骨への転移がん進行を抑制する「ビスフォスフォネート製剤」
骨転移が起こると何が問題か
乳がん・前立腺がん・肺がん・腎がん・多発性骨髄腫などは、進行すると骨に転移しやすいがんです。
骨転移が起こると、
- 強い骨の痛み
- 骨折(病的骨折)
- 脊髄の圧迫によるしびれ・麻痺
- 高カルシウム血症(だるさ・意識障害など)
といった骨関連事象(SRE:Skeletal-Related Events)が起こり、生活の質や予後に大きな影響を与えます。
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ビスフォスフォネート製剤とは
ビスフォスフォネート製剤は、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑える薬です。
代表的な薬剤には、
- ゾレドロン酸(ゾメタなど)
- パミドロン酸 など
があります。
もともと骨粗しょう症や高カルシウム血症の治療にも使われていましたが、
骨転移のあるがん患者さんで骨関連事象を減らす効果が臨床試験で示され、広く用いられるようになりました。
どのような効果が期待できるか
複数の臨床試験やメタ解析で、ビスフォスフォネート製剤は、
- 骨折・脊髄圧迫・放射線照射・手術などの骨関連事象の発生を減らす
- 骨の痛みを軽減し、鎮痛薬の使用量を減らすことに役立つ
ことが報告されています。 その結果、日常生活の質(QOL)の改善に貢献すると考えられています。
デノスマブとの関係
近年は、破骨細胞を抑える薬としてデノスマブ(骨吸収抑制の抗体薬)も使われています。
ビスフォスフォネート製剤と比べて、
- 骨関連事象の発生をより遅らせる/減らすという報告
- 腎機能への影響が少ない反面、低カルシウム血症に注意が必要
など、長所・短所が異なります。どちらが適するかは、腎機能・がんの種類・治療歴などを踏まえて決められます。
主な副作用と注意点
- 腎機能障害:とくにゾレドロン酸では、投与前後の腎機能チェックが重要
- 低カルシウム血症:カルシウム・ビタミンDの補充や血液検査が必要
- 顎骨壊死(顎の骨のトラブル):長期使用でまれに起こる重い副作用。事前の歯科チェックや抜歯のタイミング調整が勧められる
- 一時的な発熱・だるさ・筋肉痛などの「インフルエンザ様症状」
この記事の位置づけ
このページは、骨転移のあるがん患者さんに使用されるビスフォスフォネート製剤の役割を分かりやすくまとめたものです。
実際にどの薬剤をどのくらいの間使うかは、
- がんの種類・進行度
- 腎機能・歯の状態
- ほかの治療(ホルモン療法・分子標的薬など)との組み合わせ
によって変わりますので、担当の腫瘍内科医・整形外科医・歯科医とよく相談してください。
関連医療機関癌研有明病院(東京)癌化学療法センター
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