ヒアルロン酸
ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸は、体の中に広く存在する多糖類の一種で、特に関節液(滑液)や軟骨、皮膚、目などに多く含まれています。 水分をたっぷり抱え込む性質があり、「うるおい成分」として知られています。
医療の現場では、変形性膝関節症などに対して関節内注射として使われることがあります。 一方、サプリメントとしては「飲むヒアルロン酸」として販売されており、 関節の動きや肌のうるおいをサポートする目的で利用されています。 ただし、「飲めば関節の軟骨が元通りに再生する」というほど単純な仕組みではありません。
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体の中での主な役割
ヒアルロン酸は、多量の水分を保持することで、次のような役割に関わっていると考えられています。
- 関節液の粘り気と弾力を保ち、関節の動きをなめらかにする
- 軟骨の表面を保護し、クッションとして衝撃を和らげる
- 皮膚のうるおい・ハリを保つ
- 眼の硝子体などで、形を保つのを助ける
加齢や病気などによって、関節液の質や量が変化すると、 関節の痛みやこわばりが起こりやすくなると考えられています。
ヒアルロン酸と膝の痛み(変形性膝関節症)との関係
注射としてのヒアルロン酸
変形性膝関節症の治療では、ヒアルロン酸を膝の関節内に直接注射する方法が用いられることがあります。 関節液の性質を改善し、痛みの軽減や関節の動きをサポートする目的です。
ただし、海外の一部のガイドラインでは、 「膝の変形性関節症に対するヒアルロン酸注射の有効性は限定的である」として、 routine な使用を強く推奨しない立場をとるものもあり、 評価は必ずしも一枚岩ではありません。 治療として行うかどうかは、整形外科医と相談して決める必要があります。
飲むヒアルロン酸(サプリメント)についての研究
ヒアルロン酸を経口摂取(サプリメント)した場合に、 膝の痛みや関節の動きにどの程度役立つかについても、いくつか研究が行われています。
- 一定期間、ヒアルロン酸を含むサプリメントを飲んだ人で、膝の痛みやこわばりが軽くなったという報告があります。
- 一方で、偽薬(プラセボ)と比べたときの差が小さい、もしくははっきりしない試験もあります。
- ヒアルロン酸単独ではなく、グルコサミンやボスウェリアなど他の成分と組み合わせたサプリもあり、その場合はどの成分がどの程度効いているかは切り分けが難しいという問題があります。
このように、「飲むヒアルロン酸」に関するエビデンス(科学的根拠)は、 効果を示す研究と、差が小さいとする研究の両方があり、 現時点でははっきりとした結論は出ていないと言えます。
まとめると
- 注射は医療行為であり、医師の判断で行う治療のひとつ。
- サプリとして飲むヒアルロン酸は、関節のうるおいを保つ「補助的な選択肢」の位置づけ。
- 飲めば誰でも膝の痛みが改善するわけではなく、人によって実感が大きく違う。
そのため、「これさえ飲めば治る」というより、 「関節ケアの一つの手段として、合う人もいれば、あまり変化を感じない人もいる」 くらいのイメージでとらえておくのが現実的です。
試してみる前に知っておきたいポイント
ヒアルロン酸サプリを検討するときは、次のような点を意識しておくと、期待外れになりにくくなります。
-
医薬品ではなくサプリメント(食品)である
ヒアルロン酸サプリは「治療薬」ではなく、栄養補助食品として位置づけられています。 医師から処方される薬とは役割が違います。 -
効果が出るとしても、ゆっくり
一般的に、数週間?数か月単位で様子を見る研究が多く、 即効性を期待するものではありません。 -
重い関節症や強い痛みには、あまり期待できない場合もある
重度で長年続く強い痛みに対しては、サプリだけで十分な改善を得るのは難しいと考えた方が現実的です。 -
他の治療をやめて乗り換えるのは危険
医師の治療やリハビリ、減量などの基本的な対策を勝手に中止して、 サプリだけに頼るのはおすすめできません。
一般的な摂取量の目安
市販されているヒアルロン酸サプリでは、 1日あたり数十mg?数百mg程度を目安とした商品が多く見られます。
ただし、製品ごとに含有量や推奨量が大きく異なり、 体格・年齢・体調によって適切な量も変わります。 必ず商品ラベルの表示やメーカーの指示に従い、 自己判断で量を増やしすぎないようにしてください。
飲み始めてから胃腸の不快感などが気になる場合は、量を減らすかいったん中止し、 症状が続くときは医師に相談することをおすすめします。
ヒアルロン酸に報告されている主な副作用
経口摂取のヒアルロン酸は、適切な量であれば比較的安全と考えられていますが、 次のような副作用や不調が報告されています。
- 胃の不快感、吐き気、下痢、便秘などの消化器症状
- 頭痛やめまい、眠気などの自覚症状
- 皮膚のかゆみ・発疹などのアレルギー症状
- 動物由来原料(鶏冠など)に対するアレルギーのリスク
「美容成分だから安全」と思い込まず、 体調の変化には十分注意し、異常を感じた場合は使用を中止して医師に相談してください。
注意が必要な人・医師に相談した方が良い人
次のような方は、ヒアルロン酸サプリメントを使う前に、 かかりつけ医や薬剤師に相談することをおすすめします。
- 心臓病や脳血管疾患などの持病がある人
- 腎臓病・肝臓病など、慢性の持病がある人
- ワルファリンなどの抗凝固薬、血液をサラサラにする薬を服用している人
- 鶏や卵など、原料となる動物性食品にアレルギーがある人
- 妊娠中・授乳中、または妊娠を希望している人
- 子どもや若年者(長期使用の安全性データが十分ではないため)
ヒアルロン酸を飲むときのポイント
-
まずは医師の診断を受ける
膝が痛い・こわばるからといって、すべてが変形性膝関節症とは限りません。
リウマチ、痛風、半月板損傷など別の病気が隠れていることもあります。 まずは整形外科などで診断を受けることが大切です。 -
膝の治療やリハビリと並行して使う
医師の治療や運動療法、体重管理などの妨げにならない範囲で、 補助的に使うイメージを持つと良いでしょう。
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2?3か月続けても変化がなければ、いったん見直す
何年もだらだら飲み続ける前に、
「本当に自分にとって費用と効果が見合っているか?」を冷静に振り返ることが大切です。 -
複数のサプリを同時に増やさない
ヒアルロン酸だけでなく、グルコサミンやコンドロイチンなど他の関節サプリを一度に増やしてしまうと、 体調に変化があったときに、どれが原因か分からなくなります。 新しく始めるときは、できるだけ一つずつ様子を見るのがおすすめです。
ヒアルロン酸を含む食品
ヒアルロン酸そのものは、鶏のトサカ(鶏冠)などに多く含まれていますが、 一般的な家庭料理で大量に食べることはあまりありません。
一方、体の中でヒアルロン酸の働きを支えるためには、 バランスのよい食事が大切です。 ビタミンCやタンパク質、マグネシウムなどを含む食品をしっかり摂ることで、 体内の組織の健康を保ちやすくなります。
膝の健康のために、まず優先したいこと
ヒアルロン酸サプリは関節のサポート成分の一つですが、 膝の健康のために、科学的に有効性がはっきりしているのは、むしろ次のような基本的な対策です。
- 体重管理(体重が1kg減ると、膝への負担はそれ以上に減るとされています)
- 太ももの前側(大腿四頭筋)を鍛える筋力トレーニングやストレッチ
- 膝に負担の少ない運動(ウォーキング、エアロバイク、水中ウォーキングなど)
- ヒールの高すぎない靴や、クッション性のあるシューズを選ぶこと
- 必要に応じた痛み止め・湿布・物理療法など、医師による治療
ヒアルロン酸を飲むかどうかは、 こうした基本的な対策を行ったうえで、 「それでも何か補助的な選択肢を試してみたい」と考えたときに、 選択肢のひとつとして検討するくらいの位置づけにしておくと良いでしょう。
この記事の位置づけについて
このページは、膝の痛みや関節の不調で悩んでいる方に向けて、 ヒアルロン酸に関する研究や公的機関の情報をもとに、 できるだけ中立的な情報提供を目的として作成しています。
- 特定の商品・治療法をすすめるものではありません。
- 実際の診断・治療・服薬の判断は、必ず医師・薬剤師などの専門家と相談してください。
参考文献・参考サイト
- 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト eJIM:変形性関節症・サプリメント全般に関する解説
- 国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
- 膝の変形性関節症におけるヒアルロン酸関節内注射および保存療法に関する整形外科関連学会・医療機関の情報
- 膝の変形性関節症患者を対象とした、経口ヒアルロン酸サプリメントの臨床試験・レビュー論文
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