最新の放射線治療「重粒子線と陽子線」
「粒子線治療」とは
従来の放射線治療は、主にX線(光子線)を使う治療でした。
それに対して、陽子線や重粒子線(主に炭素イオン)を用いる治療をまとめて粒子線治療と呼びます。
粒子線の大きな特徴は、体内を進む途中では比較的少ないエネルギーしか放出せず、
ある深さで一気にエネルギーを放出して止まる「ブラッグピーク」という性質を持つことです。
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陽子線治療の特徴
陽子線は、X線に比べて、
- 腫瘍の位置に線量を集中しやすい
- その先の正常組織への線量を大幅に減らせる
という利点があります。
日本を含む各国の施設では、次のようながんで陽子線治療が用いられています。
- 小児がん(将来の副作用を減らしたい)
- 頭頸部・眼窩・脊髄近くなど、重要臓器に囲まれた腫瘍
- 前立腺がん
- 肝がん・肺がんの一部
標準治療と比較した長期成績は疾患によって異なりますが、
同等の治療成績で副作用を軽減できる可能性があると報告されています。
重粒子線治療(炭素イオン線)の特徴
重粒子線(主に炭素イオン線)は、陽子線よりも質量が重く、がん細胞を殺す力(生物学的効果)が強いのが特徴です。
そのため、
- X線や陽子線に抵抗性を示しやすい腫瘍
- 手術が難しい場所の腫瘍
に対して、より高い局所制御が期待されます。
日本の重粒子線施設では、例えば次のようながんが対象とされています(施設・時期により異なる)。
- 骨・軟部腫瘍
- 頭頸部腺様嚢胞がん などの難治がん
- 前立腺がん
- 一部の肺がん・肝がん・膵がん・直腸がん局所再発 など
短い治療期間(例:3?5週間)で、高い局所制御率と比較的少ない副作用が報告されています。
粒子線治療のメリットと課題
メリット
- 腫瘍に線量を集中し、周囲の正常臓器への線量を減らせる
- 小児や若年者で、将来の二次がんや臓器障害のリスクを減らせる可能性
- 従来の放射線や手術では治療が難しい腫瘍の新たな選択肢になりうる
課題・限界
- 装置が非常に高価で、治療できる施設が限られている
- 保険適用となる疾患は限定されており、自費診療になる場合は費用負担が大きい
- すべてのがんでX線より優れているわけではなく、疾患ごとにエビデンスの蓄積が必要
この記事の位置づけ
このページは、放射線治療の中でも「陽子線」と「重粒子線」という比較的新しい治療法の特徴をまとめたものです。
粒子線治療を検討する際は、
- 自分のがんが保険適用の対象かどうか
- 従来の放射線治療や手術と比べたメリット・デメリット
- 通院距離や治療期間、費用負担
などを主治医や粒子線治療施設の医師とよく相談し、自分に合った治療方法を選んでください。
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関連医療機関 重粒子線
放射線医学総合研究所(千葉県)
兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県)
関連医療機関 陽子線
国立がんセンター東病院(千葉県)
兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県)
筑波大陽子線医学利用研究センター (茨城県)
若狭湾エネルギー研究センター (福井県)
静岡がんセンター (静岡県)
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