さんの調査では、おねしょをしない子の場合、自尊心の高い子は56%だったのに対し、毎晩おねしょをする子では20%にとどまっていました。
通常、排尿を自分の意志でコントロールできるようになるのは、大脳の排尿抑制機能が完成する4歳前後です。5歳くらいになると昼寝をしなくなるなど、睡眠のリズムも大人に近づいてきます。このため、5歳を過ぎてもおねしょを繰り返してしまう場合、夜尿症と診断されます。
河内さんの調査では、夜尿症(月1回の夜尿)は5-9歳の子供の11%にみられます。年齢が上がると自然に治ることもありますが、10-12歳でも4%が悩んでいます。河内さんは「夜尿はいびきと同じで、自分の意志では止められません。小学校低学年以降も続く時は、適切な治療が必要です」と話しています。
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おねしょをブザーで知らせる「夜尿アラーム」
治療には主に薬が使われてきましたが、最近注目されているのが、おねしょをブザーで知らせる夜尿アラームです。尿を感知するセンサーをパンツに着けて眠り、尿が出たら「ピッ、ピッ」という電子音で知らせます。本人はアラーム音に気付かないことが多く、家族が体を揺すったり、起こしてあげたりします。
同病院では、これを3か月程度続けるうちに、尿意を感じてトイレに行けるようになったり、膀胱にためられる尿量が増えたりする場合が多いです。
欧米では1960年代から使われてきた。国内では「睡眠を妨げるのは、おねしょの治療に逆効果」との考えから普及しませんでしたが、治療効果の高いことがわかってきました。
薬物療法の場合、尿意で目覚めやすくなるなどの作用がある抗うつ薬では、おねしょの日数が半分以下になる有効率は約50%ですが、薬をやめると40-60%が再発してしまいますし、吐き気などの副作用もあります。
尿量を抑える抗利尿ホルモンの点鼻スプレーでは、有効率は40-80%です。副作用の心配は少ないものの、やめると多くの場合は再発します。これに対し、夜尿アラームの有効率は、同病院のデータでは約60%で、再発率は10-20%と低かったです。
ほあし子どものこころクリニツク(東京)では、薬で効果のない難治性の場合に、夜尿アラ-ムを使用しています。院長の帆足英一(ほあしえいいち)さんは「夜間尿量が多いなどの原因で起こる夜尿では効果は確認されていませんが、難治性の患者で75%の有効率でした」と話しています。
ただ、外泊などで即効性が必要な時は抗利尿ホルモンなどが有効で、状況や症状に応じて治療法を組み合わせます。夜尿アラームは5-6歳では効果が出にくいため、京都府立医大では8歳以降を対象にしています。国産の製品は、医療機関などを通して7000円程度で購入できます。
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関連医療機関
京都府立医大病院
ほあし子どものこころクリニツク(東京)
関連サイト
夜尿症ーおねしよーナビ
専門医のインタビューや夜尿症の相談ができる医療機関名、修学旅行などの宿泊行事での対処法などを紹介しています。
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