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-多発骨転移がんの痛み 放射性の薬で効果持続 -

多発骨転移がんの痛み 放射性の薬で効果持続

多発骨転移がんの治療

骨に転移したがん(骨転移)は、骨を徐々に壊すなどして痛みを引き起こします。こうした痛みを取り除く方法には、転移した部分の骨を切除する手術や体外から照射する放射線治療、骨転移の進行を抑える薬や鎮痛剤、抗がん剤の治療などがあります。

ただし、骨転移が広がり、数も多くなると、手術や放射線の体外照射での対処が難しくなります。鎮痛剤や抗がん剤なども、量を増やせば、胃腸障害、吐き気、眠気などの副作用が大きくなる恐れがあります。


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多発骨転移がんの新たな対処法

こうした多発骨転移への新たな対処法が、放射性の薬剤「ストロンチウム89」(薬品名:メタストロン注)の注射です。これは、β(ベータ)線という放射線を発する物質ですが、カルシウムと似た性質を持っているのが特徴です。

骨転移のある場所では骨の破壊と再生が起き、正常部位よりカルシウムの出入りが盛んになっていて、ストロンチウム89は、体内に入ると、特に骨転移のある場所に集まりやすです。そこで放射線を発し、がんの活動をおとなしくさせ、痛みを和らげる効果が狙えるといいます。

治療に入院の必要はなく、ストロンチウム89を含む薬剤を体重に合わせて調整し、3・5ミリ・リットル前後を静脈に注射します。注入は1、2分かけてゆっくり行います。

ストロンチウム89の治療効果と注意点

2001~03年、国内の12医療機関が共同で行った臨床試験によると、多発骨転移の痛みがあった69人のうち、痛み、または、鎮痛薬の量の減少のいずれかが50人(72・5%)でみられました。データをまとめた北海道がんセンターの西尾正道さんは「痛みだけでなく、薬の副作用を減らす意味でも生活の質の改善が見込めます」と話しています。

効果が出るのは早くても注射の1~2週間後と即効性はありませんが、効果は約3か月持続するといいます。血液中の血小板や白血球が少ない場合、薬の投与でさらに減少する危険があるので、受けることはできません。治療後も、定期的な血液検査が必要になります。治療後、一時的に痛みが増すケースが約8%で起こっています。

長野県に住む78歳の男性は、骨転移がんで背中が痛むために、放射線治療で痛みを治めました。しかし、2年後痛みがぶり返し、両肩や右腕にも痛みが広がりました。特に両肩は「くぎを打ち込まれたよう」でしたが、長野市民病院でストロンチウム89を注射すると和らぎました。効果を感じるまで約1か月かかりましたが、「今の痛みは以前の5分の1程度です。座薬が必要ない日が続くこともあります」と語っています。

薬剤が発するβ線が影響を及ぼす距離は最大でも8ミリで、周囲への影響はほとんどないとされています。ただし、治療の際、骨に集まらなかった薬剤の大半は、1、2日のうちに、尿から体外に排出されるため、尿や血液の取り扱いには注意が必要です。男性も座位で排尿し、トイレの水は2回流すなどと指導されます。

同病院放射線科の橋田巌さんは「鎮痛薬では除痛が不十分な場合や、すでに放射線を照射した部位で再発した場合にも、痛みの緩和が期待できる方法」と話しています。

治療可能な医療機関は約30施設あります。その一部は薬剤を取り扱う日本メジフィジックスのホームページで紹介しています。


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関係医療機関

長野市民病院

関連サイト

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