がんの免疫細胞療法
がんの免疫細胞療法とは
がんの免疫細胞療法とは、患者さん自身の免疫細胞を取り出して外でパワーアップさせ、再び体にもどすことで、
がん細胞を攻撃しやすくする治療法の総称です。
従来の抗がん剤や放射線とちがい、「からだの中にもともとある免疫の力」を活かす点が特徴です。
スポンサードリンク
代表的な免疫細胞療法の種類
- CAR-T細胞療法:がん細胞を認識する「アンテナ(キメラ抗原受容体)」を遺伝子で組み込んだT細胞を戻す治療。白血病・リンパ腫など血液のがんで大きな成果。
- 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法:がん組織の中に入り込んでいるリンパ球を取り出して増やし、再び戻す治療。2024年には、悪性黒色腫を対象に初の承認が出ました。
- 樹状細胞ワクチン:がんの情報を「免疫の司令塔」である樹状細胞に覚えさせ、T細胞を活性化するワクチン型の治療。
- NK細胞療法・γδT細胞療法:生まれつきの攻撃力をもつ細胞を増やして戻す治療。
これらは「養子免疫療法(アダプティブ細胞療法)」と呼ばれ、今もさまざまながん種で臨床試験が続いています。
制御性T細胞とがん免疫
がんの周りには、「がんを攻撃するT細胞」だけでなく、免疫のブレーキ役である制御性T細胞も集まりやすいことが分かっています。
制御性T細胞は本来、
- 自己免疫疾患を防ぐ
- 炎症の行き過ぎを抑える
といった大切な役割を持っていますが、がんの近くで増えすぎると、
- がんを攻撃するT細胞の力を弱める
- 免疫チェックポイント分子(PD-1、CTLA-4など)を通じてブレーキをかける
ことで、がんが免疫から逃げる手助けをしてしまいます。
「攻撃する細胞」と「ブレーキ役」を同時にコントロールする時代へ
最近の研究では、
- CAR-T細胞や腫瘍浸潤リンパ球のような「攻撃する免疫細胞」を強化しつつ、
- 腫瘍の中に多い制御性T細胞を選択的に弱める・性質を変える
といった戦略が検討されています。
たとえば、
- 制御性T細胞が集まりやすい「目印(CCR4など)」をねらう抗体薬
- がんの近くにいる制御性T細胞だけを減らし、全身の免疫バランスは崩さない方法
- 制御性T細胞の性質を書き換え、「がんの味方」から「がんを許さない細胞」に近づける研究
などが行われており、「アクセル(攻撃細胞)」と「ブレーキ(制御性T細胞)」の両方を調整するがん免疫療法が将来的な方向性と考えられています。
免疫チェックポイント阻害薬との違い
免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブなど)は、 すでに体の中にいるT細胞のブレーキを外す薬であり、点滴で投与する分子標的薬です。
一方、免疫細胞療法は、
- 患者さんから細胞を取り出す
- 外で加工・培養する(数週間?数か月)
- 点滴などで戻す
という「オーダーメイドの細胞製剤」で、作製に専門施設や時間・費用がかかるという特徴があります。
日本で受けられる治療と注意点
日本では、白血病・リンパ腫など一部の血液がんに対して、 保険適用のCAR-T細胞療法が実施されています。
一方で、がん全般を対象としたさまざまな免疫細胞療法は、
- 臨床試験として行われているもの
- 自由診療として提供されているもの
が混在しており、治療効果の裏付け・安全性・費用をよく確認することが大切です。
この記事の位置づけ
このページは、がんの免疫細胞療法と制御性T細胞の関係について、最新の流れをふまえて解説したものです。
実際に治療を考える際には、
- 現在の標準治療(手術・放射線・抗がん剤・分子標的薬など)との関係
- 臨床試験か、自由診療か
- 費用と通院の負担、得られる可能性のあるメリット
を、主治医や専門医とよく相談してから検討してください。
スポンサードリンク