抗がん剤の副作用「吐き気・嘔吐」を抑える薬
なぜ抗がん剤で吐き気・嘔吐が起こるのか
抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えるため、
脳の吐き気中枢や消化管の神経が刺激され、吐き気(悪心)や嘔吐が起こります。
最近では、この副作用を予防・軽減するための制吐薬(吐き気止め)が大きく進歩し、
多くの患者さんで「ほとんど吐かなかった」と感じるレベルまで改善できるようになっています。
スポンサードリンク
主な制吐薬の種類
5-HT3受容体拮抗薬
- 代表:グラニセトロン、オンダンセトロンなど
- 抗がん剤投与当日の急性期の吐き気・嘔吐に特に有効
NK1受容体拮抗薬
- 代表:アプレピタント、ホスアプレピタント など
- 投与後2?5日目に起こりやすい遅発性の吐き気を抑えるのに役立つ
ステロイド(デキサメタゾンなど)
- 5-HT3薬やNK1薬と組み合わせることで効果が高まる
オランザピン
- もともと抗精神病薬として使われてきた薬
- 近年、強い吐き気を伴う化学療法に対して、上記薬剤との4剤併用により制吐効果を高めることが示されている
その他の薬
- ドパミン受容体拮抗薬(ドンペリドン、メトクロプラミドなど)
- ベンゾジアゼピン系(ロラゼパムなど)
などが、状況に応じて追加・変更されます。
化学療法の「吐き気の強さ」に応じた予防
国際的なガイドラインでは、抗がん剤の多くが「高度」「中等度」「低度」「ほとんどなし」といった、
吐き気の起こりやすさに応じて分類されています。
- 高度催吐性(例:シスプラチンなど):NK1拮抗薬+5-HT3拮抗薬+ステロイド+オランザピンなど、3?4剤併用
- 中等度催吐性:5-HT3拮抗薬+ステロイド、場合によってNK1拮抗薬やオランザピンを追加
- 低度?ほとんどなし:1剤または必要時のみの使用
「つらくなってから」より「始める前の予防」が大切
吐き気・嘔吐はいったん強く出てしまうと、コントロールが難しくなることがあります。
そのため現在の標準的な考え方は、
- 化学療法の前に予防的に制吐薬を使う
- 必要に応じて、自宅用の頓服薬も処方しておく
という「予防中心」の戦略です。
この記事の位置づけ
このページは、抗がん剤の副作用である吐き気・嘔吐を抑える薬の種類と考え方を、わかりやすく整理したものです。
実際の制吐薬の組み合わせや量は、
- 使う抗がん剤の種類・量
- 過去の治療でどの程度の吐き気が出たか
- 年齢・持病・ほかの薬との相互作用
によって変わります。
「前回の治療で吐き気がつらかった」「もっと抑えたい」と感じた場合は、次回治療の前に遠慮なく主治医や看護師に相談しましょう。
スポンサードリンク