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-過敏性腸症候群のラモセトロン塩酸塩錠(商品名・イリボー錠)-

過敏性腸症候群のラモセトロン塩酸塩錠(商品名・イリボー錠)

セロトニンが原因の過敏性腸症候群

過敏性腸症候群では、大腸を内視鏡で調べても炎症などの異常は見つからないのに、腹痛や腹部不快感を伴う下痢や便秘が続きます。過去3か月間に月3日以上、腹痛や腹部不快感を繰り返し、排便後は症状が改善する場合に過敏性腸症候群と診断されます。

男性は下痢型、女性は便秘型が多いいです。仕事や人間関係などの精神的ストレスや、急性腸炎などの身体的ストレスが発症の引き金になることが知られています。近年の研究で、腸の粘膜などに微少な変化が起きていることが分かってきましたが、原因はまだ解明されていません。

国立国際医療センター国府台病院(千葉県市川市)院長の松枝啓さんは「腸と脳の神経細胞は、人の発生の過程で神経管という同じ神経のもとから生まれ、自律神経で密接につながっています。そのため、脳のストレスが腸の刺激となり、腸の刺激が脳のストレスになります」と語っています。

脳がストレスを受けると、神経伝達物質のセロトニンが腸管の神経組織で増え、腸管の過度の運動や収縮が起きて、突然の下痢や便秘を招きます。また、腸管の痛みの感覚が過敏になり、普通は痛みを感じない腸の蠕動(ぜんどう)運動でも痛みや不快感を感じるようになります。

このような突然の下痢や腹痛で苦労した経験が続くと、電車通勤や長い会議が怖くなり、さらに腹痛や便意を招く悪循環に陥ります。


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セロトニンの働きを抑えるラモセトロン塩酸塩錠(商品名・イリボー錠)

治療薬としてよく使われるのが、ポリカルボフィルカルシウム製剤です。人工の食物繊維で、下痢の場合は吸水性、便秘の場合は保水性を発揮して腸管内の便の形を整えます。しかし、効果が表れるまでに1、2週間かかり、腹痛や腹部不快感は改善しにくい難点がありました。

これに対し、2008年に発売されたラモセトロン塩酸塩錠(商品名・イリボー錠)は、即効性や腹痛の軽減効果が期待されます。セロトニンの働きを抑えることで、腸管の過剰な運動や、過敏になった腸の痛みの感覚が脳に伝わるのを防ぎます。

下痢型の男性患者441人が参加した国内の臨床試験では、3か月の服用でほぼ半数の症状が消失、あるいは著しく改善しました。松枝さんは「飲んで2日目には、便が固形に近づくなど効果が表れる人が多く、次第に排便回数も減ります」と言います。しかし、女性は臨床試験の参加者が少なく、効果が確認できなかったため、国は男性の下痢型だけを対象に販売を認めました。

松枝さんは「即効性により通勤時なども安心感が高まり、ストレスが和らいでさらに良くなる人も多いと思います。適度な運動や食物繊維の多い食事なども心がければより有効です」と話しています。

過敏性腸症候群のチェックリスト

□ 腹痛を伴う下痢(便は泥状、粘液が出ることも)。

□ 便秘、あるいは便秘と下痢を交互に繰り返す。

□ 時折、うさぎの糞のような便が出る。

□ 排便後は腹痛が収まることが多い。

□ 排便後、残便感はあるが、便は出ない。

□ ガスがたまりやすい。

□ 午前中の腹痛が多く、午後からは回復する。

□ 体重の変化はなく、食欲も普通にある。

□ すぐトイレに行けない状況で症状が出る。

□ 睡眠時や休日には症状が出ない。

□ 症状が1カ月以上持続している。

当てはまる数が多いほど、過敏性腸症候群の疑いが高くなります。


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関係医療機関

国立国際医療センター国府台病院

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