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-フェンタニル・パッチによるがん疾痛(とうつう)治療法-

フェンタニル・パッチによるがん疾痛(とうつう)治療法

がん疾痛(とうつう)治療法


がんの痛みは、進行がん患者の60%-70%、末期がん患者の75%が襲われるとされています。

しかし、1986年に世界保健機関(WHO)が「がん疾痛(とうつう)治療法」という指針を公表しました。3段階に分けた、痛みごとに鎮痛剤の使用を勧めています。がんの痛みの9割は抑えられるとして、指針に沿った治療法が国際的に普及してきました。

にもかかわらず、わが国ではまだ、痛みに苦しむがん患者が少なくありません。ある全国調査(96年)では、末期がん患者の痛みを取り除けた割合(除痛率)が、がん専門病院や大学病院でも50%-60%となっています。

その要因の一つとして、「ホームケアクリニック川越」の川越さんは「今でも医療者や患者にモルヒネヘの誤解があるほか、不適切に使われる場合もある」と指摘しています。

もっとも強い痛みに対しては、モルヒネなどの麻薬が使われます。麻薬に対する患者の心理的抵抗感は年々減っており、医療用モルヒネの消費量は、国内でも10年間に約25倍に増えています。正しく使えば、中毒の危険性はありません。わが国のモルヒネ使用量は、年々増えてはいるものの、他の先進国に比べるとまだ少ないです。

モルヒネは、適切に使う限り、余命を短くしたり、大きな精神的混乱や依存を起こしたりすることはありません。ただし、適切な投与量は個人差が大きいため、様子を見ながら少しずつ増量するなどの工夫が必要です。

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「張り薬」のフェンタニル・パッチ


近年では、鎮痛効果が3日間続く「張り薬」のフェンタニル・パッチ、鎖痛薬を自動的に微量注入できる小型ポンプ、効果が24時間持続する経□モルヒネ、などが登場して、特に在宅での痛み治療をより便利にしています。さらに、新しい飲み薬「塩酸オキシコドン除放錠」(一般名)も発売され、痛み治療の選択肢はさらに広がっています。

2002年に発売されたフェンタニル・パッチは、胸、腹、上腕、大たい部などに張り付けるだけで3日間効果が持続します。パッチの主成分「フェンタニル」も麻薬の一種です。皮膚の表面(表皮)を通過し、下にある真皮部分の血管から、ゆっくりと薬を吸収します。吐き気、便秘、眠気などの副作用は、モルヒネより軽いです。薬が飲めない場合や、毎日、大量の薬を飲んでいる患者さんにも適しています。

飲み薬や座薬のモルヒネは投与後、最大でも24時間しか効きません。これに対し、3日おきに張り替えるだけのフェンタニル・パッチは入浴してもはがれず、自宅療養する患者さんや家族にも扱いやすいです。

反面、効果が出るまでの時間が長いのが欠点です。パッチを張り付けてから痛みを緩和できる血中濃度に達するまで約24時間かかります。急な痛みには対応できないので、当初は短時間作用型のモルヒネなどとの併用が必要になります。「ほかの薬と合わせて、上手に使用することで、患者さんの生活の質を高めることができる」と癌研有明病院・麻酔科医長の田中清高さんは話します。

とはいえ、パッチも麻薬です。海外では、麻薬中毒者が、中身の薬剤を口から服用し、中毒死した事故も起こっています。在宅での取り扱いには、細心の注意が求められています。

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ホームケアクリニック川越

癌研有明病院


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