がん細胞だけを破壊する「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)は、
ホウ素(10B)を含んだ薬剤をがん細胞に取り込ませ、中性子を照射することで、がんだけを選択的に壊すことを目指した放射線治療です。
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しくみ
- ホウ素を含む薬剤(BPA、BSHなど)を点滴投与し、がん細胞にホウ素を集める
- 原子炉や加速器から発生させた中性子線を体外から照射する
- がん細胞内のホウ素(10B)が中性子を捕捉し、α線とリチウム粒子を放出する
- これらの粒子は飛程が10μm程度と非常に短く、ほぼ1個のがん細胞の中でエネルギーを放出して細胞を破壊する
このため、理論的には正常な細胞へのダメージを最小限にしながら、がん細胞を選択的に攻撃できるとされています。
どのようながんに使われているか
BNCTは、以下のような通常の放射線治療では治療が難しいがんを対象として、施設・症例を限定して実施されています。
- 再発・難治性の悪性脳腫瘍(グリオーマなど)
- 頭頸部がんのうち、通常の放射線・抗がん剤で行き詰まった症例
- その他、臨床試験として一部のがん種で検討中
日本でも、加速器型BNCT装置が整備され、限られた施設で保険診療・臨床試験として実施されています。
特徴と利点
- 1?2回の短期間照射で治療が完了することが多い(治療時間は1回30?60分程度)
- 手術が困難な部位のがんや、再発病変にも適用が検討できる
- 正常組織への線量を抑えつつ、がんに高い線量を集中できる可能性がある
課題と限界
- ホウ素薬剤を十分にがん細胞に集め、正常組織との濃度差をつけることが重要で、症例によって偏りがありうる
- 専用の中性子照射装置が必要で、受けられる施設が限られている
- 長期成績や副作用プロファイルについて、データが蓄積されつつある段階の治療もある
この記事の位置づけ
このページは、がん細胞を選択的に壊すことを狙った新しい放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の概要を説明したものです。
BNCTは、すべてのがんに使える標準治療ではなく、
- 再発・難治例
- 通常の放射線治療では十分な効果が得られなかった症例
などで、専門施設のカンファレンスを通じて適応が検討されます。
BNCTを検討したい場合は、まず現在の主治医に相談し、必要に応じてBNCT実施施設への紹介を受ける形になります。
臨床試験を行っている医療機関
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