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-関節痛(変形性膝関節症)の運動療法-

関節痛(変形性膝関節症)の運動療法

目次

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変形性膝関節症のための運動療法


変形性膝関節症の治療は運動療法が基本


変形性膝関節症に対する運動療法は、以前は補助的なものでしたが、その効果に対して欧米や日本などで多くの治験(臨床試験)が行われました。その結果運動療法の脚上げ運動は、変形性膝関節症の治療して、痛み止めの薬と同等もしくは、それ以上の効果があることが確認されました。現在では変形性膝関節症の治療の基本は、運動療法となっています。

運動療法の目的


運動療法の目的は、膝の関節を支える筋肉を鍛えて、関節にかかる負担を軽くして、膝の動きを滑らかにすることです。それにともなって、老化を防ぎ、肥満の改善防止にもなるのです。

膝が痛いために、動かないでいると、筋肉が衰え関節の変形がさらに進行しますし、薬で痛みを抑えても、一時的なものですので、筋肉を鍛えなければ、症状はもっと進行してしまいます。

運動療法の基本


運動療法の基本は、おもに3つあります。

1.筋力トレーニング
2.ストレッチ
3.有酸素運動(ウオーキングや水中歩行)

筋力トレーニングは膝を支え、膝の動きをコントロールしている大腿四頭筋(太ももの前の部分)鍛えることが、目的です。

ストレッチは膝の動きを滑らかにして、柔軟性を保つために行います。

ウオーキングや水中歩行などの有酸素運動は、膝に負担を軽くするための減量を目的に行います。変形性膝関節症の原因の一つに肥満がありますので、減量も運動療法の目的になります。

この運動療法は、これら3つを組み合わせて行い、症状の重症の度合いや個々の患者の症状に応じて、中心となる運動が変わります。

初期の運動療法

膝が動かしやすく、痛みも少ないので筋力トレーニングを中心に行い、筋力をつけて有酸素運動で減量をします。これらの運動のあとは、ストレッチを行い、柔軟性を保つように努めます。

中期・進行期の運動療法

膝の痛みが激しいので、体を動かしずらいので、ストレッチが中心になります。筋力トレーニングや有酸素運動は負担の少ないものを選び、痛むときは無理をして行わないように。有酸素運動では、水中歩行が負担が少ないです。

具体的なやり方は、こちらのサイトを参考にしてください。
変形性膝関節症の運動療法 



変形性膝関節症の薬物療法



変形性膝関節症の薬物療法のおもな薬として

・非ステロド抗炎症薬の湿布や塗り薬、飲み薬 座剤
・ヒアルロン酸やステロイド薬の関節内注射

非ステロド抗炎症薬


非ステロド抗炎症薬は、炎症を抑え痛みをやわらげ、熱を鎮める作用があります。それぞれの患者さんの体質・体調などを考えて、剤形を選んでください。

湿布薬や塗り薬は、直接膝から成分が吸収されますので、利用効率が良いです。ただ貼ったり塗った部分が、かぶれる場合がありますので注意してください。

飲み薬は手軽さ、扱いやすさがありますが、副作用として胃腸障害があります。胃薬を併用したり食後に服用することで、副作用を防ぐことができます。
最近では、非ステロド抗炎症薬の一種のシクロオキシゲナーゼ(COX)2選択阻害薬は、副作用がおりにくいので、多く用いられています。シクロオキシゲナーゼ(COX)2選択阻害薬にはエトドラクやメロキシカムなどがあります。

座剤は腸から急速の成分が吸収されますので、即効性に優れていますが、扱いに慣れていないのが、欠点です。

ヒアルロン酸の関節内注射


炎症が激しく、関節内に水がたまり腫れがひどい場合は、関節に直接薬を注入します。

関節の中のヒアルロン酸という液体は、膝の動きを滑らかにして、膝にかかる衝撃をやわらげたり、関節内の栄養補給などの働きをします。ヒアルロン酸は、関節の軟骨や半月板にも多く含まれています。しかし加齢とともに減少して、変形性膝関節症では、本来ぬるぬるのはずの関節液がさらさらの状態になります。

このため直接ヒアルロン酸を関節に注入して、関節の動きや軟骨を修復改善させます。この他ヒアルロン酸
には、軟骨を保護する働きと、関節の炎症を抑制する作用があります。特に膝に水がたまっている患者に、効果があります。週に1回、計5回が原則です。

注意)ヒアルロン酸のサプリメントや化粧品がありますが、ヒアルロン酸は分子構造が大きいため、腸や皮膚で吸収されませんので、飲んだり塗ったりしても効果はありません。ヒアルロン酸が効果を発揮するのは、注射のみですので注意してください。

ステロイド薬の関節内注射


ステロイド薬の効果は大変大きく、ヒアルロン酸よりも改善効果が高いと、いわれています。しかし改善は一時的なもので、変形性膝関節症そのものを治療するもではありません。また副作用として、回数を重ねると軟骨の破壊を招きます。

ステロイド薬の関節内注射は、症状が重く日常生活に大きな支障があるときなどの、特別な場合に限って使用した方がいいです。

これらの薬物治療にたよっては、変形性膝関節症の進行を食い止めることはできません。あくまで運動療法の補助的な治療と考えてください。

変形性膝関節症の進行を抑える薬の開発


現在の薬物治療では、先ほど述べたとおり、変形性膝関節症の進行を食い止めることはできませんが、最近欧米などで進行を抑制する薬が開発され、治験(臨床試験)が行われています。

変形性膝関節症は関節軟骨がすり減り、破壊されて起こります。軟骨破壊に関係するのは、酵素マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)で、炎症が起きている関節内では、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が正常よりも、活性化しています。

そこでマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の働きを阻害する、MMP阻害薬や抗菌薬のドキシサイクリンが、変形性膝関節症の進行を抑えると考えられています。

現在これらの薬は、治験(臨床試験)が行われていて、使用できるのは、まだ先といえますが、大きな期待が寄せられています。



変形性膝関節症の手術



症状が悪化して、膝がほとんど動かなかたり、通常の生活が営めない場合は、手術を行います。

変形性膝関節症の手術は、おもに3つあります。
  • 関節鏡視下手術
  • 高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)
  • 人工関節置換術

関節鏡視下手術


関節鏡視下手術は、膝のなかに関節鏡(内視鏡)を入れて行う手術で、半月板の損傷した部分や、はがれ落ちそうな関節軟骨を取り除くのが、関節鏡視下手術です。切開部は1cm前後で、患者への負担が非常に軽い手術です。

半月板の損傷の修復に効果がありますが、変形した関節軟骨修復はできませんので、すべての症状を改善させられません。手術後数日で歩行ができますが、効果の持続が短い場合があります。

手術時間は40~60分程度で、1週間の入院が必要ですが、病院によっては日帰りのところもあります。

関節鏡視下手術は心臓病やぜんそく、糖尿病などがある患者で、他の手術ができない場合に選択せれます。

高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)


高位脛骨骨切り術は、すり減っていない脛骨(すねの骨)の一部を膝の関節近くで切って、かたよってしまった加重が、均等にかかるようにする手術です。手術時間は90分程度で、関節鏡視下手術を予備手術として、行う場合もあります。

入院が2~3ヶ月かかりますが、骨がつけば登山やスポーツができるくらいまで回復します。

合併症として、感染症や神経のマヒ、足にできた血栓が肺の動脈を詰まらせる、肺血栓塞栓症などがあります。

人工関節置換術


人工関節置換術は、すり減って変形した骨の表面を、金属やポリエチレンなどで、できた部品に置き換える手術です。関節全体を置き換える全人工関節置換術と、損傷の激しい部分だけを置き換える、単顆(たんか)人工関節置換術があります。手術時間は約2時間で、入院は1ヶ月程度になります。

手術後は痛みがなくなり、正座や激しい運動などはできなくなりますが、日常生活にはほとんど影響はありません。

変形性膝関節症の手術のなかでは、この手術がもっとも患者への負担が大きいくなります。合併症には、感染症と肺血栓塞栓症があります。ステロイド薬を使用している人や糖尿病の人が、感染症を起こしやすいです。

これらの手術のあとでも、膝の柔軟性や改善されたレベルを保つため、運動療法は無理のない範囲で、続けなければなりません。

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変形性膝関節症の三次元培養軟骨移植術

三次元培養軟骨移植術


三次元培養軟骨移植術は、再生医療の一種で、患者から膝軟骨細胞を取り出し、一ヶ月間コラゲーンで軟骨細胞を培養し、軟骨がすり減った部分に移植する方法です。
この方法ですと、人工関節置換術と異なり、正座や激しい運動もできます。

ただし三次元培養軟骨移植術は60歳までが限界です、60歳以上ですと軟骨細胞成長が弱まり、細胞が増えないからです。

そのため60歳以上の方でも治療できる、骨髄から取り出した「幹細胞」(かんさいぼう)を使った新たな治療法が、現在開発されています。幹細胞とは骨や筋肉、軟骨に変化可能な特殊な細胞です。

患者の骨髄から幹細胞を取り出し、培養施設で培養して、患者の軟骨がすり減った部分に移植する方法です。幹細胞は液状ですので、この方法が確立しますと、注射一本で治療することができます。動物実験ではすでに成功していますので、これから臨床実験に移行する段階です。

三次元培養軟骨移植術を行っているのは、広島大学病院の越智光夫医師です。
三次元培養軟骨移植術は保険適用外で、現在厚生労働省に申請して許認可待ちです。(2009年10月現在)

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