サプリメント事典

-がんの症状を緩和する漢方薬-

がんの症状を緩和する漢方薬

漢方薬による症状を緩和の試み

がんに伴って起きる全身の倦怠(けんたい)感食欲不振不眠などの症状、抗がん剤や放射線治療の副作用など、がん患者の悩みは多いいです。こうした症状に対して漢方薬を用いて軽減しようという、試みが行われています。

東京都江東区のがん研有明病院の消化器内科部長、星野惠津夫(えつお)さんは、週2回、「漢方サポート外来」で診察をおこなっています。

星野さんは消化器がんの治療を専門にする傍ら、若いころから漢方医学を学んできました。「西洋医学はがんを攻撃するのは得意ですが、がんに伴って起きる多様な症状は、それだけでは解決しないことが多いいです。そんな時こそ、漢方の出番になります」と話しています。

疲れやだるさ、食欲不振、病気のストレスによる不眠などのよくある症状に加え、手術後の傷の痛みや抗がん剤による手足のしびれ、胃を切った後の食欲不振など個別の訴えもあります。患者の状態と症状の診断から、保険のきく147種類ある漢方のエキス剤のうちから最適なものを選択します。個人差があるので、効き具合を見ながら、組み合わせを調整します。


スポンサードリンク


各漢方薬によるがん症状の緩和効果

全身症状の改善には、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」のいずれかを処方します。最もよく使うのは十全大補湯で、不眠や不安など精神症状が強ければ補中益気湯、また肺転移や肺炎などによるせきや息苦しさがあれば人参養栄湯を選びます。

食道がんが肺などに転移した男性は、ひどい息苦しさを訴えてがん研有明病院外来を訪れました。ところが、漢方治療を始め2週間ほどで呼吸が楽になりました。5か月後に亡くなりましたが、その間、家族と2度の海外旅行を楽しむことができました。

漢方でがんそのものが治るという証明はありません、様々な症状にどのようにして効果をもたらしているのか詳しい仕組みはわかっていませんが、星野さんは「西洋医学による従来の治療に行き詰まっても、漢方という別の方法があることを、患者に提示できる意義も大きいです」と話しています。

抗がん剤の副作用で起きる手足のしびれには「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」など、乳がんのホルモン治療や、子宮・卵巣がんの手術で卵巣を取った後に起きるほてりには「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」など、のどや耳下腺がんなどの放射線治療の後遺症で、だえきが出ず、口が渇く症状には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などを使います。

また、免疫が低下して起きる帯状疱疹(ほうしん)後の神経痛や、夜間の頻尿、腸閉塞(へいそく)や下痢、しゃっくり、冷えなども、漢方薬で改善が期待できます。

漢方薬を使う医療機関は、2008年4月から「漢方内科」のように、内科や婦人科などの一般的な診療科名と組み合わせて表示することが可能になり、探しやすくなりました。星野さんは「がん専門病院でなくても、同様の診療を受けられる施設もあるので相談してみて下さい」と話しています。


スポンサードリンク


関係医療機関

がん研有明病院


がん予防 サプリメント


スポンサードリンク


↑ ページトップ