脳腫瘍のMRI手術(術中MRIを用いた脳腫瘍手術)
なぜ「術中MRI」が必要なのか
脳腫瘍手術では、可能な限り腫瘍をたくさん取り除くこと(最大限の摘出)と、
神経機能を守ること(安全性)の両立が大きな課題です。
ところが、手術中は「脳の位置が少しずつ動く(ブレインシフト)」ため、
術前のMRI画像だけを頼りにすると、腫瘍の残り具合を正確に把握しにくいことがあります。
術中MRI(intraoperative MRI:iMRI)は、手術の途中でMRI撮像を行い、
残っている腫瘍の位置や大きさをリアルタイムに確認しながら手術を進めるためのシステムです。
スポンサードリンク
術中MRI手術の流れ
- 全身麻酔下で開頭し、腫瘍の一部?大部分を切除
- 手術室内に設置されたMRI装置で術中MRI撮像を行う
- 画像を確認して、残存腫瘍があれば追加切除を検討
- 必要な処置が完了したのち、閉頭して手術終了
これにより、術者は「どこまで取れているか」を客観的に確認しながら手術を進めることができます。
期待される利点
- 摘出率(extent of resection)の向上 多くの研究で、術中MRIを用いた方が腫瘍の全摘例が増える・残存腫瘍量が減ることが報告されています。
- 再手術の回避
術中に残存腫瘍がわかれば、その場で追加切除ができ、
後から「取り残し」のために再手術となる可能性を減らせます。
特に悪性脳腫瘍(グリオーマなど)では、摘出量が多いほど予後が良い傾向があり、
術中MRIは「最大限・安全な摘出」をサポートするツールとして位置づけられています。
限界と注意点
- 術中MRI装置は高価で、設置している病院は限られている
- 撮像のために手術時間が延びることがある
- すべての脳腫瘍で必ずしも必要というわけではなく、
腫瘍の種類・場所・手術の目的によって適応が判断される - MRIは「画像上の情報」であり、機能温存のためには術中モニタリング(言語・運動機能のチェックなど)との併用が重要
この記事の位置づけ
このページは、脳腫瘍手術における「MRI手術(術中MRI)」の役割を解説するものです。
脳腫瘍の治療では、
- 手術
- 放射線治療(定位放射線、強度変調放射線など)
- 化学療法・分子標的薬・免疫療法
などを組み合わせて、症例ごとに最適な治療戦略が立てられます。
術中MRIを用いた手術が可能かどうか、またその必要性については、
脳神経外科専門医とよく相談して確認することが大切です。
関係医療機関
スポンサードリンク