サプリメント事典

-高麗人参(朝鮮人参)-

高麗人参(朝鮮人参)

高麗人参(朝鮮人参)の効果効能

高麗人参はウコギ科トチバニンジン属の根を乾燥させた物です。高麗人参は現在でも医薬品として「日本薬局方」に記載され主に漢方薬で処方される薬です。漢方では主に消化や下痢、整腸、鎮痛、滋養強壮などの処方で、用いられています。

男性ではテストステロン、女性ではエストロゲンを放出させて、性機能を高める効果もあります。

高麗人参の効果の源は、有効成分の「ジンセノシド」や「パラキシノイド」などのサポニンです。ジンセノシドの働きは抹消血管を広げて血行を改善したり、脳内の伝達物質のアセチコリンを放出させ脳の記憶力を高めたりする働きがあります。


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高麗人参のジンセノシド効果

ジンセノシドは末梢血管を広げて血行を改善するほか、脳への刺激で代謝を促進するはたらきを持ちます。この"ジンセノシド効果"が高麗人参の重要な有効成分であることは間違いありませんが、その効果が発揮されるしくみは解明せれていません。

なぜなら、ジンセノシドは単一の物質ではなく、十数種類もの有効成分の混合物だからです。精油、抗酸化物質多糖類ビタミン脂肪酸も含まれています。

このため、高麗人参は脳に関しても興奮と抑制といった正反対のはたらきを示します。ジンセノシドの代表であるRb1という物質は、アセチルコリンという伝達物質を放出させます。これで脳が興奮し、記憶力が高まります。しかも、脳内では「ギャバ」という伝達物質が脳を抑制するブレーキとして働いていますが、Rb1はギャバのはたらきを妨げます。この結果、脳は興奮するのです。

一方、脳を抑制する働きもあります。Rb1を摂取したマウスに催眠薬のヘキソバルビタールを注射すると、睡眠時間が延長しました。つまり脳に抑制がかかったのです。

高麗人参の多面的な薬効

高麗人参は各臓器に対する直接作用のほか神経や内分泌、免疫系を介した恒常性の維持という調整作用が加わって、一つの体に病状の正常化を目的としたネットワークが作用し、多くの疾患に対し二ーズに沿った効能が得られます。

これは、主な医薬品の薬効が一面的な作用であることを考えると、驚異的な薬効といえます。

とくに、高齢化社会では、いくつもの病因が絡み合ってさまざまの病状にいたるので、症状一つひとつを西洋医学的に診察して、病因を取りまとめ現実に可能な治療法を選ぶのが難しいという現状があります。

ともすれば、二者択一的な治療になりがちで、これが西洋医学の限界かもしれません。

本来ならば、このようなときは患者の全体像を把握して包括的な医療を行うのが理想だといえます。こうした西洋医学の限界を、高麗人参によって補えるのではないでしょうか。

高麗人参の精神安定化作用

マウスに対し威嚇攻撃を行ったあと、高麗人参粉末の水溶液を投与することで攻撃性が抑制されました。

同じ実験結果からはメス親の敵に対する母性攻撃も抑制されたことから、興奮や刺激に対して抑制的に働き、穏やかになることがうかがえます。

また不安な状況下での他動行為も、沈静化しました。

興奮や不安症状に対して処方される既存の向精神薬は、用量に応じて運動機能にも影響を及ぼします。

見かけ上の鎮静効果が実際には運動機能の低下作用によることが多いのですが、高麗人参はそのような障害を引き起こさなかったと報告されています。

また、抗不安・抗うつ作用に対しても、興奮剤の使用による副作用である睡眠障害や運動抑制などの副作用は報告されていません。

病状に対して相反する症状が副作用として生じやすい西洋医学の見地からすると、まさに不思議な効果としかいいようがありませんが、これらは多種の人参サポニンが有する作用のバランス効果といえましょう。

高麗人参の心臓や血管に及ぼす作用

漢方では「強心補血」と呼ばれるほど、強心作用の高い生薬がありますが、これは用量を誤ると危険だともいわれています。その点、高麗人参は心臓病予防と治療に多様な働きをして、常識的な範囲内での服用であれば副作用がないので安心できます。

具体的には末端の血行を促進し、造血作用により鉄分の吸収と貧血を防ぎ、物質代謝を促進するとともに、抗ストレス作用と精神安定作用により心臓の負担を軽くします。

高麗人参の性機能障害改善作用

高麗人参を用いると卵巣機能賦活作用や卵胞刺激ホルモンの上昇作用と、抗ストレス・血行改善などが多角的に作用して改善がみられます。

ホルモン充填療法のような副作用の心配もありません。男性性機能については、睾丸たんぱく合成促進作用が認められており、精子の減少に対して効果が期待されます。

高麗人参の恒常性維持作用

高麗人参は、さまざまな疾患に対して薬効を示しますが、ロシアのブレックマン博士は、そうした高麗人参の有効性を「生体を正常化する作用」と説明しました。つまり、高麗人参の薬効は「病気を治す」というよりは、「生体を正常な状態にもどす」作用だということです。

人間にはさまざまな変化に対し、健康状態を保とうとする働きがあります。これを恒常性維持機能といいます。この恒常性維持機能は、生体防御系、代謝系、神経系および内分泌系の四つのシステムからなります。

生体防御系は感染、老廃物の処理、代謝系は食事を中心とした消化、吸収、排泄、神経系は自律神経の支配の調節、内分泌系はホルモン環境の調整等を担当しています。

これらの各システムは別々のものではなく、綿密なネットワークによって働いており、どれか一つの機能が低下しても、他のシステムに影響を与え、恒常性維持機能が低下します。

高麗人参には多くの分野で、この恒常性機能を維持させる薬効が認められています。

高麗人参の自律神経バランス回復作用

高麗人参はストレスによる副腎細胞の増大、血糖上昇を抑制します。

また環境に適応した行動をとりやすくし、一方で物質代謝やエネルギー代謝を高め、内分泌の活性化と調和の取れた全身作用がみられ、これによって生体の恒常性の維持や抗ストレス、抗疲労などの薬効が期待できます。

副腎細胞の抑制が副交感神経にも効果的に作用し、高麗人参サポニンが自律神経の乱れによるストレスに対して抑制的に働き、自律神経のバランスを回復させます。

高麗人参の糖代謝

サポニンは必要以上に高まった血糖を、インスリンに作用して正常に戻す作用があります。正常血糖値をそれ以下にする作用はないので、安定した血糖値維持に役立ちます。

また、高麗人参の中の酸性ペプチドがインスリンと同様に糖代謝を促進すること(インスリン様作用物質)がわかっていて、こうした多様な作用が糖尿病の合併症対策として期待されています。

高麗人参の食欲調節作用

高麗人参サポニンによって、食欲中枢に直接作用して満腹感を促進し、食欲を抑制する効果が確認されています。この食欲抑制効果とは反対に、手術後や発熱などの身体ストレスやがんによる食欲不振のときには、食事を促進する効果があります。

多様なサポニンの中には、中枢神経に直接働いたり、ストレス因子に誘発される場合には緩衝効果を発揮して、食欲調節、体温調節、エネルギー調節など体の正常な機能を維持する力(恒常性維持作用)があり、現象として相反する力があります。

高麗人参による自覚症状の改善

動脈硬化や糖尿病、高血圧、脳血管障害、更年期障害などで訴えられる多くの不快な症状、頭痛や肩こり、手足のしびれなどに改善がみられます。

とくに精神的な症状や、不眠などの自律神経障害、血行障害から起こる諸症状に効果的です。

高麗人参によるクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善

長期治療や管理が必要な慢性疾患(高血圧症、糖尿病、がんなど)の、心身の活力を取り戻す作用が期待されます。

うつ状態や疲労感の改善、食欲改善や心理的安定など長期治療の質が向上します。

高麗人参の抗動脈効果作用

高麗人参の血行改善作用

臨床データでは、脳血管障害後遺症、高齢者の心機能低下、リウマチ患者の末梢循環障害などについて血行の改善が確認されています。

低血圧や冷え性については代表的適応症といってもよいほどの効果を得ています。

高麗人参の血小板凝集抑制作用

血液の凝固を促進する血小板に対して、その活動を抑制する作用があることは臨床で証明されています。高麗人参にいくつかの抗血小板作用が含まれており、多角的な効果が期待されています。

また従来の医薬品、たとえばアスピリンなどの抗血小板剤は潰瘍やぜんそく、出血傾向などの副作用が心配され、同時に胃腸薬の処方がなされますが、高麗人参では、副作用はありません。

高麗人参の血中脂質改善作用

高麗人参の脂質改善作用については総コレステロール、中性脂肪、動脈硬化指数などの低下が報告されています。

高脂血症の人は血液中の脂質が異常に多いため血栓が生成されやすいという傾向があり、その血栓が血液循環を阻害することで動脈硬化を誘発します。高麗人参は、この血栓の溶解を促進させてくれるのです。

高麗人参の脂質低下作用は従来の高脂血症剤ほどの強い効果ではありませんが、臨床では中性脂肪値が改善されると同時に、正常値の人をさらに低下させる作用はなく、副作用もないことがわかっています。

このことから抗血小板剤の場合と同様に、従来の高脂血症剤との併用、あるいは維持治療法としての高麗人参の有用性が期待されています。

また高麗人参サポニンは血管壁平滑筋の増殖を抑制し、細胞内に取り込まれた悪玉のLDLコレステロールを代謝、放出を早める働きがあり、動脈硬化抑制作用も注目されています。

高麗人参の全身機能調整作用(抵抗性増強作用)

高麗人参の免疫活性作用

高麗人参の投与によって、ウイルス抗原に対する細胞免疫やNK細胞活性が増強されることがわかっています。

消化器系のがん患者に高麗人参を投与すると、NK細胞が活性化してがんの諸症状の改善がみられました。免疫の活性作用でいえば、皮膚の炎症や中毒症状に対して抵抗力を強める効果があります。

高麗人参のがん細胞増殖抑制や転移抑制作用

高麗人参サポニンが、がん細胞の増殖を特異的に抑制することが報告されています。

低濃度の抗がん剤との併用によって、高い抗腫瘍効果がみられ、ひいては抗がん剤による副作用の軽減にもつながります。

高麗人参の記憶障害の改善

高麗人参には神経成長を促す因子の力を増強し、神経細胞の成長を促進するという報告も出されています。神経伝達物質の活性化や神経細胞の修復などが速やかに行われることで、学習や記憶能力の改善に作用します。

高麗人参の主要成分のサポニンが学習機能と記憶力を増進させ、知的修行能力を向上させることが多くの実験結果から確認されています。

精神的、知的修行効率を向上させて末梢循環を改善させる効果をもつイチョウ葉とサポニンの配合液が、動物の行動実験により記憶力改善と学習機能を促進させるという効果が報告されています。

また、ブルガリア科学アカデミー生理研究所とソウル大学オジンソブ教授は高麗人参が頭脳の活動を促進させて、心理的な安定状態を維持する効果があると発表しています。

このような研究結果からも紅参が脳機能の退化を抑え、頭脳活動を促進させることは解明済みです。高麗人参が頭の働きを高め、精神を安定させる効果によって、認知症の改善に役立つといえます。

高麗人参のアンチエイジング(老化防止作用)

高麗人参サポニンがもつ脳血流増加作用が働いて、脳榎塞の再発予防、血管性認知症に対しても有効であることが確認されています。

これがアンチエイジングにも期待され、高齢化社会における高麗人参の有用さが注目されています。

高麗人参の過剰摂取

高麗人参の効果は十分に認めていますが、それらの効果が得られるのは、あくまでも適量を摂取した場合です。過剰に摂取したり、不適当な人や幼児が服用すると、副作用があらわれることがあります。

注意すべきは、効果を期待するあまりの過剰摂取です。危険なのは高血圧の人で、血行がよくなりすぎて血圧が上昇するため、動悸が激しくなります。極端な場合、心臓発作脳溢血で倒れる危険性さえあります。そこまでいかなくとも、過剰摂取による脳の興奮で、不眠や不安に悩むこともあります。

薬との併用の危険性では、糖尿病でインスリンを打っている人です。高麗人参には血糖値を下げる効果がありますので、糖尿病でインスリンを打っている人が服用すると、血糖値が下がりすぎる恐れがあります。そうなれば空腹感や脱力感に襲われる、可能性もある。

乳がん子宮がん卵巣がん子宮内膜症を発症させている女性も注意が必要です。高麗人参には女性ホルモンのエストロゲンとよく似たはたらきがあり、エストロゲンは、これらの症状を悪化させることが確認されています。

高麗人参の副作用

高麗人参は、適最を摂取した場合でも副作用が発生することがあります。副作用は、口の渇き、頻脈(脈拍が速くなること)、吐き気、下痢、不眠、不安などです。

2001年、精神病歴のない26歳の男性が1回250ミリグラムの高麗人参のサプリを1日3回摂取したところ、「そう状態」が発生したことが報告されています。

彼の症状は、イライラや不眠、そして突飛な考えが浮かび、早口で話すという典型的な「そう状態」です。しかし、サプリの摂取を停止すると「そう状態」はすぐに消えたそうです。

改善が期待できる症状

健忘症 疲労 風邪 更年期 精力減退 冷え性

高麗人参(朝鮮人参)の有効成分

ジンセノシド ペプチドグルカン パラキシノシド サポニン配糖体


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高麗人参(朝鮮人参)の飲み方

滋養強壮の場合は1日1.5g~5gが適量とされています。

高血圧症、糖尿病、女性の方で乳がん子宮がん卵巣がん子宮内膜症の患者の人は使用を避けてください。

また高麗人参は過剰摂取しなくても、副作用が 現れる場合があります。副作用としては口の渇き、吐き気、下痢、不眠、不安、にきび薄毛などです、この様な副作用がでたらすぐに服用は中止してください。


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