前立腺がんの待機療法(無治療経過観察)
「すぐ治療しない」前立腺がん治療の考え方
前立腺がんは、進行が非常にゆっくりなタイプも多く、
すべての患者さんが直ちに手術や放射線治療を受ける必要があるわけではありません。
とくに高齢の方や、ほかの病気を多く抱えている方では、
積極的な治療を行うことで、
- 尿失禁
- 勃起機能障害
などの副作用が生活の質(QOL)を大きく下げてしまう可能性もあります。
そこで、「がんの様子を見ながら、必要になった時点で治療する」という戦略が考えられました。
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「待機療法」と「監視療法(アクティブ・サーベイランス)」の違い
前立腺がんの経過観察には、大きく2つの考え方があります。
- 監視療法(アクティブ・サーベイランス)
- 主に若めの方・低リスクの前立腺がんが対象
- 将来、必要になったら根治治療(手術や放射線)を行う前提で、定期的に詳しい検査を行う
- PSA検査・直腸診・MRI・前立腺生検などを定期的に行い、がんの悪化サインを早期にとらえる
- 待機療法(無治療経過観察/ウォッチフル・ウェイティング)
- 主に高齢の方・他の病気が多い方が対象
- がんによる症状が出てきたら、その時点で症状を和らげる治療(ホルモン療法など)を行う考え方
- 根治を目指すというより、副作用を減らしながら、全体としての生活の質を保つことが目的
待機療法(無治療経過観察)が検討されるケース
- 高齢で、別の重い病気(心臓・肺・脳血管など)があり、手術や放射線のリスクが高い
- がんが低?中リスクで、無症状の状態
- 「がんそのものよりも、今の生活を優先したい」という患者さんの希望が強い
経過観察中に行うこと
待機療法でも、まったく病院に行かないわけではありません。
- 定期的な外来(例:6?12か月ごとの診察)
- PSA値のチェック
- 症状の確認(排尿の状態・骨痛など)
などを行い、前立腺がんによる症状が出てきたタイミングで、ホルモン療法などの治療を開始することが多くなります。
メリットと注意点
メリット
- 手術や放射線の副作用を避けられる
- 通院や治療に伴う負担が少なく、生活の質を保ちやすい
注意点
- 「がんがある」という心理的な負担をどう受け止めるかが重要
- 経過中に思ったよりがんが早く進行することもありうる
- 待機療法が本当に適しているかどうか、年齢・健康状態・価値観をよく話し合う必要がある
この記事の位置づけ
このページは、前立腺がんの待機療法(無治療経過観察)の考え方を整理したものです。
実際には、
- 監視療法(アクティブ・サーベイランス)
- 待機療法(無治療経過観察)
- 手術・放射線治療・ホルモン療法
などの選択肢を比較しながら、泌尿器科医とよく相談して、その方にとって最もバランスのよい方針を決めていくことが大切です。
関係医療機関香川大泌尿器科
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